恨み
二人のしたい。徳兵衛は椿さんをしっかり抱き締めていた。俺が呆然とする横に、もう一人の男の死体。そしてその後ろに沖田さんと原田さんがたっていた。
『頼むっ、ようやく、見つけたんだ。』
『あきさんは女の人でしょう?』
『おまえ、椿さんからもらったってまじかよ』
『わたしを、抱かないでありんすか?』
『あき。』
『あきさん。』
この世界の、たった二人のともだち。
二人の幸せは、絶えてしまった。
俺が何よりも願っていたものは、ここで、消えてしまった。
徳兵衛は小刀を握っていた。その刀についているのは、きっと、2人の血だ。2人の左手の小指は、地面に落ちていた。
「ねえ、これ、今度こそ屯所につれていかなきゃいけないでしょ。」
「おい、沖田……。」
「ねえ、」
俺がたちたがって振り返ると、二人はこちらに視線を向けた。
聞きたいことはただひとつだ。その答えで、俺のすることがきまる。死ぬか、それとも、
「こいつは、新撰組だな?」
「まぁ、な。」
「そう……じゃあ、いいよ。屯所に、つれてって。」
「へえ。今日はものわかりがいいんだね。」
「うるせえよ。」
ひどく気が立っている。方眉をあげる、沖田さんを見据えると、はらださんがちかづいてきて、俺の手首に縄をかけた。