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「んんん…っ」

入り口を指でぐちぐちと慣らすと、そのまま少し強ばった長く太い指が、入れるのが可能な一番奥まできた。
入ってくるのはいいんだ。まだ耐えられる。
問題は抜かれるときだ。

「ふぁあああ…っ」

指先まで抜かれると、足がガクガク震えて尻の穴から背筋の方に向かって微弱な電流にも似た変な感覚が立ち上る。
排泄感が気持ちいいなんて、屈辱的すぎる。

「ほんと、面白いくらい良い反応しますよね」

「僕を、おもちゃにしないでよ…っ、ぅうう、あっあっああー…っ」

また奥まで入ったところでゆっくり抜かれる。
ぎゅっと目を瞑っているから鬼灯の顔は見えないけど、楽しそうにニヤニヤしてることは容易に想像できる。

「おもちゃになど。ただ、こんなところでそんなに気持ち良さそうにしている貴方が、女性とのセックスで満足できているのかと思いましてね」

「なっ、大きなお世話だ…っ、」

「あ、まさか女性にも道具などでしてもらっているのでは」

「そんなわけ…っ、いあ…ッ、ゆびふやすなよぉ…っ!」

「本当ですか?全然入ってしまいますけどねえ」

「うう、ん、ん、はぁああ…っ」

指が増えたのはわかる。
でもキツくないのは、お尻の穴が異物を受け入れるのに慣れて自然とそこだけ力を抜くことができてしまっているからだ。
女たらしで有名な僕が、盛りのついた猫みたいに尻だけ高くあげて、同じ男に指を出し入れされて喘ぐ姿は、客観的にみたらすごく可笑しくて変態的だろう。
尻の穴をいいように弄られて、抜かれるたびにどんどん柔らかくなって気持ち良くなっていくのがわかる。

「ああ、今、何本入っているか分かりますか?」

「に、にほ、ん、じゃないの…?さんぼん…?」

「四本ですよ」

「えあ…っ、な、うそ…っ」

「嘘じゃありませんよ。何本入っているかも分からないほど、随分と緩くなりましたねえ」

「いあ、あ、や、あぁあ…っ」

中でぐるぐると捻られ、開きっぱなしの口からシーツに涎を垂らした。
口呼吸で浅くしかしかできなくて、頭に酸素がいってないのかくらくらする。
だけど、そんなになっても、まだ足りない。
これだけ中を掻き回されて拡げられても、奥の方はまだ物足りないと言いたげに疼く。
指だけじゃ全然足りない。

「ほ、ずき…っ、も、いれて…」

「珍しいですね、白澤さんの方からなんて」

「は、あ、おく、おまえの、ほしい、から…っ、はやく…」

両手を使って尻の穴を拡げてねだってみせると、鬼灯は喉を鳴らした。
それは理性のスイッチの主電源が落ちたような音に聞こえた。

「貴方って人は…!」

「あ!?や、はいって…っ、あ、あああ…!あー…ッ」

「壊したくなると言ったでしょう…!」

腰を強く掴まれると、一瞬のうちに鬼灯の硬い性器が半分くらいのところまで、一気に入ってきた。
引っかかりも痛みも無く、それはもう刺されたと表現するほうが正しいのかもしれない。

「はぅッ、あ、ふぁあああ…ッ!」

「相変わらず、中はいい具合ですね」

ガツガツと出し入れをされ、僕の中は刺激を求めて勝手にきゅうきゅうと鬼灯に纏わりついてしまう。
気持ちいい。勝手に喘ぎ声が出るのは圧迫感による生理現象じゃない。

「あひ…ッ!あ、あ、あぁあッあッ!はあ、あああぁ…っ」

「はあ…、気持ち良さそうですね」

「う、きもち、い…っ」

「そうですか」

「うあ…ッ、ん、きもちいい…っ、あ、あ、ひ、あ、ッ」

でもまだ足りない。ここは一番奥じゃない。
僕のこと壊したいとか言っといて、まだセーブしてる。
普段は容赦なく殴ったりしてくるくせに、こんなときばっかりは変に気を遣いやがる。

