(1/2)




Lesson 1




授業が終わって、いつもの部活の時間がやってきた。

「おはよう、財前」

「おはようございます」

いつもどおり、白石部長は早めに来とる。
今日はいつもより早く授業が終わったから、一番乗りかと思ったのに。
しかも謙也さん来とらんっちゅーことは、白石部長、ホームルームサボったんとちゃうか。

「部長、謙也さんは?」

「ん?ああ、なんや謙也は職員室に用事あるらしくてな。俺だけ先に来たん」

ま、白石部長に限ってサボるなんてことはありえへんか。
事務作業だろうか、白石部長はファイルをめくりながら、何やら書き込んでいる。
俺も来年はあないなことやらなあかんのやろか。
こんなはよ来て、自主練する暇もあらへんなんて、部長っちゅうのも大変や。

「あ、せや。財前、今日部活終わった後、時間あるか?」

「はい、大丈夫ですけど」

「ん、ならちょっとだけ残ってや。部長の引き継ぎで教えなあかんことあるから」

部長の引き継ぎ、か。
「部長」という単語に、一瞬思考回路が止まった。
今まであんま自覚あらへんかったけど、改めて引き継ぎだなんだと言われ、俺ももうそんな立場になったんやなと思う。

「はい、わかりました」

「ほな、部活終わったら部室で待っとってや」

どんなことやるんやろ。
練習メニューの組み方とかやろか。
それやったら難しから大変やろな。





「光、お疲れ」

「お疲れさんです」

部活が終わって、水を飲みながら白石部長を待つ。
白石部長はまだオサム先生となんや話しとって遅くなるみたいや。

「あれ、まだ着替えへんの?」

謙也さんが着替えとる途中で聞いてきた。

「白石部長に、部長の引き継ぎがどーのある言われて残らなあかんくて」

「おー、財前部長やんな!」

頑張れやー、と言いながら謙也さんは観たいテレビがあるとかでさっさと帰ってまった。
部室には俺1人が取り残される。
部長まだかいな。
こないに遅くなるとは思わんかった。
先に着替えといた方がよかったやろか。
せやけど白石部長はまだ着替えとらんし、先に着替えたら俺が白石部長の着替えを待つことになって余計な気い遣わせるかもしれへんし。
俺って、なんて気の利く後輩なんやろ。
そんなこと考えとったら、部室の扉が開いて、書類抱えた白石部長が入ってきた。

「おそなってスマンな」

「いえ、」

「あれ、まだ着替えとらんの?」

「部長がまだ着替えとらんのに着替えるのもアレかと思いまして」

白石部長は「ふーん」とだけ言うて持ってた書類を机に置いた。
気の利く後輩っぷりに驚いたんちゃうか。
部長任せて正解やった、とか思っとってくれたらええなあ。

「それで、引き継ぎって何やるんすか?」

「んー、せやなあ…とりあえず説明からやな」

あの山のような書類の整理やったらどないしよ。
面倒な仕事は嫌やなあ。
部室の鍵の管理の仕方やとか簡単なことやったらええけど。

「部長の仕事は、こういうデータ整理を始め、各校との練習試合の手続きやとかいろいろあるんやけど、特に気いつけなあかんのは、部員の体調やらコンディション管理なんや」

「はい」

「テストの後とかは、しんどそうにしとる部員おるやろ?」

「ああ…」

テスト勉強疲れというか寝不足というか。
そういう人は多いな。
レギュラーやと、ユウジ先輩とかがよお死にそうになっとるな。

「せやけどな、部員が一番辛そうにしとるのはどんなときやと思う?」

体調不良以外でやと、練習で上手くいかんかったときとかやろか。
俺もよお白石部長にアドバイスしてもらったな。
的確で、わかりやすくて、ああいうときの白石部長はほんますごい。
っちゅうことは、そんときのアドバイスの方法とか教えてもらえるんやろか。

「え、と…練習上手くいかんときっすか?」

「ちゃう」

「え…」

「…欲求不満のときや」

「………はい?」

んんん?
今なんて言うた?
よっきゅふまんて何や?
テニス用語かなんかか?

「部長はな、部員の欲求不満も解消せなあかん…つまり性欲処理をせなあかんのや」

うわ、テニス用語でもなんでもない普通の意味や。
なんやそれ!
そんなん、初めて聞いたで。
部長はそんなこともせなあかんのやろか。
そんなんが部長の仕事やとか嘘やろ。

「白石部長も、そないなことしてたんすか…?」

「当たり前や。特に謙也と千歳が絶倫やってな、しょっちゅう性欲処理しとったんやで」

「どないなこと、するんすか」

「フェラはもちろん、突っ込ませたり上に乗ったり…喘ぎ声やとか腰の振り方やとかいろいろあるんやで」

信じがたい事実や。
なんや、腰の振り方て。
白石部長は、さっきまで一緒に練習しとった謙也さんや千歳先輩のを突っ込まれたりしっとたんか。
それで、フェラしたりして。
あの口で、謙也さんや千歳先輩のちんこを咥えたんや。
嘘やろ、そんなん。
白石部長は俺をジリジリと壁へ追いやってきてた。

「今日はな、その手順教えつつ俺の性欲を処理してもらおうと思ってな」

とうとう壁に追い詰められて、逃げ場が無くなってしもた。
白石部長は、うろたえる俺を見てニヤリと笑うと、シャツから左手を侵入させてきた。

「ちょお、何するんですか!」

「時期部長なんやから、部員を悦ばせなあかんやろ?」

「せやかて…俺、部長にしてもらったことあらへんし…!」

「…ああ、財前は欲求不満そうな顔しとらんかったからなあ」

確かにあんま性欲旺盛やあらへんし、滅多にオナニーしたりせえへんけど。
せやかて、謙也さんとかそういうの好きそうやから「今日白石に抜いてもろたー」とか言いそうやんか。
なのに聞いたこともないておかしい。
もしや、オサム先生にバレたらあかんから口止めされてるんやろか。

「ええ子やから、おとなしくしとき」

「う…!」

親指が乳首をかすった。
くすぐったいと痛いの中間、そんな微妙な感覚。

「財前は初めてやから、優しゅうしたるな」

「や、白石部長…!」

耳を舐められ、背筋がぞくぞくする。
あかん、身体が反応しとるんがわかる。
俺、耳弱いんやな。
抵抗しとった手から力が抜ける。

「いきなりフェラは難しからな、まずは喘ぎ声の出し方からや」

そう言うと、乳首を摘まれた。
女やないんやから、そんなことされても気持ちよくもなんともあらへんで。

「ちょ、やめ…」

「ほら、やらしい声出さんと悦んでもらえんで?」

軽く爪で引っ掻くようにコリコリされる。
痛いしむず痒いしで、やらしい声なんか出るわけあらへん。

→→→