※カイ凌最後の一滴までの続き


歪んだ愛に溺れる



待ち合わせはいつも駅裏だ。
人目につきにくいこの場所は、ファンが勝手に写真を撮ってきたり、サインを求めにくることもない。
特に夜は、あまりに人の気配がなさすぎて恐怖すら感じる程に静かだった。
そんな場所に、柱にもたれてDゲイザーをみつめる中学生が一人。
暗闇の中、Dゲイザーの画面の光でぼんやりと照らされた顔は、いつもよりどこか大人っぽく見えた。
これは補導される前に持ち帰らなければ、と足早に向うと、向こうも気づいたようでこちらにゆっくりと歩いてきた。

「おや、待たせてしまいましたか」

「…おせーんだよ」

凌牙はDゲイザーをポケットにしまうと、Wを素通りしてこれから向かう場所へと先行した。
そっけない凌牙の態度もこれから行うことを思えば可愛らしく感じる。
Wはゆっくり振り返り、凌牙の後に続いた。
外で近づきすぎると凌牙はひどく機嫌が悪くなるため、付かず離れずの微妙な距離感を保ち、いつも使用するホテルへ向かう。
ホテルといってもラブホテルなどという安っぽいものではなく、Wの名前を出せばすぐに使えるよう一年契約している高級ホテルだ。

「別に外でもどこでもいいんだけどな」

程なくしてホテルの前に着くと、凌牙は見上げてそう溢した。
確かに、高級ホテルだろうが、することはラブホテルと大差ない。
しかし、Wはそのような場所はあまり好んでおらず、むしろ高級ホテルで行為を行うことに快感を覚えていた。
中に入り、慣れた足取りでエレベーターへ向かう。
何時に来るか事前に連絡していたため、フロントに笑顔で一礼すれば、ボーイは笑顔で礼するのみでチェックインもせずに通ることができた。
エレベーターに乗り最上階のボタンを押すと、上に上がるのと比例して二人の纏う空気が上昇していく。
最上階に辿り着き、長い廊下を暫く歩いた先にある一室、そこがいつもの部屋だ。

「シャワーは、いい」

部屋に入ってシャワールームへ向かおうとすると、凌牙はWの服の裾を掴んだ。
外では近づくなと言うが、部屋に入ってしまえば凌牙はやけに甘えてくる。
あどけない中学生の仮面を被っているだけだということはわかっている。
わかっているのだが、騙されずにはいられない。
この狙ったような上目遣いがまたそそるのだ。

「俺が綺麗にしてやるよ」

身体を清める時間すら勿体ないとばかりに、凌牙はWをベッドに座らせて早急に服を脱がせ始めた。
普段の凌牙は、服や靴はいつも綺麗にしており、手もやたらとしっかり洗っているあたり恐らく潔癖症の類いだと思っていたのだが、性行為に関しては寧ろ逆だった。
決して清潔とは言い難い、まだ洗ってもいないWの性器を、凌牙は躊躇いなく咥えた。

「ん…、んむ…」

先端から奥まで、飲んでは引き抜くのを上下に繰り返しながら左手は棹を扱く。
どこで覚えたのか、難しそうにみえる口淫も簡単そうにやってのけた。
やはり慣れているのだろう。
邪魔になった横髪を耳にかける仕草もあまりに艶やかで、とても中学生男子には見えない。

「相変わらず美味そうに舐めるよな」

「ふ、ん、…はあ、」

聴こえてないのか、反応を返すのも面倒なのか、凌牙は無我夢中でWの性器を舐めまわしている。
わざとらしくじゅるじゅると唾液を啜る音がWを煽り、下半身に熱が集まる。
すっかり勃ちきったところで、Wは凌牙を静止させた。

「もういいぜ…上に乗れよ」

「ああ…」

凌牙は挑発的な笑みを浮かべWの上に跨がり、性器を自身の穴へとあてがった。
ゆっくり、凌牙が沈んでW自身が見えなくなっていくのがよく見える。
唾液で滑りがよくなったこともあり、まったく慣らしていないにも関わらず凌牙の穴は最初から性器を受け入れる為の器官なのかと疑う程、あっさり飲み込んでいった。
だが、中の感覚にWは違和感を感じた。

「おい、今日はやけに緩くないか」

「ん、あ、きの、う、かいとと…ッあさまで…したからな…」

前も柔らかかったが、ここまでではなかったと思ったらこれだ。
カイトとそういう関係だということは知っていたが、まさか昨日の今日というのはさすがに引いた。
そんなに足りないのだろうか。
まさか、毎日誰かしらと性行為に及んでいるのではないか。

