の続き。
※宮山からの山宮なので、どっちが突っ込まれてもいける人向けです



合宿二日目の夜



夜の追試が終わった後。
小田切たちに会って俺は完全に安心しきっていた。
これで虜の能力を解除できる。もう二人につきまとわれなくて済む。
あの後すぐ小田切たちとは一旦別れて、後で俺の部屋に集合するということになった。
だが、

「あれ、山田だー」

「げっ!」

小田切たちを待つため部屋に戻る途中で寄ったトイレで宮村にばったり会ってしまった。
まるで尻尾を振った大型犬のように、すぐに宮村は俺に抱きついてきた。
結局大塚の能力はわからずじまいだったあげく追試も散々だったってのに、こいつはお構い無しに迫ってくる。
だがしかし、それももう終わりだ。救世主が現れたからな。

「そうだ!聞け宮村、さっき小田切に会ったんだ」

「マジ?アイツら来てるのか」

「ああ、これでこの能力も解除できるぜ!」

「ふーん…解除しなくていいのにねえ…」

宮村はつまらなさそうに口を尖らせた。
いや、俺は一刻も早く解除したいぞ。
朝はお前ととんでもないことになったからな。

「…なら山田、解除する前にやりたいことがあるんだが」

「なんだ?」

「セックスしよう」

「んぇあ?」

「今朝の続きがしたい」

宮村は訳の分からないことを言いながら俺に迫った。
続きってなんだよ、続きって。
しかも今、聞き間違いじゃなきゃセックスっつったぞ。
なんだよ、ちょっと待てよ目がマジだぞ宮村。

「おおおい、宮村落ち着け…」

「無理。朝からムラムラしてたまんねえんだ…」

「あ、あの後トイレで抜いたんじゃねえのかよ!」

「ああ、ついでにケツの穴もいじったら気持ちよくなってな」

「なんでだよ!なんでそっちもやっちまったんだよ!」

「いやあ、でも結構いいもんだぞ」

宮村は頬を染めて淡々と答えた。
俺はもうドン引きだ。
まさか、そっちもかっていうか男同士でセックスってそういうことだよな。
昨日の朝のことは不可抗力からの事故だと水に流すつもりだったけど、これはさすがにダメだ。
童貞を男で捨てる訳にはいかない。

「まあいいじゃねーか。一緒に気持ちよくなろうぜ」

「おいやめろ!」

「お前が首弱いのは知ってるんだぞ」

「な…!お、い…ん…んぅ…」

うっかり判明してしまった性感帯を、宮村はここぞとばかりにやらしい手つきで触ってくる。
くすぐったいような心地いいような不思議な感覚に襲われて、身体が自然と反応を返した。
触られながらゆるゆると個室の壁に追い詰められて、頭の中はまるで警告音のように早く逃げろと命令してくる。
なのに、また身体に力が入らない。

「ん…っ、まじ、みやむら…これいじょうは…!」

「むーりー。つーか、抵抗したいなら殴るなり蹴るなりすればいいだろ?」

「う、うるせえ…、」

「あれ、もしかして、今朝のちょっとよかった?」

「んッなわけねーだろ!ふざけんな!」

そ、そりゃあ出したときは気持ちよくないわけなかったけど、俺は終始嫌で嫌でしょうがなかったし、今も逃げたいんだよ。
それを宮村は都合がいいように解釈して俺にこんなこと迫ってきやがって。

「はいはい素直になりましょうねー」

「ちょッ!宮村!なにしてんだよ!」

宮村は意味ありげに、にまにまと笑いながら左手で俺の両手を頭上に持ち上げ、右手でベルトに手をかけて引き抜いた。
何をするんだとうろたえている間に、そのまま抜かれたベルトできつく縛り上げられ、あっさりと宮村に主導権を渡す格好になってしまった。

「さてと、」

「何がさてとだ!解けよ!なんだよこれ!」

くっそ、完全に宮村の攻める体勢が整っちまった。
宮村は俺の文句もお構い無しにズボンの中に手を入れてきた。
そこで俺は異変に気づく。
おい待て宮村。なんで俺の下半身まさぐりながらケツの穴の方弄ろうとしてんだ。
お前が突っ込まれる側じゃないのか。これは何かおかしいぞ。

