突発!お悩み相談室! | ナノ

突発!お悩み相談室!

※四季隼要素あり

 ジュンと付き合い始めた。

 すっごく唐突な出だしなんだけど、オレたちがこういう関係になったのもなかなか唐突な話で、まずそこから話そうと思うんだよね。あんま話上手じゃないかもしれないけどさ。まあまあ。

 きっかけはモードコレクションライブ辺りだったかな? 覚えてる? ジュンとナツキが出たやつ。当然か。あの頃は二人だけ別行動ってことが多くて、それで正直オレとシキはイエーイ!って感じだったんだよね。もちろん二人が嫌いなわけじゃないよ? ただちょっと勉強したくなかったっていうか、ね?
 それでシキと二人でちょっとだけ(ホントにちょっとだぜ?)喜んでたらジュンがキレて、うわーってなって、じゃあ罰ゲームかご褒美かどっちか作ってほしいっす!ってなって、そしたらジュンが
「いいでしょう。なんでもしてあげます」
って、うわージュン大丈夫か! いろいろ! なんか! 嬉しいけど!
 そういうシチュエーションって、こう、イケナイあれやこれやで見たことあるっていうか(いやそんなにいろいろ見てるわけじゃないけど十八歳だしね?)そういうこと言うとオジサンがこうあらわれて、
『ふふふ……キミ今なんでもするって言ったよね……』
『えっ、な、なんなんですか! きゃー! やめてー!』
『良いではないか良いではないかー』
……みたいな、ちょっと古いか? とにかくあれやこれやな展開になってそれでだんだん
『やだ……やめて……』
『ふふ……口では嫌と言いながら下の
「えー、じゃあオレ予習ちゃんとやるっすからみんなでカラオケ行きましょー。ハルナっちは?」
「セッ」


 自重。実際には最後まできっちり、ナイス発音で、さっぱりがっつり言い切った。

 うわー! 今思い出してもやばいよ! 何言ってんのオレ! オッサンか! 周り引いてた。もう、いつだったかの節分より引いてた。ドン引きだった。ナツキなんて引きすぎて存在感ゼロになってた。もはや壁の一部だった。思い出したくもない!
「……いいでしょう。やってやりますよ。それでやる気出すのなら」
「うわー違う! 誤解だ! ごめん! 違うんだー!!」
「なにがですか! この! この(ピーッ)め! (ピーッ)!」
「どこでそんな言葉覚えたんだよ! マジで違うから!」
 そうやって誤解だ誤解だと騒いで音楽室中を駆け巡ってるうちに、ふと、
『あれ? 何が誤解なんだ?』
という気持ちが湧いてきて、
『ジュンならいいのではないか』
とこうなって、
『いやむしろかなり嬉しい』
となってオレは大騒ぎのテンションのまま叫んだ。
「ジュンー! 付き合ってくれー!」
「なんなんですか全っ然誤解じゃないじゃないですかこのー! いいですよー!」
「それはごめんなー! ていうかホントにいいのー!」
「喜んでー!」
「ええっマジっすかじゃあハヤトっちオレと付き合ってくださいっすー!」
「なんでだー!」
 それからもてんやわんやの大騒ぎ、ドーナツ三個と雑誌数冊、音楽室のカーテンを犠牲にして、オレとジュンは付き合うことになった。シキとハヤトはまだみたい。あと壁と化したナツキを探すのも大変だった。
 かなり大声を出してたけど音楽室は特別棟のはじっこだし、周りには気付かれなかったみたい。そこは良かったな。カーテンは破れたけど。ドーナツもね。シキの雑誌は別にいいかな。

 で、だ。ここからが本題。前置き長くてごめんなー。
 つまりその、一応恋人同士なわけだし、寝る前のメール(ハート)とかさ、期待したくならない? でオレは送ったわけ。恋人だもん。

『ジュン今日もお疲れ(笑顔の絵文字)ライブ楽しみだな! 絶対見に行くから(猫の絵文字)』
 猫の絵文字はあざとかったかな? まあとにかく、それの返事がこれ。

『お疲(つか)れ様(さま)です。振(ふ)り付(つ)けは難(むずか)しいですが、ナツキと教(おし)えあって頑張(がんば)っています。応援(おうえん)ありがとうございます。おやすみなさい』

 読めるわ!!! さすがにこれくらい読めるわ! さりげなくナツキとのエピソード入れてこない!
 いやでも、いちいちふりがな降るのも大変だろうし、返事くれたのは嬉しいし、小言言ってこなかったし、結構喜んでるんだけどさ。でもせっかくなんだからさ、

『こんばんは(猫の絵文字)ライブ頑張ります(笑顔の顔文字)春名さんが見てるならますます張り切っちゃいますね(ハートの絵文字)』
とか、……ないな。ごめん。これはないわ。やっぱり今のままのジュンでいいや。うん。
 あれ? 解決しちゃった。あー、なんか、ごめんな? じゃあまたなんかあったらよろしくな!

□ □ □

 春名さんと付き合ってるんですよ。

 あ、ご存知でした? やっぱり。経緯とか……はい。全部……メールも見せた。なるほど。なるほど。
 まあそれは後でいいです。相談というのはつまり似たようなことなんですけど、その……春名さんの例の言葉……セッ……みたいな、あれです。
 そもそもの始まりがそれですから、当然春名さんの中ではいずれは……みたいなのがあるんじゃないかと思うんですが。
 調べてみて、嫌なわけじゃないですけど、その、男同士ですから当然、男女間では発生しえない問題があるじゃないですか。どっちがどっち、みたいな。衛生面とか。
 決めない、というパターンも珍しくはないみたいなんですよね。危険が伴いますし。
 僕と春名さんならどちらかというと……あくまで相対的にですよ……僕の方が女性に近い体格ではあると思いますよ。でもですね、その分、なんて言うか、狭いし、春名さんは大きいし、危険度で言ったら高いですよね。せっかくの機会が「痛い痛い痛い!」は嫌じゃないですか。
 かと言って、春名さんを僕がどうこう、って難しそうですよね。大きいし。体が。逆に気遣われそうです。くっ。
 僕の、身長に見合ったサイズですし、もちろん身長に対してちょうどいいくらいはあるので気にしてませんよ? でもいろいろ大きい春名さんをこう……させるのは難しそうですよね。努力は惜しみませんが。
 でも春名さんってモテるんですよ。ご存知ですか? アイドルですし顔も性格もいいし身長は高いし英語も話せるし頼りになりますし懐が広くていつもにこにこしてて……惚気? 四季くんの話ですか?

 本題に戻りますよ。僕がこう、
『春名さん……』
とか、さ、誘って、
『ジュン……』
みたいな雰囲気になって、
『どうぞ……』
ってなったら、僕完全に抱かれる側じゃないですか? あっちがそれでいいなら僕もそれでいいんですけど……。
 想像してたら恥ずかしくなってきました……僕らにはまだ早かったかもしれませんね。まだ手も繋いでないし……。
 えっ、つ、繋ぎたいわけじゃないです! 今のは言葉のあやです! 春名さんには絶対言わないでくださいよ!?
 ……まあでも、まだまだここから、ですよね。あ、解決しちゃいました。
 じゃあ失礼します。あ! すいません、絵文字の出し方教えて頂いてもいいですか?
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