誰かじゃない、誰でもない | ナノ

誰かじゃない、誰でもない

アナザーエンド

「──しばらく控えた方がいいかもですね。この間の、結構捜査が続きそうです」
「選び方が悪かったな」
「私のせいにしないでくださいよ。証拠残してないでしょうね?」
「大丈夫だろう。今までと同じだ」
「ほとぼりが冷めるまでは待つしかないでしょうね」
「そんなこと分かってる」
「衝動的に刺しちゃったとか、止めてくださいよ」
「そこまで馬鹿じゃない。君じゃないんだから」
「信用はできませんよ。前科あるんですからね、貴方」
「衝動というなら抑えられないこともあるかもしれないが」
「うーん、なんとかなりませんかね? ほら、性欲の方だけで手を打つとか」
「今さらそんなのだけじゃ……」
「思ったんですよ。私、手伝えるじゃないですか? そっちも」
「はあ? 君が? 勘弁してくれ。全く好みじゃないし、金を貰っても嫌だ」
「そこまで言います?」
「大体僕には彼女もいるんだぞ。君とは比べ物にならないステイタスの」
「それも五人も」
「そこまで話したのか僕は……」
「でも、友達と寝たことはないですよね」
「なんでそこまで……君は僕に抱かれたがってるのか?」
「んなわけないじゃないですかー。お金貰っても嫌です」
「誰が払うか」
「私にはどんな手を使ってでも果たしたい目的がありますから」
「……そうか、分かった」
「何がです?」
「君は遥斗さん……阿鳥遥斗に抱かれたいんだ。僕に差し出すことで、彼に捧げたつもりになりたいんだろう?」
「……んなわけないじゃないですか」
「同じじゃないか、僕と!」
「……はあ、分かんないです。なんで貴方は理解者なんて求めたんでしょうね? 同じとか言われても、知った口利かれてもムカつくだけなんですけど」
「君はだいぶネジがイカれた人間だからね。そのうち分かるだろう、君には僕しかいないんだ」
「まあ、貴方に付き合うほかありませんからねえ」
20230129


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