椿の恋2
新撰組だ。だが。彼らは、違う。
「なんだ、こいつ……!?」
腕を切られたのか徳兵衛が赤く染まった腕を押さえる。椿さんが悲鳴のような声をあげた。
「徳兵衛、逃げな、きゃ。」
危険信号。目の前にいるのは新撰組じゃない。髪は白く変色し、目は赤く染まって焦点はあっていない。人間とは、なにか違う。
「徳兵衛!!椿さんと逃げろ!」
その声に徳兵衛はこやちらを振り向いて、そんなことできるわけ、という顔を一瞬したものの。目があって、そしてうなずいた。
逆方向に走りだし、そして俺は男に向かって走った。男は二人。二人ともついてくればいいが。後ろは振り返れない。
(すっげえ、こわい)
でも、逃げるわけには、
『幸せになります。必ず。』
いかない。