(1/2) やあ、全国の女の子たち! 僕の名前は白澤。神獣だよ! 天国でも地獄でも有名だと思うけど、僕は女の子と遊ぶのが大好きさ。 女の子はいいよねー。 いい匂いに柔らかい身体つきに優しい声。 もうね、たまんないよね。 僕は女の子と遊んでるときが一番幸せさ! 白澤様は妬かせたい 「もう!最低だわ!」 「へぶし!!」 久々に女の子を口説いたらビンタを喰らってしまった。 あちゃー、やっぱダメかー。 僕はいつもちゃんと遊びだって言ってるんだけど、普通の女の子にそんな遊び人を好むやつなんてまずいないから仕方ないか。 そりゃそうだ。それが普通だ。 花街の女の子は遊び人を好むけど、なにせお金がかかるからね。 プロもいいけど、素人には素人の良さがあるし。 しかし今の子、押せば落ちるタイプかと思ったんだけどなー。 あー…むしゃくしゃする。セックスしたい。 「また振られたんですか」 「…うーわ、今一番会いたくないヤツ来たし」 僕がため息を吐いていると、今の様子を見ていた鬼灯が店に入ってきた。 振られて機嫌の悪い僕は追い返そうとシッシッと手をやる。 「今日はもう店じまいだよ!帰ってくれるかな」 「いや、そう言われましても薬を取りにきたのですが」 「そんなの知らないよ!こんな閉店時間に来られても売れませーん」 すっかり忘れてた訳じゃないんだけど、相変わらずの朴念仁っぷりにイライラして八つ当たりしてやりたくなった。 そしたら黒いオーラを出して僕を殴り付ける3秒前な体勢に入ったから、僕は慌ててカウンターに逃げ込んだ。 「あーハイハイ!薬ね!そうでした!」 「チッ…さっさとして下さい」 ま、閻魔丁からの仕事は金になるからね、渡さない訳にはいかないか。 用意してあった薬を出して、紙袋に詰め込む。 鬼灯は入り口の戸を閉めると、店を見渡した。 「そういえば、桃太郎さんは?」 「桃タロー君ならお使いだよ。ちょっと遠くだし、結構いっぱい頼んじゃったからしばらく帰ってこないかもね。まったくお前と二人きりなんて最悪だよ」 「それはこちらの台詞です」 「チッ!早く金よこしなよ!」 「どうぞ」 代金を受けとり、薬をドサッとカウンターに置いた。 さあ、これで今度こそ店じまいだ。 伸びをしていると、鬼灯はまだ帰る素振りを見せずに薬をカウンターに置いたまま突っ立っていた。 用が済んだのに何故まだいるのだろう。 いつもなら颯爽と帰ってくのに、早く帰らなくて大丈夫なのか社畜。 「なに?何かまだ用?追加注文なら明日にしてよ」 「…誰もいないなら丁度いいですね」 「へ?…うわ!」 鬼灯が何か呟いたと思ったら、いきなりカウンターに両手を叩きつけてメンチ切ってきた。 ミシィッと音がして凹んで穴でも空くんじゃないかとヒヤヒヤした。 「びっくりしたなー、台パンやめてよ!壊れたらどーすんの。べんしょーしてくれるんですかあー?」 「うるさい」 「わぷっ!」 今度は睨み付けながら両頬を片手で挟んできた。 なんかめっちゃキレてるんだけど、ここまで怒らせるようなこと言った覚えないし、これくらい、いつものやりとりじゃないか。 「ふごご!うぅー!」 「……不細工…」 「ぅご!なっ!僕に向かって不細工とはなんだ!」 手を払い、唾が飛び散るくらい大声で文句を言って、僕もつい両拳で台を叩いてしまった。 鬼灯は、唾が汚ないと袖で顔を隠しながらまだジト目で見ている。 しかも黒いオーラがもやもや増えた気がする。 「あのさあ、とりあえずその黒いオーラをしまってくんないかな」 「無意識なんですよね、無理みたいです」 「禍々しすぎるよ!闇落ちした主人公みたいになってるし!」 「闇落ち主人公ですか…どっちかっていうと設定的にダークヒーローじゃないですか?」 