「朝までって…何発ヤッたんだ」

「わすれた…ごろっかい、じゃね…んなもんどうでもいいだろ…うごくぜ…」

凌牙は馴染むまで待つこともせず、腰を動かし始めた。
凌牙が誰にでも股を開くのは周知の事実で確かにどうでもいいことだが、よりもによって前日に他の男のモノを咥え込んでいたことがWの加虐心に火を点けた。
カイトに対する嫉妬などではなく、凌牙に対する苛立ちをぶつけてやりたくなった。

「ふぉー、どうだ…」

「あー、緩すぎですねえ凌牙のガバガバケツマンコはー」

「ん、うあ、あっ、く、そ…ッ」

「なんだよ…文句があるならしっかり締めろよ」

凌牙は悔しそうにしながらも、収縮を繰り返し前後に動く。
絶景だ。普段、人を寄せ付けない雰囲気を醸し出してクールぶっている凌牙が、Wの上で男根を咥えこみ好きに動き快楽を貪るその姿は絶景以外の何物でもない。
髪を振り乱し、快感を貪るように腰を振るその姿は、まるでダンスを踊っているかのようにさえみえる。
征服欲が満たされる。
凌牙も相当歪んでいるが、Wもお互い様だった。

「まったく、緩すぎて話にならねえなあ…ッ」

「ぅああ!?ッあ…、かは…っ、」

下から突き上げると、凌牙の表情が変わった。
どうやら騎乗位ではいつも動いてばかりなのか、慣れていないらしい。

「どうだ…たまには下からされんのもいいだろ」

「あ、う、い…っ、あンッ!イイ…ふぉ、あ、ふぉー…ッ」

気持ちよさそうに顔を緩める凌牙の口から涎が垂れる。
身体が弛緩しきっているのが目に見えてわかる。
もう動く余裕もないらしく、凌牙は上半身を倒してWに身体を預けた。
髪が首のあたりにかかりくすぐったいのだが、耳元で聞こえる喘ぎ声と少し汗ばんだ凌牙の匂いで、それすらも興奮材となってWを絶頂へと導く。

「あッ、んン、あ、あ…!」

「そろそろ出すぜ…」

「あっ…んぁ、ちゃんと、…ん、なかに…ッだせよ…」

「ああ…中にぶちまけてやるよ…!」

「ふあ!あああッ!あ、あひ、あぁあッ!」

強く打ち付ければ、凌牙の声は一層大きくなりWを更に煽る。
中は搾りとろうとしているのか狭くなっていき、快感が上り詰めていく。
そろそろ頃合いかと、Wは仕上げとばかりに最奥を執拗に突き上げた。

「お前の大好きなザーメンだ…受けとれ…!」

「んんん…ッ!きた、ふぉー…、あ、あっあ、イク…ッ、イクッんぅううッ!」

下半身が高鳴り、種付けするように凌牙の中に射精した。
凌牙も達したようだが、連日連射している凌牙の性器からはわずかに精液が滴るのみだった。

「出ねえほどヤりまくってんだな」

「んん…ああ、カイトに、搾りとられちまったみてえだな」

その言葉にまた憤りを感じて、無茶苦茶に犯してやりたくなった。
昨日、カイトも同じ気持ちだったのだろうか。
Wは抜かずに凌牙の身体を起こし、押し倒した。

「W…?あ、も、きょうは、やめ…」

「ああ?ヌルいこと言ってんじゃねえぞこの淫乱鮫が!」

「あぁあああッ!あ、ぐ、ふぉ、あ、やめ、も、むり…っ」

「カイトと朝までヤりまくったんだろ?なら俺にもサービスしろよ」

「ッまた、つぎ、してやるから…っ、あッ、そこ、あ、あ、あ…!」

いやなフリをしておきながら、凌牙は自ら足を拡げてWを受け入れた。
中に出した精液がぐちゃぐちゃと逆流して溢れ、滑りが更によくなったおかげで、先程よりも激しくできる。

「はあ、あ、そこッ、ん、もっと…、あ、ひ、あっ」

「なんだ、ちゃっかり感じてるんじゃねえか」

「う、あ、あ、そこ…ッあ、ふか、い…ッ、きもち、い…っ」

「ケツにちんぽ突っ込まれてそんなに嬉しいかよ!」

「んああッ!あ、あぁーッ!きもちい、ふぉー、あ、ちんぽ、あっきもちい…ッ」

何度も名前を呼ばれ、今だけは自分を見ているのだと満足すると、Wは食すように凌牙に深いキスをした。



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