100回言って!
「冬馬君、ピザって十回言って」
「ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ」
「おつかれ」
「おい」
・
「ピザって百回言って」
「さすがに多すぎるだろ」
・
「ピザって百万回言って」
「やだ」
「ずっと一緒にいようねって意味なんだけど」
「……おう」
・
「冬馬君って白無垢派? ドレス派?」
「なんだよ突然……知らねーよそういうのは着るやつに訊けよ」
「だから訊いてるんだけど?」
「え?」
「え?」
・
「冬馬君冬馬君! 僕すごいことに気付いちゃったんだけど」
「なんだよ。どーせくだらねえことだろ?」
「むー。じゃあもし冬馬君がびっくりしたら百円ちょうだい」
「いいぜ。……あ待て! びっくりしなかったらお前が百円払えよ?」
「いいよ。あのねー……北斗君ってカツラなんだよ」
「ええええっ!?」
「はいびっくりしたね。百円ちょうだいしまーす」
「おいそれマジなのか……?」
「え? 嘘だよ」
「えっ?」
「いいじゃんびっくりしたんだから」
「はあああああ?」
「ホントはねプロデューサーさんの昼寝が長いって言いに来たんだけど」
「びっくりするほどどうでもいい」
「だよねー」
・
福岡帰り
「はい、お土産」
「サンキュー……って食いさしじゃねーか!」
「おいしかったよ?」
「そういう問題じゃねえ!」
「ワガママだなあ……じゃあさっき買った汗拭きシートあるよ。使ってないやつ」
「いらねえ! ていうか北斗には何買ったんだよ」
「博多ラーメン」
「なんでだよ!!!」
・
「冬馬君、好きって十回言って」
「……そんなことしなくてもちゃんと好きだからいいだろ」
「冬馬君……!」
・
「でもちゃんと聞きたい」
「…………好きだ」
「ありがと! あと九回ね」
「……百万回でもいいんだぜ?」
「冬馬君……!」
・
「冬馬君、電球切れた」
「マジか、替え買ってくる」
「え、僕を置いて? かわいい僕を置いていくの?」
「一緒に行くか?」
「面倒だからいい」
「じゃあ行ってくるけど」
「え、僕を置いていくの?」
「……分かったよ、今日は一緒にいよう」
「えへへ、冬馬君大好き!」
・
「ねえ、リングサイズってなに?」
「アレだろ、指の太さとかだろ」
「どうやって測るの?」
「知らねー……」
「じゃあ今度一緒にお店行こっかー」
「おー、……え?」
「え?」
・
「ジビエ料理って出来る?」
「俺をなんだと思ってるんだ?」
「出来るの?」
「出来ねえ!」
・
「病めるときもー、健やかなるときもー」
「おー」
「続き分かる?」
「……知らねー」
「僕も知らない」
「大事なのは言葉より……その、気持ちだろ?」
「冬馬君……!」
・
「あと百万引く一回残ってるんだけど」
「アレまだ続いてたのか」
・
「今日のカレーはプロ以上の出来だな!」
「え? 何言ってるの冬馬君。全然だよ全然」
「んだと?」
「だいたいプロは毎日作るんだよ? 冬馬君作れる? 僕に毎日カレー作ってくれる?」
「んなの楽勝に決まってんだろ!」
「えへへ!」
・
「うお、電球切れてるじゃねーか!」
・
「ずっと一緒にいようね」
「おう」
「病めるときも?」
「いつでもな」
「百万回言い終わったら?」
「また百万回だ」
「えへへ」
「言っとくが、二人合わせて二百万だからな?」
「……冬馬君、大好き!」
20171005