4.罪人



静かだ。

「謙也」

いつもの慣れた部室なのに、まるで間違って違う部の部室に入ってしまったような感覚だ。
この、みんなが使う部室で、とんでもないことをしようとしている。

「ん…」

白石の柔らかい唇が、謙也の唇に重なった。

「めっちゃドキドキしとるな」

「う…うるさいわ」

白石が胸に手を当ててきた。
白くて、綺麗な手だ。
首に息がかかってくすぐったい。

「…ん」

「かわええ…」

今度は首にキスをされた。
いけないと分かっていても、体は白石を求めてしまう。
今頃、光は授業中かな、とか考えて、少し胸が苦しくなる。

「謙也、脱がしてええ?」

「お…おぅ…」

白石は慣れた手つきで、謙也のシャツのボタンを外していく。
あっさりと上半身を脱がされてしまい、シャツはどこかに放り投げられた。

「お前ほっそいなぁ」

「…白石かて細いやん」

「謙也ほどやないで」

「あ…んん」

途端に胸の突起に吸い付かれ、声が漏れる。
今更だが、白石は千歳相手だと女側なのに、謙也相手だと男側なのだと少し驚いている。
女と、こういうことをしたことがあるのだろうか。
妙に手慣れている気がする。

「ん…は…あ」

「なんや、下もじもじさせて、どないしたん?」

「なんも…あら、へん」

白石はニヤニヤしながら聞いてきた。
早く、触ってほしい。
熱が中心に集まって、苦しい。

「ん?ここか?」

「あ…っん」

「もうこんなして…淫乱やなぁ」

「や、ちゃう…もんっ」

もうすでに固くなったそこを、白石が撫でる。
焦れったい刺激に、そこは更に硬度を増し、足が自然ともじもじ動いてしまう。

「ちょ、白石…」

「んー?直に触って欲しいんやろ?」

ズボンのチャックを下ろされ、そこが露になった。
「ジジジ…」という音が、いやらしい。
部活の合宿で一緒に風呂に入ったりするため、お互いの裸は見慣れているものの、やはり勃起したものは見られると恥ずかしい。
白石はそのまま先端を柔らかく揉み出した。

「あ…っ」

「結構、謙也のんデカイんな?」

「はあ…んあッ」

いきなり上下に扱かれて、声が漏れた。
もう、恥ずかしくて死にたい。
そう思っていたら、白石が謙也のものに舌を押し当ててきた。

「あぁ!」

「ちょお先走りでとるやん」

白石が「精液の味するわ」と言った途端、先を咥えられ、背筋がゾクッとした。

「あん…や…あ…」

「今更、嫌とか言われても止まらへんで?」

「あぁあ!!はぁ…あぁっ」

いきなり激しく口淫されて、目の前がくらくらする。
焦点が定まらない。
その目で白石を見ると、何やら指を口に入れて舐めている。
入れるつもりなのだろう。

「やや、しら、いし…」

「嫌?嘘つきやなぁ」

「ッあぁああ!」

いきなり2本も入ってきた。
ぐにぐにと中で動けば、耐えられずに涎が零れ、シャツに染みをつくる。
白石の綺麗な白い指が、謙也のそこを犯していると考えると、身体中の熱が上がる。

「はっあ…あ…あぁ…」

「気持ちええやろ?」

「うぅ…は…」

「けど、慣らされとるな」

「…ッ」

「3本はどや?」

「ん…ふぁああ!!あっあっあぁ!」

指が増え、足が跳ねる。
体が言うことをきかない。
目も虚ろな涙目で、白石の顔がよく見えない。
きっと、今まで見たことがないくらい、いやらしい顔をしているのだろう。

「し、らいし…」

「ん?」

「白石は、他の、人、にも、こういうこと、したん…?」

途切れ途切れに聞けば、白石は斜め下に目線をずらした。

「まぁ、千歳と付き合う前は拾い食いしたりされたりしとったかもな」

「そうなん…んッあ!」

「急に聞いてどないしたん?」

「はぁ…ッな、んか…慣れとるな…はぁ…思て…あん…」

「俺、そんな上手いん?」

「ん、あ、あぁ、あ」

白石はズボンのベルトを外し、謙也のそこに性器をあてがった。
白石のは、光のそれより少し大きいようだ。
他の人のを入れるのは初めてだと思うと、緊張して心臓が細かく脈打つ。

