違和感はいつも
 



そう、それは本当にはじめから。ただ気づかないふりをしていたのかもしれないし、もしかしたら自分の中にあるその感情を認めたくなかったのかもしれない。

「ツナさーん!おはようございます!!」
「あぁ、おはよう。ハル。」
「おはよう、三浦。」
「あ、吉継さんもおはようございます!」

朝、双子の弟である綱吉と通学路を歩いていると後ろからはつらつとした声が聞こえる。綱吉一筋の三浦ハルだ。高く結った黒い髪を揺らして走ってくる彼女の表情はくるくると変わって可愛らしい。

「あ、ツナ、吉継!はよっ!」
「おはようございます!十代目!デーチモ!」
「あ、武に獄寺。おはよう。」
「おはよう。獄寺君。山本。」

後ろから次に走ってきたのは野球部の山本と帰国子女の獄寺。獄寺はなかなか俺たちのことを十代目、デーチモと呼ぶのをやめることを承諾しない。

「あれ、三浦は今日学校ないの?」
「はい!創立記念日でお休みです!」
「へえ、ってあれ!?」

キーンコーンカーンコーン

「げっ!チャイムじゃん!」
「今日風紀委員の取り締まりの日だぞ!」
「やっべ!雲雀さんに咬み殺される――!!」
「じゃあな!三浦!」

風紀委員長である雲雀恭弥はいつもトンファー常備の危険人物だ。群れているもの、拘束を破るものには容赦なく制裁を下す。よりにもよって取り締まりの日に遅刻なんて咬み殺す体のいい理由を作っているようなものだ。

「君たち……完璧遅刻だね。…咬み殺す……!」
「ひぃぃ!」
「っげ!」
「やばいのな――。」
「あんの野郎……!」

三者三様の反応。でも逃げなければならないことに変わりはない。
全速力でダッシュして雲雀が前に立っている校門の直前で足に力を入れる。

「よぉ、っと。」

校門はそんなに高くない。男子だったら気合を入れればとベル高さ。だが、それができない運動音痴弱冠一名。

「ひぃぃ!」
「あ、ツナ!」
「十代目!」
「あー…」

しっかり雲雀恭弥にトンファーで威嚇されている沢田綱吉。

「あ、いいよ!三人とも行って!まだ遅刻に何ないし!」
「で、でも」
「………おら、ぐだぐだいってないでいくぞ!右腕!」
「え、あああ――!十代目ぇぇ――!」
「じゃあ、ツナ!先言ってるのな!」

三人で再びダッシュ再開。校舎に入ろうと靴を脱いでいるときにちらりと後ろを振り向けば、久しぶりに見るあいつの穏やかな笑顔があった。

「………。(もう、俺には見せねえもんな…)」

隠してるつもりなのだろうか。綱吉も、きょう、やも。
俺にも、隠せてると、そう思ってるんだろうか。

「まっ幸せなのは何よりだ。」

早くいかないと遅刻しちまう。





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