過去 | ナノ

あらゆる組み合わせ

「ひーちゃんは僕の後をずっと着いてきていてね、朝なんかこんな小さな手で僕のズボンを引っ張ってお兄ちゃん学校行っちゃうのって言うものだから、もう学校辞めちゃおうかと思ったよ。義務教育だったけど」
「へー、かわいいですね。盛ってません?」
「比鷺は本当にかわいいよ。小さい頃から今でもずっと。それだけじゃなくって大きくなると聡明さが際立ってかっこよくなったし、それにゲームも上手でみんなに好かれていて」
「ていうか、鵺雲さんの小さい頃の方が興味あるんですけど」
「さあ、あまり昔のことは書かれていないから」


「奥様が巡と俺に時々間食を振る舞ってくださったんです。言い訳にもなりませんが、幼かったので俺もそれを素直に受け取って食べていました」
「それが何かまずいのかな」
「いえ、断るわけにもいきませんから、あれで良かったと思います。ただ、俺はそれを父に報告したことがないんです。子供なりに後ろめたさがあったのだろうと……我ながら嫌になります」


「俺たちがまだほんとちっちゃい頃、俺がなんかで嘘吐いたんですよ。佐久ちゃんが……違うか。佐久夜が俺のおもちゃ取ったーとかって。そんなことあるわけないんですけど。とにかく癇癪起こして泣き喚いてたんです」
「そうしたら騒ぎになってしまったの?」
「騒ぎってほどにはなりませんでしたよ。すぐ佐久ちゃんの親父さんがすっ飛んできて、話も聞かずにあいつのことグーで殴り飛ばしたんです。いや平手だったかな。佐久ちゃんがすごい勢いでぶっ飛んでって、俺びっくりしちゃって泣くのも忘れました」
「それは驚くね」
「で、親父さんは幼児の俺に土下座したんですよ。佐久ちゃんも引きずってきて頭押さえ付けてさ。ちっちゃかったから意味とか分かんなかったけど、とにかく引きました」
「引いちゃったんだ」
「ずーっと覚えてますよ、あの時のこと。衝撃だったから。でもあれ今思うと、佐久夜が躾られてたっていうか、俺が分からせられてたんですよね」


「俺がちっちゃかった時なんて天使のようにかわいかったからね。今でも美形ですけど。ほら、家の階段のとこで昔──」
「……おい、なんだよ。変なところで止めるな」
「や……このエピソード俺のだか兄貴のだか分かんなくなって……」
「…………そんなことあるか?」
「あるんだよ!」
20230412


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -