*光視点 act-2 「も、無理っすわ…」 「なんや財前、もう休憩か」 確かにさっき休憩したばかりだが、こんなに暑かったらこまめに休憩しないと倒れてしまう。 今日はいつもより暑い日だった。 昼間あれだけ暑かったから夕方は涼しいだろうなんて考えは甘く、部活の時間になっても暑いのは変わらなかった。 運動量に比例して汗の量は半端なく滴り落ち、喉がひどく渇いていて気だるい。 なのに謙也さんはちっとも疲れている様子はない。 「ちょ、休ませてください」 「体力あらへんなぁ」 「謙也さんは元気っすね」 もう限界だと思ってそう言って、少し休憩させてもらうことになった。 水が飲みたい。喉が渇いて死んでしまいそうだ。 謙也さんはよくあんなに走り回れるな。 「あ、」 いつもペットボトルの水が尽きてしまった。 予備の水は部室にある。面倒くさいが、取りに行かなければない。 謙也さんに一言言って、部室へ向かうと、中に白石部長がおった。 どうやら練習メニューを書いているようだ。 「…ああ、財前か…」 「邪魔してすんません、飲み物取りにきました」 「そか…っなあ、謙也は…今…どこにおる?」 「謙也さん?コートっすわ」 「…用があるから、呼んできて、もらえん?」 「あ、はい」 体調不良なのか、白石部長は苦しそうに息切れしていた。 この暑さだ、健康に気を遣っている白石部長が弱っているのは初めてみた。 大丈夫だろうかと声をかけようとしたその瞬間、白石部長は膝から崩れ落ちていった。 「大丈夫ですか!?保健室つれてきましょか?」 「だい、じょ…ぶ、や…それより…謙也、はよ…」 「は?保健室つれてくくらい、俺でもできますよ」 「ちゃう…!謙也やないと、あかん…あ…っ」 白石部長は床に倒れて、すごく苦しそうに胸を押さえている。 保健室にいったほうがいいのは明確なのに、白石部長は頑なに謙也さんのことばかりだ。 とりあえず、白石部長の指示に従ったほうがいいのだろうか。 「わかり、ました…すぐ謙也さん呼んできます!」 なぜ謙也さんなのかわからなかったが、すぐに部室を出てコートへ向かった。 謙也さんを見つけてこのことを伝えると、謙也さんは血相変えて走っていった。 一体どうしたのだろうか、謙也さんの走るスピードは物凄かった。 部室についてすぐ、謙也さんは倒れている白石部長に駆け寄って起こした。 「蔵…大丈夫か…?」 「ん、ごめ…」 「財前、俺が保健室つれてくからコート戻っとり」 「え、せやけど謙也さん1人でつれてくん…」 「ええからはよ!」 怒鳴られて、訳がわからないままペットボトルだけ持って部室を出た。 謙也さん、いつもと全然違う感じだった。 俺がいたら困るというより、邪魔というか、何かを必死に隠すような顔だった。 大体、血相変えて走っていくことがおかしい。 体調不良と言っただけで必死になって駆けつけるほどのものなのだろうか。 少し気になって、部室の窓から二人の様子を覗いてみることにした。 カーテンの僅かな隙から見つからないよう慎重に覗いた。 二人だけの部室で、俺は信じられない光景を目の当たりにした。 「ん、けん…や…」 「ほんま、お前は場所選ばんと精液欲しいんやな」 「ごめ…抑え、られへんくて…」 なんだこれは。なんの間違いだ。ありえないだろう。 白石部長が、謙也さんのを舐めているなど、なんの冗談だ。 「あ、は…んん…ふ、」 「もっと動かさな出えへんよ?」 「ん、く、はふ…」 白石部長が、頭を必死に動かしてフェラしている。 俺は悪い夢でも見ているのだろうか。 手まで動かして、はやく精液飲みたいといわんばかりにやらしく舌を出して先端舐め回して。 なんで、二人はそういう関係だったのか。 いつから。どうして。頭の中が混乱している。 「ん、出すで…!」 「ふ…っ、んんぅ!」 謙也さんは達したらしい。 出された精液はというと、白石部長がごくごく溢さずに飲んでいた。 