2010.10拍手:ちと光






「光くん…?」

俺の家のソファーに座って一緒にトトロ観ていたのに、光くんはいつの間にか寝てしまっていた。
観ている途中、俺の肩に頭を傾けてきたあたりで眠いんだろうなとは思っていたけれど、ものの数分で光くんはすっかり熟睡してしまった。
今は俺の膝枕で寝息をたてている。

「光くん、風邪ばひくとよ。起きなっせ」

「………」

返事は、すーすーと静かな寝息。
俺はゆっくり立ち上がってその辺にある毛布を取って光くんの肩にかけた。
毛布の重みに気づいたのか、光くんは僅かに目を開けた。

「あ、起きたと?」

「ん…もすこし…」

「ありゃ、また寝てしもたばい」

足をまるめて本格的に寝る体制に入ってしまった光くんの頭をそっと撫でると、光くんの表情が少しやわらかくなった気がした。
つくづく猫みたいだと思う。
出会った当初はそっぽ向いていたのに、エサをあげた途端になついてきた近所の黒猫のようだ。
嫌味を言われたり、キツい一言をお見舞いされたりしていたのに、今では頭をなででも心地よさそうにしている。
光くんは普段誰かに甘えたりしないから、2人きりのときは思いっきり甘えてくれる。
そのギャップというか、俺だけに甘えてくるところが可愛くて仕方ない。
近所の黒猫を一番可愛がっているのは、光くんに似ているからだ。

「…光くんは甘えんぼさんばい」

「すんません…」

「もっと甘えてもよかとよ?」

光くんは安心したように笑って、腿に頬擦りしてきた。
本当に可愛い、俺だけの猫ちゃん。
思わず顎の下をくすぐってやりたくなる。
「俺は猫とちゃいます」って怒るかな。
でも、猫みたいだからそういうことをしたくなってしまう。

「せんぱいは…あまえさせてくれるから…すき…すわ…」

ただ、光くんと猫の違うところは、こうして想いを口にできるところ。
だから俺は、よくなついてくる近所の黒猫よりも、光くんが好き。





――――――

光は千歳の前だと甘えんぼさんだといいなあ^^
ちと光はほのぼので甘いのが理想ですね。