「ほー、ずきぃ…っ、おくっ、おくがイイ…っ、おく、ついてぇ…っ」

「奥?大丈夫ですか?明日辛いのは白澤さんですよ」

「いい、から…っ、おまえの、おくにほし…っ、」

「…こんな欲しがり、貴方本当に女好きなんですか」

「ざんねん、ながらね…っ、ん、」

鬼灯は僕の枕元にある軟膏を取って、繋がってることに塗りたくって馴染ませた。
そして、僕の腰を引き寄せて奥の方まで押し込んだ。

「や、やぁああッ!あ、ぁあああッ!あー!あー!」

「貴方が、悪いんですよ…!」

「すご、おく、までっ、あッ!ほーずきの、きてぅぅ…っ、あひっ、こな、すご、ぃのぉっ、あぁッ!はじめてぇ…っ」

「この淫獣が…」

(鬼灯の、凄い奥まできてる…っ、僕の中が全部鬼灯で埋まってる…っ)

お腹がすごい圧迫感で破裂しそう。
こんなところをギチギチに拡げられて、この後、僕どうなっちゃうの。
まさか女の子になったりしないよね、なんて不安になるくらい全然痛くないし抽出がスムーズだ。
というか、もう女の子と変わらない気がする。
こんな奥まで入れられて激しく出し入れされてるのに気持ち良くなって喘いでるなんて。

「ほ、ずき…っ、あ、あ、」

「イキたいですか」

「ひゃう…っ、や、ああ、や、らぁ…っ、ちんちんさわっちゃ、やぁ…っ」

挿入されながら前を触られて、中心にじんじんと熱が集まっていく。
それと同時に、快感を貪るように腿の内側に力が入ったり緩んだりしている。
なのにお尻だけはぎゅうぎゅうに締め付けていて、鬼灯の形がわかる。
鬼灯もこれはちょっと締め付けがキツいのか動きが止まってる。
でも時折中でピクピクしてて、低い息が漏れてるところから察するに気持ちいいのかな。

「ッあぅう…っ、や、でちゃ、でちゃう…っ、でちゃあッ!んぁあああああ…っ!」

鬼灯のが奥の気持ちいいとこで小刻みに動いて、僕は我慢できずにシーツに盛大に撒き散らした。
自分のとはいえ、精液独特の匂いが鼻を突く。
直後の気だるさと換気したい衝動に駆られて、鬼灯のを抜こうとお尻に手をやると、ペシッと叩かれてしまった。

「ちょっと…!イッた、ばっか…っ、ぬいて…っ」

「私がまだでしょう」

「そう、だけど…、あ、ひどい…っ、おに…ぃッ、や、あ、やらあ…ッ!あ、あぁあ…ッ!」

「はい、鬼ですよ」

さっきの気遣いはどこへやら、鬼灯は全く僕の身体を気にかけることもなく奥を激しく突いてきた。
イッたばかりの僕の中は強すぎる快感にもう力が入らなくてゆるゆるになってしまったらしく、さっきに比べたらかなり抜き差ししやすくなってるみたいだ。
鬼灯は僕が気持ちよくなるポイントをしつこく小刻みに擦り付けてきた。

「はぅ、っ、あ、そこ…っ、らめぇ…っ!や、あんん…ッ、」

「嫌ですか。こちらは正直みたいですが」

イッた余韻が引いてくると、いつもの気持ち良さくらいに戻ってきてまた勃ってきちゃった。
気持ちいいことには逆らえない雄の本能がこのときばかりは悲しい。
一回出して疲れてるのに、勃起してくるとまた射精感が生まれてしまうから。

「うぅぅ…も、そこ、ばっか、されたら…っ、や、おかしく、なるぅぅ…」

「おかしくなってしまえばいいのですよ」

「やら、や、あぁぁぁぁ…、あ、は、はぁ、あぁぁ…」

畳み掛けるような快感に、息ができなくて酸欠になってしまった頭ではもう余計なことが考えられない。
気持ちいい、気持ちいい。
それだけでいっぱいいっぱい。
とめどなく溢れる唾液はシーツに大きなシミをつくっているけど、そんなの構ってられない。
気持ちいいことで頭の中もシーツもぐちゃぐちゃになって、もう、もう。
これじゃ僕の方が鬼灯に夢中になっちゃってる。

