仕事の合間に結婚式の招待客リストが届いた。会社の部下に上司、親類総勢800人。一々確認なんてしてらんねえし、これは真樹とその偉大な友人、海に任せてしまおう。結婚式は明後日。程よい緊張感と幸福の中で僅かにあの店が浮かぶ。

別に結婚式に呼ぼうとは思わなかった。だってそうだろ。確かに親しくはしてるけどそれは俺のほんの一部の世界だ。"ただの" 行きつけの店。なのに、なんでか後ろ髪が引かれる思い。

令は明後日アメリカに行くらしい。なんだかわからないけど大出世だと言っていた。
見送りには別に行かない。つーか結婚式だし。



教会の鐘がなる。白いスーツに身をつつみ、神父の前に立って真樹を待つ俺。心は浮き立っているし、父に手を引かれバージンロードを歩く真樹を見てどきどきして今まで1番綺麗だと思うけど、頭をちらつくあいつらといる心地よさ。

令が小豆のことが好きなのはしっていた。小豆の俺に対する気持ちも知っていた。俺の小豆に対する気持ちは知らないふりをした。

つまりは相似だった。

俺の小豆に対する気持ちと小豆の俺に対する気持ち。お互いがお互いを求めず、寒くないほどに近づき、熱くないほどに遠ざける。暖かいくらいが丁度いい。そんな丁度よさを求める気持ち。でも相似比は3:5くらい?

俺はいくらか冷めてるし。大人だから。
小豆みたいに純粋じゃあこの世知辛い世の中じゃ生きてけないんだ。

「誓いますか?」

俺、最低だな。

「誓います。」

他の女のことを考えながら、神に即答できてしまう。
まぁ仕方ない。俺は狡い大人だから。


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千尋はちゃんと
真樹のこと好きですよ。


20110712








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