「お前自分のケツいじったっつってなかったか」

「ん?ああ、そうだけど?」

「んで、なんなんだよこの手は!なんで俺が突っ込まれる側なんだよ!」

「後でするぜ?まあ細かいことは気にするなよ」

いやいやいや気にするぞ。
童貞か処女かは重要だろ。
どっちも宮村相手なのは嫌だけど女側はもっと嫌だ。
まさか、このままだと俺、宮村に犯される?
ちょっとまて。話が違うぞ。

「こんなとこにホントに入るのか?」

「無理だろ!お前何考えてんだよ!」

「まあまあ、やってみなきゃわかんねえだろ?」

宮村は指を口に入れて唾液を絡ませると、また突っ込んできた。
マズイと思って股を閉じてガードするも、ぐいぐいと手は奥へと入ってくる。
ついに指が尻の穴をつつき始め、ずぷ、と中に侵入してきた。

「くあ…っ!いッ!」

「きついなー…入るかなー…?」

「だから無理だっつってんだろ…ッ!いってえ!」

いてえし、変なモンが入ってきた感覚がすげえ気持ち悪い。
そりゃそうだ。出すもん出すとこに入ってくる方がおかしい。
女みたいに入れるためのもんじゃねえんだから当たり前だ。
しかし、ぐいぐい捩じ込むように、容赦なく指は奥へ奥へ入ってくる。

「あぐ、あ、い…、つッ、」

「あ、ちょっと柔らかくなってきたかも…」

「ッあ!?ま…ッ、おまえ…!あ、いッ…あッ!」

ありえねえだろ。二本目入れてきやがった。
痛えって言ってるのが聞こえないのかよ。
中、すげえキツいし変だし動いてるし、なんなんだよ、これ。
頭ん中おかしくなりそうだ。

「ぅ、あ、…はぁ、ッあ、」

「どうした山田?おとなしくなったな」

「い、たくて、こえも、でねえの、わかんねえのかよ…」

「すまんすまん。でも、いい具合に解れてきたぜ?」

いい具合ってなんだよと思いながらも、確かにさっきよりは痛くなくなった感じはする。
それどころか、ちょっと、ちんこ勃ってきたような。
いやいやいや、こんなとこいじられて気持ちいはずない。認めないぞ、俺は。

「はあ、はあ…」

「よし、山田そろそろ…」

「はあ!?おい、な…ッ!」

宮村はベルトで縛ったままの俺の手を引っ張り、水を流すバルブに引っ掛けた。
いわゆる立ちバックの体勢にされ、ズボンは下まで下ろされた。
おい、このまま犯されるってのか。
犯されるって男が男に使うのも変だけど、ヤバイぞマジで。
どうする、どうする。

「挿れるぞ、山田…」

「くそッ!離せよ!宮村!」

「はあ…やまだ…」

「ッ!!うあああッ!いッてえ!さける…!」

考える暇もなく宮村は俺の尻を掴むと無理矢理ちんこ突っ込んできた。
メリメリ裂ける音が聴こえてきそうなくらい痛くて痛くてたまんねえ。
指でされるのとは大違いだ。
さっきはちょっと、ちょっとだけよくなってきてた気もするけど、これは痛いばっかりだ。

「いってぇ!みや、あ、いてえよ!」

「あ、これッ、ちんことけそう…ッ」

「いッ!か、は…ッ、」

ダメだ宮村、全然俺の声聞こえてねえ。
痛いって言ってんのに、お構い無しに奥まで突っ込んできやがった。
そのうえ出し入れし始めて、俺の尻の穴はもう容量が限界だ。

「うあ!い、いてぇっつってんだろ…!うごくなよぉ…!」

「やまだの、なか、やばい…俺のちんこに絡みついてくる…」

「はあ、も、みや、あ、あ…ッ」

「あ、そうか、こっちもしたら、山田も気持ちいいよな…?」

「う、あ…ッ?あ、あ、あ、な、これ…ッ、なに、い、ふあ!」

宮村は唾液を絡ませた手で、俺のちんこを扱き始めた。
途端に、力が抜けたのか尻の穴が緩くなって、宮村のちんこを受け入れたみたいに出し入れがスムーズになって、痛みが和らいだ。