「ああ、設定的にね…」 まあ、言われてみれば、鬼神となる以前は人間であり、みなしごだった幼少期に雨乞いの生贄にされて死亡した後、遺体に複数の鬼火が入り込んだ結果、鬼となった。(Wikipedia参照)ってとこだけ見るとダークヒーロー感満載なんだけどさ。 「そんなのはどうでもいいよ!だから用があるなら早くしてほしいし、無いなら早く帰りなよ!」 そう言うと、鬼灯は薬を袖口に入れて、ずいっと顔を近づけてきた。 な、なに。近いんだけど。 僕は思わず手を上げてフリーズした。 「…貴方、私が近くにいると思ってわざと女性を口説いていたでしょう」 「は…はあっ!?な、何言ってくれちゃってんの!?そんな訳ないよ!僕は女の子を見たら口説かない訳にはいかない性分なだけで」 「桃太郎さんから聞きましたよ。白澤さんが最近女性をあまり口説かなくなったって」 (アイツ!余計なこと言いやがったな!) 明日新薬の実験体にしてやるから覚悟しとけよ。 ホウレンソウの徹底は大事だけど僕のこといちいち鬼灯に報告しなくていいっての。 「真面目に働いているようでなによりだと思っていたのに、先程女性に声をかけていましたので、はて、と思いましてね」 「そんなことないよ!桃タロー君がたまたま見かけてないだけじゃない?僕はいつだって女の子と遊びたいよ」 「ほう…」 「そんだけ?用が終わったならさっさと出て行ってよね!」 「…せっかくわざわざ貴方に会いに行く口実と時間を作って来てやったってのに。そうですか、では」 「え…っ」 鬼灯はさらりとそう言うと、扉に手をかけ出ていこうとした。 え、今なんつったよ。 僕の聞き間違いじゃなきゃ、確かに時間があると言った。 やっぱり用があるんじゃないか。 目の前の僕に用があるのに、なんで帰るんだよ。 僕は咄嗟にカウンターを出て鬼灯の袖を掴んだ。 「まっ!待ってよ!」 「なんですか。早く帰って欲しいのでしょう」 「用があるなら早くしてって言った!」 「用はありませんよ。時間はあると言いましたけど」 「それは僕にまだ用があるってことだと思うんだけど!」 屁理屈言いやがってムカつく。 時間があるなんて、僕に会たかったくせに。 でも、いつも何日も徹夜で仕事してて、空いてる日は寝てばっかりのコイツがわざわざ時間を作って来たなんて分かったらさ。 「部屋…あがってきなよ…」 そう言うしかないじゃないか。 鬼灯は、まったく面倒な爺だ。とでも言いたげな顔をして、僕の手を引っ張って部屋に押し込んだ。 「うわわ…!」 ベッドに押し倒され、くしゃ、と乱暴に三角巾を外される。 「はー、貴方のツンデレは萌えないんですけどね」 「ツンデレ言うなよ!人を記号化するんじゃ…、…ん…っ」 鬼灯は僕の唇に軽くキスをすると、頬や目尻にも同じようにしてきた。 髪をあげて額の目にもされると反射的に肩がぴくりと震える。 チュッ、チュッと、つつかれるようなキスを顔中に散りばめられて、もどかしさに顔を背ける。 「も…っ、な、なんだよ、そんなキスばっかしないでよ…」 「いえ、私も不本意なのですが、舌を入れてしまったら理性が利かなくなりそうでして」 「何それ、あ、僕に萌えちゃった?」 「そんなレベルではありません。どうも、今日は貴方を滅茶苦茶に壊してやりたいみたいなのです」 冗談のつもりで言ったのに、まるで他人事みたいに恐ろしい言葉で返されて、固まってしまった。 コイツのヤる気スイッチは未だに謎だ。 何がそこまで普段冷静なコイツをここまでヤる気にさせてしまったのか。 でも、コイツが理性なく僕に夢中になってるところ、見てみたい、かも。 