最初に誘ってきたのも、いつも誘ってくるのも、いつだって凌牙の方だ。

「なあ、ヤろーぜ」

夜中に人通りのない路地裏に呼び出されて、俺を見つけた途端にこれだ。
大方何の用かは予想できていたが、開口一番セックスを求められるとは思っていなかった。
性欲が強いにも程がある。
恐らく昨晩あたりも他の男に抱かれたであろうキスマークが首筋にいくつか残っている。
ここまでくるともはやセックス依存症ではないのか。

「凌牙、貴様は本当に見境がないな」

「あ?そうみえるか?俺だって相手は選んでるぜ」

「ほう…なら俺は貴様の誘いを断れなさそうな流されやすい男にみえるということか?」

「ハッ、んなわけねえだろ。お前なら、手加減なしでヤッてくれるからよ」

それに相性も悪くない、と付け足した。
確かに、コイツ相手に手加減などしてやるつもりは毛頭ない。
だが、前回は朝まで連続でしてしまい、次の日は一日動けなくなったらしいが、あれが余程気に入ったということなのか。
どうやら今日は滅茶苦茶にされたい気分のようだ。

「んなことはどうでもいい。はやくヤろーぜ」

凌牙は、そう言いながら俺のベルトに手をかける。
ムードもなにもあったものではない。
本当に性欲処理に使われているのだ。
凌牙は地に膝をつけ、まだ萎えている俺のモノを取り出してすぐに咥えた。

「はぁ、…ん、」

「これが欲しくてたまらんという顔だな」

「ん…はやく、よこせよ…」

卑猥な水音をたてながら、咥えて吸ったり前後に動いたりして舐めていく。急かしている割に丁寧に焦らすようにしてくるのは、しっかり勃たせるためだろう。
時折みせる、赤い舌の動きが妙に艶やかで目につく。

「おまえの、ちんぽ…うめえ…、んん、ん、ん…」

「それはよかったな」

「ああ、…は、これで、俺の中、突っ込むのかと思うと、たまんねえんだよ…」

凌牙は、俺のモノに頬擦りしながら恍惚とした表情でそう言う。
それに反応してしまうのは、ここ最近していないせいなのか、やはり性欲というものには逆らえないらしい。
しかしまだ中学生だというのにこの色気はなんなのだ。
薄く色づいた頬に、いやらしく覗く紅い舌、潤んだ瞳。思わず生唾を飲んでしまう。
この先、歳を重ねてもこの色気を垂れ流し続けるのかと思うと末恐ろしい。

「も、いいか…挿れろよ」

「おい、自分の穴は慣らさなくていいのか」

「毎日解してるからな、十分だろ。だからはやく、くれよ」

「…そう急かすな」

後ろを向いて壁に手をつけ尻をこちらへ差し出す様子からは、普段「鮫」などと呼ばれているようにはとても見えない。
まるで発情期の猫のようだ。
必死な様子に鼻で笑いながらも、凌牙の中へと埋め込んでいく。

「あ、ぐ、あ、あぁ…ッ」

普段から拡げられっぱなしの凌牙のソコは難なく飲み込んでいった。
しかし緩すぎるということもなく、待ちわびていたのが分かるように吸い付いてくる。

「相変わらず、すぐに入るな」

「あたり、まえだろ…、お前こそ、いつもよりでけえんじゃ、ねえ?」

時折びくびくと肩を震わせながら、凌牙は俺を受け入れる。
ずぶずぶと腰を押し進めていくと、一番奥に達したところで同時に凌牙の喘ぎ声が響いた。

「ああッ、あ、あ、ぅあ…ッ、」

「おい、人が来たらどうするつもりだ」

「こね、えよ…ここ、今まで、きたこと、一回もねえし…ッ」

なるほど、確かに先程から人の気配がまるでない。
こういった行為をするにはベストな場所だ。
ということは他の奴ともここで行ったことがあるということか。
何故だろうか、そう理解した途端、強く腰を打ち付けた。

「い、あ、イイッ!カイ、トの、あ、なか、きもち、い、あ、あッ!」

激しく突いてやったが、全く逆効果だ。
凌牙は地面に涎を垂らせながら悦んで腰を振っている。
ならば、と逆に浅いところで焦らすように突いてやると、凌牙はハッとした表情で振り返った。

