になもも | ナノ

になもも

「桃香さん……」
「っはは、仁菜、珍しく緊張してんのか?」
「緊張……っていうか、ドキドキしてます。桃香さんと……」
「あんま生々しいこと言うなよ」
「桃香さんは……初めて、ですか?」
「……ん。そうだよ」
「わあ……嬉しいです。私、絶対桃香さんを気持ちよくしてみせます!」
「声デカいって……そういうの、別に気にしなくていいよ」
「なんでですか? せっかくの初めてなんですよ? すーっごくいい思い出にしたいって思わないんですか?」
「あーあーうるせー……仁菜と、の時点で十分いい思い出になってるよ」
「桃香さん……! 私っ、頑張ります!」
「張り切んなって……」
「私も、桃香さんが最初で良かった……桃香さんに大人にしてもらったんだなって、ずっと思えるから」
「へいへい……ん? 待て、仁菜お前何歳だったっけ?」
「じゅうなっ……十八です」
「嘘つくな十七!? 待て待て待て中止だ中止! 降りろアホ!」
「なんでですか! もうやる気まんまんだったじゃないですかー!」
「未成年に手出したら捕まんのアタシなんだって!」
「絶対言いません! 桃香さん誰もいなかったら赤信号平気で渡るくせに!」
「信号はいいだろ別に! 誰もいねーんだったら!」
「私だってっ、誰にも言いません!」
「言う言わねーじゃねーんだよ。あのな、アタシが捕まるとか以前に、未成年を保護するために法があんの。アタシのためじゃなくて、仁菜のためにやめようって話だ」
「なんでですか。私がいいって言ってるのに、何が私のためなんですか!」
「未成年のお前には判断力が無いって言ってんだ。将来後悔するかもしれないだろ」
「しません!」
「分かんねーだろ!」
「しません! 絶対! なぜなら!」
「なぜなら!?」
「私はっ、桃香さんを! 愛しているからです!!!!」
「声デケえよ!!」
「愛しています!!!! 桃香さん!!!!」
「デケ、分かっ、オイ!! 服捲ってんじゃねえよ!!」
「桃香さん!!!!」
「押すな! しねえから!」
「……分かりました。十八まで待ってくれますか?」
「……ん。当たり前だろ」
「当たり前……なんですか?」
「そりゃあアタシだって……あ……愛……から」
「え? 聞こえませんでした」
「こういう時だけ耳遠くなんなよ……」
「お願い! もう一回お願いします!」
「うるせー!」
「あー! 指立てないでくださいよ!」
20240630


×
第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」
- ナノ -