君に会いたい
斎藤さんと出会った中二の春。夢みたいなあの日々から二年たち、私は高校一年生になって、あのしょっぼいしょっぼい島から毎日船で登校していた。そんな私たちは本当の奴らからは田舎者扱い。お前ら、東京行ったら全員田舎者だぞ。
「あ、そういやあき、明日から東京でしょう。」
「うん。そうどす。」
いきなり話しかけられて語尾が変になった。頭を思い切り鞄でたたかれた。なんかむかついたらしい。なんて理不尽な!!
「なんで?なんか用事?」
「うぅん。じいちゃんの一回忌。」
一年前、離婚した父方の祖父が死んだ。祖母はもうとうになくなっていたから、今父は一人で東京の家に住んでいる。
そのために東京へ行くのは陰鬱だったが、久しぶりの本土だ。それに父にも会える。母は島から出られないけれど、せめて精一杯小旅行を楽しもう。
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一部完結からずいぶん経ってました。
すいません。