「お、い…なんで…」

「物足りない顔をしているな」

「ッたり、ねえよ…っ、もっと、おく、いれろよ…っ」

「…この淫乱が」

「うる、せ、いいから、おく、つっこめって…!」

足りない快感がもどかしいのか、凌牙は片手を使って自ら穴を拡げてみせた。
ヒクヒクと俺のモノを飲み込もうと動いているのがよくわかる。

「カイト…ッ、はやく、しろよッ」

「それが人に物を頼む態度か」

「…ッ、…お、おね、がい、だ…」

「声が小さい」

「………たのむ、から…っ、カイトの、おくまで、くれよ…ッ」

まさに屈辱、といった顔だ。
凌牙は珍しく恥ずかしそうに顔を赤らめている。
いつも嬉しそうに俺の上で腰を振っている凌牙にも恥ずかしいことはあるのだな。
そう思う反面、こういう顔をすれば俺が乗ってくると分かっててしているようにもみえてしまう。
呆れる。
凌牙のことをそういう風にしか思えない自分に。

「まったく、呆れるな…!」

「あッ!?んあぁあッ!あ、ああ、たまんね…えっあ、あぁあ…ッ」

一気に一番奥まで挿し込んでやると、凌牙の足はガクガクと震えだした。
腰を持ち抱えて支えないと今にも崩れてしまいそうだ。

「きもち、い…、かいと…っ、もっと、あ、たりねぇ…ッ」

「そんなに欲しいなら、くれてやる…ッ」

「ひッ!ああ!あぁあああッ!」

入り口から一番奥まで突き上げると、ただでさえ大きい凌牙の喘ぎ声が更に響く。
しかし、それを気にする余裕は既にない。
ただ欲望のまま、中を突いてやる。

「どうだ、望み通りにしてやったぞ」

「う、あッ、さいこー…ッ、ひ、あああ、あ、やべ、イクッ、あ、あ、でる…っ、でる…うぁッああああああッ!」

前立腺とやらのあたりを抉った途端、凌牙は精液を吐き出した。
その反動で中が痙攣して、俺まで出してしまいそうになるがなんとか耐えた。
ガクンッと凌牙の身体の力が抜け、支えていた腕に重みが増す。

「はあ、はあ…、きもちい…けど、足りねえ…、もっとだカイト…もっと滅茶苦茶にしてくれよ…」

「上等だ。俺はまだ出していないのだからな」

要望に応えるべく、そのまま抜かずに今度は前立腺を執拗に擦りつけた。
その途端、凌牙の肩が跳ねた。

「んあッ!あ…ッ!?あ、ま、かいと…ッ、や、あ、」

「なんだ?俺は手加減しないと、知っているだろう?」

「ちが、あ、や、あ…っ、だした、ばっか…ッ、そこ、よすぎ…っあ、ああ、あッ!」

すっかり蕩けきった顔で片言になっているあたり、今度は本当に悦いのだろう。
中が収縮してさすがに達してしまいそうだ。
力が入らないらしい凌牙の腰をしっかり持ち上げ強く打ち付けると、凌牙の性器もまた射精しそうなほどに張り摘めてきていた。

「あ、は、なんだ、これ…やべ、え、あッ、かいと…っ、また、でちまう…ッ!」

「…ッ、中に、出すぞ」

「ん、あ、いい、ぜ、なかに、だせよ…、あっ、おまえの、…なかにぜんぶ、ぶちまけろよ…ッ」

「……ッ、く、っ」

「ぅあ、あ、でる…ッあぁあ、あああああッ!」

凌牙は二回目の射精を迎え、その締め付けに耐えられず、とうとう俺も凌牙の中で果てた。

「はあ…はあ…」

引き抜くと、穴からは出したばかりの精液が溢れては落ちていった。
いつ見ても、なんとも卑猥な光景だ。

「は…ッ、カイト、おまえ溜めすぎだろ…飲み込みきれねえ」

「貴様の尻の穴が緩すぎるのだろう」

「気持ちよかったくせに、よく言うぜ」

精液でベタベタなのはお構い無しに、凌牙はパンツを履いて衣服を整え始める。
が、まだ足りないとでも言いたげに口を尖らせている。

「カイト…、まだたりねぇ…もっとお前の精液飲ませろよ」

やはり、というか、この男がたった一回で満足するはずがない。
こうなることは必然だ。
衣服を整えながら、次の場所までの道を思い出す。

「……とりあえず、ホテルへ行くぞ」

「なんだよ、朝までコースか?」

さっさとホテルへと向かうべく歩き始めると、見るからに嬉しそうに凌牙が後をついてきた。こうやって毎回、最後の一滴まで吸いとられて、それでも凌牙は次の日には何事もなかったかのように次の相手を求めるのだろう。
どうせいつも最後には何も残らないとわかっている。
凌牙にとっての俺、俺にとっての凌牙は、仲間であると同時にたまにこうして交わることができればいいだけの存在で、お互いがそれ以上でもそれ以下でもないと認識している。
なのに、この胸の奥に残る虚しい感覚はどこから湧いてくるのか、未だにわからずにいる。



――――――
2014.6.1
クソビッチ凌牙さん好きすぎて生きるの超楽しいです。
次のお相手はWな続き書いてる途中です。

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