ゲルマニウム
「あ。」
「お。」

なんてこった。島原で一番合いたくない人トップファイブに入る人間と出会ってしまった。すなわち、新選組の俺を殺そうとした赤髪男、もとい原田左之助である。ちなみに一位は斎藤さん。二位は沖田さん。三位は徳兵衛につぐのがこの原田であった。

「へえ――お前も島原とか来るんだな。」
「そうですね。さようなら。」
「どこの店だ?行き着けとかあんのか?」
「いえべつに。さようなら。」
「あぁ?なんだよ。この前は悪かったって。」
「いえ、特に気にしてませんから。さよ「で?どこの店だよ。」……。」

うっぜえええええ.

「いえほんとに、ほんとに。ちょっとお届け物なんで。」
「ふーん、あっそ。じゃ、いいや。この前は悪かったな。殺そうとしちまって。」
「殺そうとしちまってってこいつ……」
「あ?」
「いえ、なんでも。じゃ、失礼しまーす。」


あぶねえあぶねえ。思わず心の声が表に出てせっかく折った死亡フラグが再びにょきにょきしちまうところだったぜ。
早く椿さんの所に砂糖細工わたしがてらいこう。最近は外に出るのもままならなくなっちまったぜ。

「椿さん。」
「はいよ。」

店の前まで行き若衆に告げれば会談へ案内され頂上まで上がる。暗い廊下のところどころに赤い提灯。淫靡な雰囲気を醸し出すその場で、俺はその場にふさわしい行為に至ったことはなかった。

「椿さーん。お久しぶり。」
「あき、さん……。久しぶりです。」

久しぶりに店に来てあった椿さんは少し顔色が悪かった。

「あき、さん……」

そしてその原因は砂糖細工を渡し布団の上で寝転がって話していた俺に、唐突に告げられた。

「え……?」

俺は若衆に時間だと告げられるまでその場で固まって動けないでいた。



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