「中で、出しますよ…っ」

「んっんっ、だして、なかあ…っ、ほ、ずきの…っ、なかで、だして…っ」

「ん…ッ、は、は…ッ」

「んッ、あっ、あっ、あっ、あつ、あ、や、あつい…っ、んん…ッ」

腰を掴む手の力が強くなって、鬼灯の精液が僕の一番奥に吐き出された。
凄く熱くて、どんどんお腹の奥の方にどろどろと流れ込んでいく。
支配されたような感覚に肩が震え、足はガクガクと痙攣していた。

(こんな、奥に、中出し…っ、奥の奥まで熱い…っ)

溜まっていたのか、量がすごくてお腹の中が鬼灯の精液で溶けてしまいそうだ。
出された後も最後まで出しきるように突かれ、中の精液がぐちゃぐちゃと押し込まれる音が聞こえる。

「んッ、んッ、も、やだあ…っ、ぬい、てよぉ…、だした、でしょ…っ」

「も、少しだけ…」

「あっ、や、そっち、や、あッあッあッ!やめ、おねが、あ、やめ、ああああぁ…ッ!」

鬼灯はまた僕の性器を扱きながら更に奥に精液を押し込むように突いてきた。
こんなの種付けされてるみたいで恥ずかしくて、僕は半泣きで懇願した。

(てかなんで出したのにまだ萎えないんだよ!)

全然まだ硬いし、中の精液のせいで滑りやすくなってるからかさっきより速い。
それに伴って、中の精液はどんどん奥まで入っていってる。
これじゃ後で掻き出せなくなっちゃう。
さすがに困る、のに、ここまで奥にきたのは初めてで、鬼灯の精液がお腹の中全部に行き渡ってしまった感覚に僕の中が悦んでしまってる。
性器はすっかり勃起してしまって、中もきゅんきゅんしてまた僕の中心はじわじわと先に向かって快感が昇ってきた。

「あ、や、やあ…ッ、ほお、ずき…っ、また、でちゃうぅ…っ!」

「は…っ、早いですね」

「あッ、あ、あ、い、イク、でちゃう…っ、やだぁッ、あ、ふあああ、あぁあああー…ッ!」

中に出された鬼灯のが押し出されるみたいに、また僕もイッて鬼灯の手の中に出した。
やっと引き抜かれて、もう息も絶え絶えだ。
疲労感でぐったりとうつ伏せになり、残りの力を振り絞り枕を引き寄せて顔を埋める。

「もー動けない…」

「年寄りが無茶するもんじゃないですよ」

「無茶させたのはお前だろ…」

頬を膨らませて足をバタつかせていると、鬼灯は珍しく僕の頭を撫でてきた。
拗ねる子供を寝かしつけるような手つきだった。
子供はそっちのくせに、生意気なことしてくれちゃって。
こんなことで僕のご機嫌取りになるとでも思ってるのかね。
まあ、とりあえず黙るけど。

「それで、結局のところどうなんですか」

「何が?」

「普段、女性を口説いているのかってことです」

改めて聞かれて、そんなに知りたかったのかと思わず口が緩む。
コイツでも嫉妬なんかするのかな。
自分がいるのに他の女の子に声をかけてるのが気に入らないなんて、物足りないのかなんて、思うのかな。

「……ふふふ」

「なんですか、薄気味悪い」

「いやあ、ふふふ…」

「どっちなのか早く答えなさい」

なんだか僕の回答を急いている様子が珍しくて、もう少しだけ、焦らしてコイツを振り回してやりたくなっちゃう。
だってこんな鬼灯、珍しすぎるでしょ。

「んー…、内緒〜♪」

「はあ…本当に貴方って人は…もう一回戦お望みですか」

「か…っ!勘弁して下さい!」

僕は天国でも地獄でも有名な女好きだ。
男なんて汗臭くてゴツくて声も低いし、そこに居る程度の認識しかない。
今でも女の子に興味がなくなった訳じゃないし、隙あらば口説くよ。
でも、それはもう、コイツの前でだけなんだけどね。



――――――
2017.11.16
今更ハマッてしまったのでどうせn番煎じ!
しかし恐ろしい文字数になったもんだ。

もう少し鬼灯様をドSにしたかったんですがね。
余力があったので鬼灯視点ver.の続きを書きました。


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