「謙也、俺もう我慢でけへん」

「ん…」

「入れてええ?」

「う…ん…」

ゆっくりと白石のものが入ってくる。
苦しい。
けれど、ずっとこうなりたいと願っていたから、痛くても、幸せだと感じた。

「はっはぁ、あ、あ、あ」

「どや、俺のは?」

「ん、あ、お、きい…」

「そりゃそうやろな、財前より年上なんやし」

もう脳がとろけてしまいそうだ。
侵食してくるそれの動きが止まった。
全部入ったのだろう。

「は、痛ない?」

「だい、じょ…ぶ」

白石が少し辛そうに聞いてきた。
正直、痛い。
結合部が悲鳴を上げている。

「動くで」

「んあ!は、や、あ、あぁ!」

にも関わらず白石は動き出し、それと同時に俺のものも扱かれて、気持ちよくて腰が浮いてしまいそうだった。
いやらしい音が部室中に響いて、感情の高まりを煽った。

「な、謙也、俺と財前とどっちがええ?」

「や、やや、ぁん、ああ…」

必死に首を振っても、白石はニヤニヤと笑って答えを急かすだけだった。
せっかく光のことを考えないようにしていたのに、意地が悪い。

「ああ!あ、あ、ぅあ」

「財前のがええん?」

「ち、ちゃう、あ!」

しまった。
つい口走ってしまい、手で口を押さえたが、すでに遅かった。
白石は一瞬、真顔になったあと、口角を上げた。

「なら、俺がええて言うて」

「や、むり…!」

「…無理やて? なんや、お仕置きしてほしいん?」

「へ…あ!? ちょ…いや、や、や、あぁぁあぁ!!」

白石は謙也のものを、ぎゅっと掴むと、いきなり激しく突いた。
吐精感が引き、もどかしくて仕方がない。
絶頂に上り詰めていたのに、また振り出しに戻ってしまった。

「はぁ、はぁ、も…あかん…許してや…」

「俺のがええて言うまで、イかせたらん」

「あっ!あっ!あぅ…」

「せやから、言うて」

「は…し、らい…しの、が」

「うん?」

「白石のが、ええ…」

「もっと言うて」

「…ッ白石のちんこのが、気持ちええ…から…!」

両手で顔を隠しながら言うと、白石は不気味な笑みを浮かべ、「よくできました」と言うと、いっそう激しく突いてきた。

「あぁ!や、しら、いしっらめ、も…あっ!」

「もうイくん? 早いなぁ」

いつもはこんなに早くないのに、やはり、相手が白石だからだろうか。
気持ちよくて、頭がフワフワして、だんだん何も考えられなくなってきた。

「目、とろんてしててかわええ」

「はぁ、あっあっん!しら、い…も、でちゃう…!」

「ん…一緒にイこか」

白石も限界が近いようで、余裕のない顔をしている。
いつも「聖書」とか呼ばれて完璧な部長として君臨している白石に、こんな表情をさせているのは自分なのだ。
そう思うと優越感に満たされる。
白石は、自身をギリギリまで引き抜き、一気に奥に突っ込んで激しく出し入れした。
気持ちよすぎて意識が飛んでしまいそうだ。

「出すで…!」

「ひゃっ…あぁあぁあ!!!!」

最奥で白石の精液が大量に出されたのと同時に、謙也は腹に白濁を放った。

「はぁ、はぁ、はぁ」

「は、気持ちえかったで、謙也」

「ん…」

荒い息を落ち着かせながら白石の腕に抱かれ、唇に優しくキスをされた。

「好きや…」

そう言いながら、白石は強く抱きしめてきた。
今日だけ、許して下さい。
白石と浮気をするのは今日が最初で最後にします。
明日、光に正直に言おう。
殴られるかな。
怒鳴られるかな。
それとも、泣くかな。
どれだったとしても、悪いのは全部自分自身。
土下座でも何でもして、報いを受ける覚悟はできてる。
だから、今だけ。
今だけは、白石の腕の中で眠っていたい。

「俺も…すきや…」

そう言いながら、謙也は白石の体に手を回した。
これから始まる、醜い感情の言い争いなど忘れて。
今は、白石だけを愛していたい。
そう思いながら。



――――――
もっと変態プレイさせたかったです。

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