*無理やり要素を含みます
*一部過激な性描写を含みます





「今日、蔵ん家行くから」

今思えば、この時から謙也はおかしかったのかもしれない。
俺は、その笑顔にすっかり騙されていたのだ。
この時はまだ、久しぶりに謙也の精液を飲めるのが嬉しくて、これから起こることなど予想もできていなかった。





act-4





俺の家に着くなり、謙也はいきなり俺の腕を引っ張って風呂場へと連れていった。
よくシャワーを浴びたりするから、風呂場の位置はもうすっかりわかっているようだった。

「いたっ!」

脱衣場に押し倒されたと思ったら、謙也は乱暴に俺の服を引きちぎった。
謙也の顔は、ひどく苛立っているようで先程までの笑顔はどこにもなかった。

「どしたん、謙也…」

「どしたもなんもあらへんやろ、この淫乱」

「え…?」

「お前は誰のモンかわからせたるわ」

「ちょ、や、やめ…っ」

肌蹴たシャツの隙間から、謙也が乳首に噛みついた。
歯があたって痛いのに、謙也によって開発された俺の身体は、下半身に熱が集まっていくという形でわかりやすく反応する。

「あん、あぁッやあ!」

「痛いのがええんやろ」

「んああ…!ひん、あっあああ!!」

性器を強く握られでも、快感は増すばかり。
俺は自らベルトを緩め、下着ごと脱いで全裸になった。

「ちょお、起きろや」

無理やり起こされると、今度は浴室へ連れていかれた。
今度は壁の方を向かされ、背後から謙也が覆い被さった。

「どしたん謙也、今日の謙也おかしいで」

「おかしいのはお前やろ。他のヤツにあっさりヤられよって」

心臓が止まるかと思った。
どうしてそれを謙也が知っているのだろう。
俺はこのことを誰にも言っていないのに。

「なんで、それ…」

「財前がなあ、言ってきたんやで?「白石部長の尻、めっちゃよかったっすわぁ」ってなあ!」

「痛あっ!」

思いっきり強く性器を掴まれ、乱暴に扱かれる。
ローションも唾液もつけずに弄られ、さずかに痛くて涙が出てきた。

「うう、んあッあ―…っ」

何回も擦られ、強制的に射精させられた。
風呂場に精液独特の臭いが充満する。
その臭いにあてられたのか、急に喉がカラカラと乾いてきた。
謙也の精液が飲みたい。

「あ、けん、や…せーし…っ」

「は?精子ならそこにあるやん」

謙也は、壁に飛び散った俺の精液を指差してそう言った。
自分のなんて飲めない。
俺が欲しいのは謙也のだ。
必死に首を振ったけれど、謙也は許してはくれなかった。

「お前は淫乱やから自分の精子くらい飲めるやろ?」

「や、やだ…いやや、」

「嫌やなんてよお言うわ、飲めるくせに。ほらはよせえや!」

謙也は俺を怒鳴りつけた。
それが恐くて恐くて、俺はしゃがみこんで壁についた精子を見つめた。

「おっそいわ」

謙也は舌打ちすると、俺の頭を押さえつけて無理やり舐めさせた。
謙也に睨まれ、それを飲み込む。
ああ、どうしよう。
おいしい。
自分の精液でさえも美味しく感じるほど、俺の精液中毒はひどくなっていたらしい。
俺は床に落ちた精液も舐めて飲み込んだ。

「どや、美味いんか?」

「は、ん…おいし…」

「うわ、淫乱どころやないな。この変態」

ひどい言葉で罵倒されても、俺は自分の精液を舐め続けた。
この臭いが、もうすでに俺の脳はそこに好物があると知らせるのだ。
この苦さ、しょっぱさ、喉に絡み付く感覚、全部を本能が求めている。
謙也のと味は違っても、所詮は精液。
根本的にはどれも同じ成分なのだ。
謙也のも飲みたくなって、十分勃起した謙也の性器を咥えようとした。

「なに勝手なことしとるん」

「え…」

「やめろや」

口に含む直前で、謙也は俺を止めた。
謙也の精液を飲ませてもらえないなんて、生殺しもいいところだ。
それでも謙也は俺を突き飛ばすと、衣服をすべて脱ぎ、湯船に浸かった。
湯船には昨日のお湯が水となってまだ半分ほど残っており、割と水量があった。