「んッ!あ、んん!あ、う、はあ、」

「ちょっと、よくなってきた?」

「ちが、う…、い、いてえ…って、うあ、あ、あ、」

「のわりには、気持ちよさそうだぞ…ここは正直だな」

「あ…ッ、これ、は、ちが、ふあ…!」

こんなことされてんのに、やっぱりここは刺激に敏感だ。すっかり完勃ちしてやがる。
おまけに尻の方は宮村のちんこに馴染んできてすっかり拡がったらしく、ずこずこ出し入れされてんのに、あんまり痛くなくなってきた。
それって宮村ので俺の尻の穴が緩くなったってことだよな。
くそ、こんな屈辱的なことは人生でそうない。

「はあ、あ、あ…」

「あーでそう…なか、だしたい…あ、やば、なか、あ!」

「は!?おい宮村!何考え…ッあああ!ぬ、けよ!あ、あ、やめ、うあッ!」

「も、むり…!やまだ…っ、すきだ…っ、あ、なか、だすぞ…、あ、やまだぁ…!」

「あッ!みや、ふざけ、あぁあ…ッ!」

突然宮村は激しく腰を動かしてきて、勝手に中出しされた。
湿った感覚が腸内に広がって、腹が熱くて気持ち悪い。
程なくして宮村のが引き抜かれると、ベルトも解かれた。
荒い息を整えながら、俺はぐったりして洋式トイレに腰掛けた。

「くそ…後で覚えてろよ…」

「はは…それじゃ、今度は山田の番だからな」

「は?それはどういう…」

「こういうことだよ」

宮村は自分のパンツを脱ぎ捨てると、俺の上に跨ってきた。
おいおいおい、こいつ何考えてんだ。まさか、さっき言ってた後でするってこういうことかよ。
俺、処女だけじゃなくて童貞まで喪失するのか。

「お待たせ…今度は、俺ん中…いれて…」

「宮村!お前、うああ…ッ」

「おれの、しょじょ、もらって…っ、あ、んんんッ!」

ぬぷぬぷと宮村が俺のちんこを飲み込んでいって、喘ぎ声が個室に響いた。
朝いじったって言ってただけあって、俺と違ってあっという間に全部入ってしまった。
根元はキツイのに、中がうねうねしてて思ったより柔らかい。
宮村が腰を動かし始めると、さっき宮村が俺に突っ込んでるときに言ってた意味がわかった気がした。
これは、確かに溶けそうだ。
こんな感覚、童貞の俺には当然初めてで、頭の中と下半身がパニックになってる。

「くあ…ッ!なんだ、これぇ…!」

「ど、う…おれの、なか…きもちい…っ?」

「そんなこと…聞くなよ…ッ」

「こ、ゆ、のっ、すきなんだろ…あッ!やまだの、ちんこ…っ、すごい…ッ」

AV女優みたいなこと言いやがって、俺が男に言われて喜ぶとでも思ってんのかよ。
まあ、ちょっとだけグッときたかもしれんけど。

「あ、はじめて、なのにぃ…おしり、きもちい…っ」

「この、変態…」

「あ、う…だ、って、きもちいい、んだから…ッ、しょうがないだろ…」

「なにがしょうがないだよ…勝手にいれてきて…お前変態すぎるだろ…ッ」

「ごめ、がまんできな、うあッ、あ、やまだ、の…ッ!かたく、な…ッ、あん…ッ」

とろとろになった顔で、硬くなったらしい俺のを締めながら、宮村は更に激しく腰を振ってきた。
うわ、ちんこもってかれそうだ。こんなのずっと続けられたら出ちまう。

「んぅ、ん、あ、はあ、んん…っ」

「はあ、は、はあ、」

「あん、あ、あ、やま、だぁ…イッちゃうぅ…」

女じゃねえんだからイクってなんだよ。くそ、か、かわいくみえてきたぞ。
俺まで虜の能力に飲み込まれちまったのか。
今までこんな風に宮村のこと意識したことなかったのに、ありえねえ。男の甘えた声なんて聞いてなに反応してんだ。
しかし、そろそろ俺もされっぱなしでいるわけにはいかねえな。
俺は宮村の腰を掴んだ。

「さっきの、しかえし…っ、だからな!」

「ふえ…?んあ!やまだぁ…っ」

エロ漫画とかの見よう見真似で腰を動かしてみると、自分のいいようにできるからか、宮村にされるより気持ちいい。あと、なんつーか征服感が物凄い。
宮村が、俺の動きで喘いでるのがたまんねえ。

