また今日も、いつもの朝がやってきた。

「おはよう凌牙、好きだ」

「……お、おう…おはよう…」

学校に行こうと家を出たところで、カイトは開口一番そう言った。
もう何回目かわからない告白だったが、凌牙は未だに慣れずにいた。
あの戦いが終わってから数日後、カイトはストーカーのごとくほぼ毎日凌牙の家を訪ねては朝の挨拶と共に告白とその返事を聞きにやってくるようになった。
理由はわからない。初めは気でも触れたかと逆に心配していたのだが、本人曰くそんなことはないらしい。
ハルトに聞いてみても、至っていつもと変わらない様子だと言っていた。

「今日こそ返事をきかせてもらおうか」

「いや、今から学校だし」

「では学校が終わったら聞かせろ」

「終わったら遊馬と約束があって…」

「デュエルか」

「そ、そうだ」

本当はそんな約束などないが、逃げるためなら仕方あるまい。
カイトも、デュエルならまた日を改めるとあっさり引き下がった。
毎日言い訳を考えるのも大変で、バリエーションもそろそろ尽きてきた。
邪険にしたいところだが、カイトには色々と世話になったり、借りがあったりして中々追い払うことができない。どうしたものか。

「では、また」

「あ、ああ…」

凌牙のところに来るときは、いつもオービタルはいつも連れていない。
カイトは踵を返し、歩いて帰っていった。
また今日も、カイトを追い返すことができた。
凌牙は胸を撫で下ろすと、朝から疲れたと言わんばかりの気だるそうな足取りで学校へと向かった。



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