予兆。覚醒。進行。


連載番外篇白ひげ未来話でマルコif話。「白い世界。黒い染み。届かない青。」の続きと言うか後日の話。
懲りずにパラレル気分で_(:3」∠)_ カオスな男女関係を書くのが楽しい




身体が、キツイ。
無理矢理捻じ込まれた感じで苦しい。

よし、ちょっと動くか。

足を動かすと。

「×××!」

マルコの焦った声。

「あ、ごめん。ぶつかった?」

「ちが…っ! う、ごくな!!」

「だって身体キツイ。…っと、ちょっと我慢して?」

何たって今私は海老反りの状態なのだ。
シャチホコ状態で非常に苦しい。

再度足を無理矢理動かしたら、内腿がぞわりとした。
?!、何? 髪の毛??!
え、

「動くなって言ってんだよい!」

ビク、と身体が固まった。
怒鳴られたのと―― 息がかかったから、だ。
動かしたその内腿に。

え?

私今マルコの上に乗ってるけど… まさか、まさか。

「怒鳴ってすまねえよい… が、×××。勘弁してくれ…」

身体が震えた。
マルコが喋ると同時に内腿に息がかかるから。

………って!! それって!!!!

「ちょ! マルコやだ、何でそんなとこに頭あんの?! 頭取ってよ!!」

「阿呆! 取れるかよい頭なんて!」

恥ずかしさに無理矢理体勢をどうにかしようと暴れようとしたけど、狭い場所に押し込められてて碌に動けない。

どうもマルコの身体の上で斜めに海老反りで乗ってる私。
反ってる腰がマルコの上半身に覆い被さり、先刻足を無理矢理動かしたせいでマルコの頭を挟んでる状態で。

あああああああああああああ恥ずかしいいいいいいいいいいい
シックスナインに近い状態じゃないか!!!!

恐らくマルコの顔の15センチか20センチ先には私の大事な処が… ああああああああああもう駄目死にたい。
私の方は斜めって被さってる分、頭がマルコの右側にズレて彼の股間の上ではないけど、これはこれで私だけが辱めを受けてる状態。

目の前にそんなもん晒してすみません…
うおおーー もう最低過ぎて泣けてくる。


天井が低く両足を膝で折り曲がって海老反ってるし、マルコの方も上半身が斜めに倒れかけ、足も半端に膝立てなキツそうな体勢。
縦も横も高さもキツキツの狭い空間に2人して全身攣りそうで。

ってか、なんでこんな時に限ってショートパンツなんか履いてんの、私は!! デニム履いてればまだ全然違ったのに!

そんな私の心情なんか知らないのか、マルコの息がまた足にかかる。
いやだ、肌が…!

「マルコ、お願いだから息を止めて!」

「出来るか。死ぬよい。」

呆れられた返事が来るけど、喋られても困るー!
早速足がビクついてもう身体が攣りそうだ。ううううう

「いやもう息しないで。喋っても駄目。お願い。」

返事がないから、解ってくれたのだろうか。
自分でも無茶言ってるのが解るけど、だって。
こんな辱めってない。ってか在り得ない、この状況。
自分の男でもない人と、こんな密着。こんな体勢、いやもう体位に近い。


その時、内腿を湿ったものが触れた。

「あっ!!!」

驚いて体が強張る。

「マルコ!」

返事はない代わりにそのまま彼の舌が這う。
ぞくぞくと身体の表面を何かが走った気がして、彼の足を掴んだ。

じっとりとそれは奥に進み。

あ、ああ、あ、

「や、…っ、」

いや、

「ま、ルコ…っ! …っあ!!!」

足の付け根に近い箇所がちくりと刺すように痛み。
同時に彼の指が私の足と背中を這って。

掴んでるマルコの足に爪を立てた。


何処にも性器になんか触れてもないのに凄く感じて。


やだ、こんな、


自由の利かない空間で動けない身体を弄られて、好き勝手にされてるのに嫌悪感が出ない私もどうかしてるし、
なんでマルコ―――


その時、物音がして。

瞬間、マルコが頭をズラして私の足の間から外れた。
…って、頭足の間から外せたんじゃない!


「…お前等何やってんの?」


やっと天井の扉が開き、光が差し込んで。

「…サッチ。良かった、引き上げて?」

海老反りのまま首を捻り、何とか視界にサッチを入れてお願いすると、おー、と声が聞こえて一気に抱き上げられた。
そのままサッチに抱きつく。

「マルコ、お前も大丈夫か?」

「ああ。」

マルコが立ち上がる気配がする。

「一体こんなとこで何してたんだ? イゾウに言われて来たらお前等二人こんな狭いとこに詰まってるし。」

サッチの呆れるような心配するような訳解らん、と言った口調に何とも言えなくなるが、そこはマルコが答えてくれた。

「奴にハメられたんだよい。」

「何だそりゃ。」

私も何だそりゃ、だ。


確かにイゾウに頼まれてマルコとこの食糧庫に来るように言われたけど。

電気が付かずにあれ、と戸惑っていたらマルコが落ちて同時に私の足元が何かに突っかかり、
ここに2人して落ちてしまった途端に扉が閉まって、騒いでも開かなくて。

そもそもこんな床下収納みたいな隠れ場所があるなんて知りもしなかったし、ほぼ同時に転んで何であんな体勢になるんだ私は。
頭の位置が逆だったからあんな事になったし、頭の位置が同じだったら―――
…何も起こらなかった、よね?