「あん、やまだ、が、して、くれてる…っ、きもちい…、あっあん、あッ!」

「宮村…ッ!」

「あ、う、あああ、あ、やま、だぁ…っ、いい、いい、あ、ああ…っ」

正直、気持ちいい。
なんで男のケツにちんこ突っ込んでんのに、こんな気持ちいいんだよ。
俺まで宮村の変態っぷりが伝染っちまったのか。
こんなの、癖になりそうだ。腰止まんねえ。

「あぅ、あ、んんーッ!やまだぁ…あ、あ、あ、」

「お、い…っ、なか、しめんな…!」

「だ、って、やまだの…っ、あつくてッ、おく…ッはいってぇ…きもちい…あ、あん!そんな、はげし…!」

「ッこの…くそ…ッ」

男の喘ぎ声なんか聞いてなんでこんなムラムラするんだよ。
宮村が自分でちんこ扱き始めると、中はもっと柔らかくなって、包まれるような感覚に更に腰の動きが速くなっちまう。
するとさっきまで童貞だった俺はもう限界を向かえそうだった。

「ッあ、や、ば…ッ!でそう…っ」

「あッんああ!だしてッ!やまだ…っ、ああ、なか、だしてぇ…ッ」

「…ッ!みやむら…!」

「あ、あああッ!あ、あつ…ッ、きもち、い、ふああ!イク、イク…ぅ!あ、ああああっ!」

「あ…ッ、そんな、しめ…ッ、あ、ぅあ…ッ!」

締めつけがすごくて、とうとう俺も中に出してしまった。
宮村も射精して、中がピクピク痙攣しながら精子は残さず搾りとられた。
出し終わったと同時にくるこの倦怠感と後悔。
ああ、虜の能力が解除されたときってこんな感覚なんだろうな。

「…やっちまった…」

「ヤッちまったなー…」

そう言うわりに、宮村は俺とは違って全然余裕そうだった。
絶対そんなこと思ってないだろ。むしろ満足そうな顔をしている。
俺はヤバイことしちまったって焦ってんのに、この差はなんだ。
俺より後で解除される宮村の方が後悔ハンパなくくるはずなのに、虜の能力は賢者タイムさえもなくすほど強力なのか。

「お前、この後のこと全く気にしてないだろ…」

「へ?ああ、抜け駆けしちまって伊藤さんには悪いことしたなーとは思ってるぞ?」

「…そっちの心配かよ…マジ後で知らねえからな…」

忠告だけはしたからな。
どうせあと一時間もしたら解除されて、なんでこんなことしたんだー!って大騒ぎするぞ。
せいぜい伊藤と一緒に後悔にのた打ち回ればいい。
と思っていたのだが、宮村はポカンとした顔をして、フッと笑った。

「んー…まあ、今は俺、幸せだからいいんだ」

「…なんだそりゃ」

よくわかんねえこと言ってるけど、たぶん虜の能力にかかってるやつ特有のうわ言みたいなもんだろ。気にすることもねえか。
おっとのんびりしてる場合じゃねえ。そろそろ部屋戻らねえとな。
先に宮村に戻ってもらって、その後で俺が合流すれば不自然じゃないはず。

「とりあえず、抜くか」

「…もうちょっとこのままがいいな…」

「早く戻らねえと怪しまれるぞ…小田切たち来てるかもしれねえし」

「えー!せっかく山田と性的な意味で一つになれたのにもったいないなー」

「うるっせえ!早くしろよ!」

「アン!山田くん乱暴!」

とかなんとか気色悪い声出しやがって。
さっき一瞬でも可愛いなんて思ったのはきっとやらしいことしてたから頭沸いてたせいだ。
とにかく、宮村は能力のせいで俺に惚れてこんなことしてるだけで、解除されたら俺のことなんか好きじゃなくなるんだ。俺に惚れる前のいつもの宮村に戻るんだ。
そうか、戻る…んだよな。
いや、そうじゃなきゃ困るんだけど、なんだこのモヤモヤした感じ。
よくわかんねえけど、戻ってほしくない、みたいな。
いや、それこそおかしいだろ。気のせい気のせい。
俺はまた自分に言い聞かせた。

俺がこの感情の正体に気づくのは、まだだいぶ先のことだった。



――――――
2015.6.19
アニメ終わる前に急ぎ足で書いたからなんかもう色々修正したい…。
13巻の山田と宮村がマジ夫婦すぎて結婚しろよしか言葉が出ない!

戻る
top