「はよ上に乗れや」

「謙也、精子飲ませてくれへんの…?」

「うるさい、ええから入れさせろ」

湯船に浸かると、どうして謙也がわざわざ入ったのかわかった。
水なら、潤滑油代わりになるから。
ローションほどではないけれど、多少は滑りがよくなる。
俺は股がり、ゆっくりと謙也の性器をアナルへと導いた。
慣らしていなくても、先日千歳によって拡張されたアナルは、謙也ぐらいの性器なら楽に飲み込んでいく。

「ああああん!あん、ひ、ああん!」

「は、やっぱゆるゆるやな」

「あん、ひぅん…!気持ちええ…!謙也のおちんちん気持ちええよぉ…!」

自ら腰を振り、快感を求めた。
奥へと侵食してくるたび身体が震え、もっと快感を得るために咥えている性器を締めあげる。

「お前の尻はどんだけでも入るんやもんな」

急に、圧迫感が強くなった。
指だ。
指が、アナルの隙間から入ってきている。

「はあ、あ!あぁぁんッや、あ、おしり、こわれれてまう…あッひろがってまうぅ…!」

痛い、痛くて死んでしまいそうだ。
こんなに嫌がっていても、謙也は楽しそうに指を増やした。
しかもその拡げられた隙間から、水が逆流して中に入っていく。

「ああ!水が…あ…中に…ッ」

「中に液体が入ったら何でもええんやろ?」

「やああ!けんやのせーしがええ!せーし…ッ中にちょうらい…!」

「は、アホか。やるわけないやん」

中で性器がビクビク震え、そろそろ中出ししてもらえると思ったのに。
それなのに、腰をぴったりくっつけようとする俺の手はことごとくどかされてしまう。

「けんやぁ!お願いだから…ッなかに出して…あああ!」

必死に懇願しても、謙也はイく寸前で俺の身体を持ち上げ、性器を引き抜いた。
謙也の精液は湯船に放たれ、白く浮かんでいた。

「飲めるもんなら飲んでみ」

「う、…飲め、へん…」

「あ、そ。ほなはよ出て」

つまらない、という顔をして、謙也はさっさと脱衣場に戻って衣服を着替え直した。

「なあ、お前自分から千歳のちんこしゃぶったって聞いたんやけど、ほんま?」

「あ、あのときは…変な薬飲まされたみたいで…抑えきれへんくて…」

「……そか」

そう言い訳すると、謙也は穏やかに笑った。
よかった、そんなに怒っていないのかもしれない。
千歳に貰った熱中症飴とやらが興奮剤だとは思っていなかったのだ。
無理やり中毒症状を引き出されたようなものだから、俺のせいではないと、謙也はわかってくれたのだろうか。
嬉しくなって、玄関へ向かう謙也を見送りに行こうとした。
けれど、謙也は俺を突き倒した。

「け、謙也…?」

「触んなや」

「…!」

俺は放心状態になった。
そう、字のとおり心がどこかへいってしまったように思考回路が止まったのだ。
俺を見下ろす謙也は、微塵も笑ってなどいなかったのだから。

「自分からしたっちゅーことは、誰の精液でも飲めたらええんやろ」

「ちゃう…!謙也やないと…!」

謙也が俺を見る目は、ひどく冷たく、汚いものでも見るかのようだった。
このままだと、捨てられてしまう。
嫌だ、捨てないで。
謙也がいなくなったら俺は生きていけない。

「もうええわ、お前いらんから」

「謙也!いやや!」

謙也は俺を置いて家から出ていってしまった。
捨てられた。
俺の身体をめちゃくちゃにした張本人に捨てられてしまった。
もう謙也の精液を与えてもらえない。
もし症状が出たら、俺はどうしたらいいのだろう。
この時、俺はただただ凍りつくばかりで、謙也の背中を見つめることしかできなかった。















――――――
2010.10.8
うわあ…自分で書いといてなんだけど、白石虐めすぎた(^^;)
ごめんね!笑


表紙