先ほどまで衝撃と嫌悪感があったのに、白石部長が色っぽくて、下手なAVより興奮する。 「財前、何しちょると?」 「わっ!」 突然後ろから声をかけられ振り向くと、千歳先輩がいた。 ただでさえ心臓がバクバクしているところに驚かされて心臓が止まるかと思った。 「ちょ、静かにして下さいよ!」 「なして?」 「………あれっすわ」 小声でそう言うと、千歳先輩はゆっくり覗き込んだ。 やはり千歳先輩も目を丸くして硬直してしまった。 顔を合わせ、それでも見るのは止められず、再び息を殺して白石部長たちの様子を窺う。 いつのまにか白石部長はズボンを脱いで下半身を晒していた。 今まで見とった白石部長は誰だったのかと疑う程、別人のように甘えた顔をしている。 「謙也ぁ…今日は突っ込んでくれへんの…?」 「おま、部活中やろ」 「せやけど、後ろの口も精子欲しがっとるもん…」 白石部長は机の上で足を広げて、やらしいところを見せている。 謙也さんもそれに興奮したのか、ジャージを脱ぎ始めた。 まさか、セックスするというのか。 まだ昼間、それ以前に部室で。嘘だろう。 「しゃあないなぁ…慣らしはいらんやろ?」 「ん、ええから、はよせーし飲ませて…」 上目遣いで白石部長にそんなことを言われたら、俺も我慢できないだろう。 案の定我慢できなかった謙也さんは、白石部長の足を持ち上げて一気に突っ込んだ。 「んぁああああ!!」 「蔵、声でかい」 「やって…ぇ…けんやの…おっきくて…っやぁあ!」 「蔵ん中も、ええよ…っ」 「あぁ!ひゃあんッ気持ちええよぉ…!や、なか…ッズクズクする…ぅ…っ」 本来そんなことするためのところでないのに、激しく突かれて白石部長は気持ちよさそうに喘いでいる。 痛くないのだろうか。自分だったら想像しただけでお尻の穴が痛いが、あんなに出し入れできるということは、よっぽど緩いのか。 普段冷静な人が乱れている姿に、俺も千歳先輩も目が離せない。 「あぎゃん白石、初めて見たばい…」 あたりまえだ。見たことあるほうがおかしいだろう。 けれど、物凄く興奮する。 いつのまにか俺の股間は膨らみ始めてしまい、千歳先輩もそうなのかと股間に目をやると、やはり勃起しているのがわかった。 男同士のセックスをみて興奮するのもどうかと思ったが、涎まで垂らして、自分で腰を振ってねだっている白石部長を見て興奮しないほうがどうかしている。 「けんやぁ…はよ、せーし…!」 「わかったから」 「ひゃう!あ、あぁあッ!あっ、いっぱい…欲しいよぉ…!」 「もうすぐやからな…」 「あぅ…!あぁあッ!ひん!はぁっ」 謙也さんは限界が近いのか、顔を歪めながらラストスパートかけだした。 「ん…っ出すで、」 「あぁ―ッ!はげし、けんや…あ!っひ、はぁあ!!」 「…ッ!」 「は、ぁあ…あつっ…け、やぁ!あぅ…あっつい…ッあぁん!」 中に出したのか、うらやましい。 白石部長は、うっとりしながら精液が出された余韻に浸っている。 「喉渇いて来てみたら、えらいもん見てしもたばい…」 「ほんまですね…」 俺と千歳先輩は顔を見合わせた。 おそらく、今の俺と同じことを考えているだろう。 いけないものを見たというより、いいものを見たという顔だ。 精液欲しがっている淫乱な白石部長を犯したいといったところだろうか。 「財前、俺いいこと思いついたばい…聞く?」 俺も白石部長に欲情していると察したのか、千歳先輩は口角をあげてそう言った。 耳を貸すと、やはり俺が思っていたことと同じだった。 相手が謙也さんだけじゃ満足できるわけがないだろう。 これは善意だ。 千歳先輩の計画を聞いてお互いニヤリと笑って、練習に戻った。 部室からもってきたペットボトルはとても温くなっていた。 ―――――― 2010.9.14 光蔵書くつもりが、いつのまにか謙蔵に戻ってた。 3の2が好きすぎました。 戻 表紙 |