「…い、いいよ、別に、好きにしてくれて…お前が優しいとか気を遣ってんのとか気持ち悪いし」 「そうですか、あなたの許可があるなら遠慮する必要も無さそうですね」 「ん、んぅ…!?」 また唇にキスされた。 今度は僕の口を食べてしまうんじゃないかと思うほど、深いところまで舌が入ってきた。 これじゃ息ができなくて苦しい。 鬼灯の両袖を握って訴えてみるも、制止どころか余計に火を点けてしまったようだ。 「ん、あッ、は、ほ、ずき…っ、ん、うん、っ」 必死に舌を押し出そうとしてるのに、鬼灯は構わず僕の舌を器用に絡めとる。 コイツの舌、長いんだよ。全然ほどけない。 おまけに体重乗せてぐいぐい身体を押し付けられて、身動きひとつとれやしない。 「はふ、…ん、ん、…ん…っ」 唾液が注がれて僕の唾液と混ざって喉奥に滴り、熱い息と声が唇の端から漏れる。 そうすると、僕の手から力が抜けて、袖をずるずる伝って崩れ落ちていく。 理性のスイッチが一つ一つオフになっていくのに比例して熱があがっていくのがわかる。 「ぷは…っ、はぁ…、はぁ…」 「なにこれくらいでヘバってるんですか」 やっと息ができると思ったのも束の間。 鬼灯は僕の右目元に唇をつけると、そのままスライドして右耳をかじってきた。 「…やっ、み、耳やだ!やだ…!」 「貴方の嫌はもっとでしょう」 「やだ…っ、かむの、や、あっ、あッ」 牙が耳に軽く刺さって痛いのに気持ちいい。 背中はぞわぞわして力が抜けていくのに、肩には力が入って耳まであがっているという、身体が混乱したような動きをしている。 耳飾りのところなんか特に敏感で、穴のところが痛気持ちよくて漏れるように震えた声が出てしまう。 「んん…ッ、は、ぁう、ん、ん、ん…っ」 「貴方、耳弱すぎるでしょう。ここ、もうこんなじゃないですか」 「あッ!や、そこ、さわ…っ、な、あぁあ…」 「ああ、しかももう濡れてますねえ」 鬼灯が下半身に触れると、そこは膨らんでいて、じんわりとシミをつくっていた。 キスと耳をかじられただけで勃起して且つちょっと出ちゃってるなんて恥ずかしい。 女の子相手のときは舐めてもらうまで勃たないのに、こんな前戯で興奮してる自分がありえない。 でももう苦しいし気持ち悪いし早く脱いで楽になりたい。 「うぅ…、も、早く脱がせろよ…っ」 「ええ、そうさせてもらいます」 白衣を乱暴に剥ぎ取られ、チャイナ服も下だけ脱がされる。 勃ちきった股間が露になり恥ずかしくて両手で顔を隠すと、鬼灯はすかさず僕の手を顔から引き剥がして、ベッドに押さえつけた。 「顔、隠すな。見せろ」 「…っ、」 顔が熱くて絶対今赤いのに、こんなの益々恥ずかしい。 肩で顔を隠すように埋めると、鬼灯は僕の手を頭の上で一つに纏め、空いた手で顎を持って無理やり正面を向かされた。 「やだ…っ、やめて、うう…」 「ああ、いいですねその顔」 鬼灯は無表情でそう言ってまたキスしてきた。 あ、このほうが顔見られなくてすむ。 見えないよね、と思って薄っすら目を開けると、鬼灯は全然目を開いていてがっつり目が合ってしまった。 なんで僕のキス顔ガン見してるんだよ! ドキドキしてギュッと目を瞑る。 「んぅぅ…、う、も、ずるい…」 「ずるいのは貴方でしょう」 「なんで?なんのこと?」 「やはり無自覚ですか。それとも確信犯なんですかね」 僕が目をパチパチしていると、鬼灯は溜め息を吐いた。 「まったく、淫獣は淫獣らしく四つん這いになってなさい」 「わ…っ!」 鬼灯は僕の背を抱えて、軽々と身体をひっくり返した。 膝と手をつけて四足歩行の神獣の姿の時の格好にさせられる。 これじゃ動物の交尾だ、と不満いっぱいに頬を膨らませていると、鬼灯は僕のお尻に唾液を垂らした。 →→→ |