マルコがサッチに問う。

「奴に何て言われたんだよい。」

「ん? マルコが面白い事になってるから見に行って来いって。ついでに×××も助けてやってくれってな。」

「………あの野郎。」

ちっ、と舌打ちをマルコがした。

イゾウに謀られた?、けどこんな悪戯して何が楽しいの?
男同士の付き合いってよく解らないや。

マルコは不機嫌そのものだけど、サッチの方は色々考えてるみたいだし、面倒臭いから私は関わらない事にした。
イゾウには直に話を聞けばいいし。

気まずいけど、ここで普通に接しないと今後やり辛くなっちゃうから、マルコとは普通にしよう。

「マルコ、先刻は頭蹴っちゃった? ごめんね。」

サッチに抱かれたままで何とか笑顔を作って言うと。

「…平気だよい。×××、顔がまだ赤いけど大丈夫か?」

不機嫌顔を崩して、そう言いながら頬を触られる。

何言ってんの! あんたのせいでしょーが!
そう言いたいのをサッチがいるし、唇を噛んで我慢する。

「無理な体勢だったから身体がキツかっただけ、何もない。」

答えになってんだか、な返事をしてサッチにまた抱きつくと。

「そうかよい。」

とプ、と笑われた。
ムカつくなー。
何だよ、私揶揄われただけじゃん。
それなのに一人勝手に意識したみたいで嫌になっちゃう。

何か微妙な空気を察してくれながらも、敢えてツッコまないでくれたサッチに感謝だ。
空気を読む男で嬉しい。

お願いして降ろしてもらい、じゃあ私戻るね、とそそくさとその場を後にした。


男ってあんな密室で密着状態だと、誰にでも手を出しちゃうもんなのかな。
そうかもしれない。
種を残そうと本能が動くとか? …いやそれって都合のいい言い訳ってかこじ付けだよな。

何か納得いかないしモヤモヤするけど済んだ事。
誰かに相談出来るもんでもないし、それこそエースに言ったらとんでもない事になるの確実。
付けられたと思うキスマークも普通は見えない処だし、きっと大丈夫。
あ、今からでも着替えた方がいいか。


今回の事は私が気にしてなく黙っていればいいだけ。

あっちも全く気にもしてない態度だったから、こっちも気にしてない態度取ればいい。


うん。
それだけ、だよね。


意識するのも可笑しいよね、うん。
マルコに揶揄われただけだもの。



そうして無かった事にしようと気に留めないようにした。




――― 一方、その場に残されたマルコの方は。



「マルコ、お前何したんだ?」

「特に言うような事はしてねえよい。」

「言えねえ事しかしなかった、だろ?」

鋭えな、相変わらず。
サッチに視線を合わすと少し呆れたような顔をしていた。

「お前さあ、どうすんの? ×××の事好きなら表に出せばいいんじゃね? だからイゾウもワザと構うんだろ。」

「…るせえ。お前等に関係ねえよい。」

ハーッ、と溜息を吐かれた。

「まあ俺は×××の味方だから、誰と×××がくっつこうがあれが選ぶのなら文句はねえがな。」

サッチが出した言葉に少し疑問に思い、思わず口から言葉が出た。

「お前は×××とエースがくっつくのを応援してると思ってたよい。」

俺の言葉を聞いてん?、と言った後に嗤うサッチ。

「ああ、エースならいいだろうって話なだけだ。エースも成長したし、×××は元々はエースの女だったしな。
が、要は×××を支えれる男ならいーんだよ、俺は。お前でも、エースでも、イゾウでも。
あの忌々しい七武海と張れるタマ持ってる男なら、文句ねえよ。」

その思いは俺等と何ら変わりはねーんじゃねえか、と思うが。
解っているのだろうか。この男は。
いや、解っているから己の立場を死守してそれを崩さねえんだろう。

「そうかよい…」

「そういう事。だからお前も決断付いたら早く告っちまえよ?」

バン、と背中を叩かれた。
痛えよ、阿呆が。

「まあまだ様子見だよい。」

そう言うとサッチが

「グズグズしてるとあっと言う間にオッサンになっちまうぞ?」

なんて言うから蹴りを入れた。

「何しやがる!」

「うるせえよい。てめえも俺と年変わんねーのにほざくな!」

「俺はいんだよ。誰かさんみたいにウジウジ悩んでねーからな! っと危ねえ!」

「年は関係ねえだろ、」

そーですねー関係ないですねー、とサッチが言いながら去っていくのを見ながら自分の言葉が尻窄みになった。


×××は俺等と年が殆ど変わらないあの糞ムカつくピンクと付き合ってたし、と気付いたら自分と×××の年齢差を計算してて。


ああ、まずいよい。

自分が追い込まれてるのを感じた。


お題:少年の唄。

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