艶やかな街
「新選組にお世話になったって聞きましたわ。」
「え、あぁ。はい。」

島原に行った。第一声。椿さんにそういわれた。
お酒をちびちびと飲みながら微妙な返事を返せば笑われた。そういえばとどうして知っているんだと聞けば若衆の一人が大八さんに言われたらしかった。

「もう、あの人は……。おかげでお客さんの機嫌損ねちゃって。」
「あらあら。おんなってもんは面倒くさいですからねえ。」

お酒を飲んでいろいろなことを話す。椿さんはいろいろなことを知っていて話していて楽しかった。友達と話している気分にさえなった。これが彼女の太夫たる所以なのだろう。

「あたしを、抱かないでありんすか?」
「……抱いてほしい?」
「あたしに決める権利はありません。」
「そう。俺にも決める権利はないよ。そういうのは、お互いの問題でしょ。」
「………っふ、」
「え?」
「珍しいお客さんでありんすねぇ。」

笑う椿さんは可憐で美しい。それでも抱くことはできない。
俺は女だもん。



17/26
prev bkm next


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -