*白石がひとりえっちしてるだけ





act-5





「はあ、はあ、は…っぁ…」

真っ暗闇の俺の部屋で、荒い息づかいだけが響き渡る。
身体が震え、喉が渇く。
けれど、それは水を飲んでも満たされない渇き。

「けん、や…ぁ…」

この欲求を解消してくれる謙也はもういないのに、俺はその名前を呟く。
あれから一週間、謙也はクラスでも話しかけてくれなくなった。
媚薬を飲まされていたとはいえ他の男に犯されてしまったから、謙也はもう俺に触れてくれないのだ。

「ああ、は、けんや、…あっ」

緩く勃ちあがっていく性器を取り出して、本能の赴くまま扱く。
いつも謙也にされているみたいに、痛いくらいキツく握ってひたすら快感を得る。

「あ、あっ、は…ああ…ん…」

この手が謙也だったらいいのに。
そう思うと、謙也の性器を求めて後ろの口が寂しげにひくひくと痙攣した。
我慢できなくなって、俺はベッドの隙間に隠してあったバイブを取り出した。
謙也が俺の家に来たとき、たまに使うからと言って置いていったものだ。

「んん…」

謙也の性器を舐めるようにバイブを丹念に舐めるけれど、味はやはり無機質で冷たく、汗の味も先走りの味もしない。
唾液でベタベタになったところで、足を広げて一気にそれをアナルに突っ込んだ。

「ああ!けん、やあっイイよぉ…!あー…ッおく…っ、んああっ」

家族に声が聞こえてしまうかもしれないのに、我を忘れて喘ぐ。
冷たく血の通っていないバイブでも、スイッチを入れて前立腺にあたるように調節すれば、謙也の肉棒と同じくらいの快感を得ることができた。

「ひああんっ!は、あ、気持ちええ…っ、けんや…っああ、あ…!」

奥へ奥へと入れていき、抜き差しを繰り返す。
痛くなるように、ギリギリまで引き抜いては一気に最奥に突っ込む。
振動も一番強くして、更に自分を追い詰めた。

「ああ、ぁ、あっ、あぁ、あッ」

謙也の性器を入れられていると思い込めば、気持ちよくて仕方なくなった。
強すぎる快感によって、アナルに痛みが走る。
それでも痛いくらいが丁度よくて、前立腺をぐりぐりと攻め立てた。

「あっイク!ああッあああああ!!!!」

何回か抜き差しすると快感の波が押し寄せ、先端から精液が飛び散った。
指にまとわりつくそれを、すかさず口に運んでは体内に取り入れる。

「はぁ、はぁ、はぁ…ん…おいしい…」

自分の精液を飲み込んで、美味しいと思うなんて狂ってる。
一週間前に自分の精液を飲まされてから、もう精液なら誰のでもよくなってしまったのではないだろうか。

「けんや…」

それでも、やはり謙也の精液が恋しい。
身体の震えが止まっても、喉の渇きが治まっても、心は満たされないまま。
あの頃のように、毎日飲まされたっていい。
毎日気絶するまで犯されたっていい。
謙也じゃなきゃだめだ。

「けんや、けんやぁ…」

胸が苦しくなって、涙が溢れた。
それでも、俺の手は無意識に性器へと延びていく。

「あ…っ、はぁ、ああ、あっああ…」

狂ってるなんて、そんなの今更だ。
謙也にこんな身体にされた時点で、もうとっくに狂ってるのに。
どうせ狂っているのなら、もういっそ。

「けんや、あ、のみたいよぉ…!」

堕ちるところまで堕ちたって構わないから。















――――――
2010.11.15
だんだん白石が病んできました。
にしてもひとりえっちって書くの難しいね…!


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