▼鉱山のフィールド(試合)





「なにここ面白いっす姉御!」
「…キュースケ」
「あっ分かってるっすよ!しっかり!きっちり!姉御のサポートしますんで!」
「…そうか。頼むぞ」
「もちのろんっすーっ」


フィールドを見渡して歓声をあげる今回のパートナーを諌めながらも、エレムルス自身もこの舞台には興味を引かれるものがあった。
大小様々な岩、崖、トロッコ、岩肌には鉱石や鶴嘴、縄梯子や不安定そうな橋まである。踏み外したりぶつかったりすれば怪我は免れない代物ばかりだが、裏を返せば攻撃に利用しやすい環境というわけである。

(……鉱山、か。)

ゲームの発端になった先祖たちは確か鉱山で働いていたんだったな、と代々伝え聞いた話を思い出す。彼女にとってはある意味でゆかりのある舞台というわけだ。


ふと視線を感じて何となくフィールドを見回していた顔を正面に向けると、対戦相手の青年と目線がかち合った。
確か瑪瑙という名前だったなと目の前の顔と頭の中の記憶を照らし合わせる。隣にいる華奢で中性的な女子はアンジェリカといったはずだ。聞いた話によると、両者とも元は暗殺者らしい。絶対に油断はできない。

「……キュースケ、私は基本的に近距離・中距離型だ。最初は弓矢での援護を頼む」
「うっす!」
「いい返事だ」


「…両者、準備はよろしいですか?」


エレムルスとキュースケが気合を入れていると、審判のネヴァンから声がかかった。足場が不安定な場所であるにも関わらずいつも通りにヒールを履いていた。
転ぶのではないかとエレムルスは心配になって思わず彼女の足を見やったが、もう遅かったようでスリットから覗く足には痛そうなすり傷と絆創膏が鎮座していた。それでも仕事中だからかきりりとした顔を保っているあたりはさすがと言うべきなのだろうか。



もうすぐ、試合の幕が開ける。


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かのとさん宅キュースケくん、ミン88さん宅ネヴァンさん、お名前のみ桜レオンヌさん宅瑪瑙さんと火燐灯子さん宅アンジェリカさんお借りしました。 

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