brother kiss



「ちょっと、やめてくださいクダリ」

「やだ。やめない」

嫌がる兄さんの言うことは聞かないで、僕は何回も口づけをする。
額に、頬に、唇に。
押し倒された兄さんは抵抗しようともがくけれど、全然抵抗できていない。

「クダリ、もうだめです、」

「なんでだめなの?」

「っ、兄弟で、こんな…っ」

そんなの今さら。
兄弟でも好きなものは好きなんだから仕方ないじゃないか。
兄さんだって弟の僕にこんなことされて蹴り飛ばすなり殴るなりして抵抗すればいいのに、そうしないのは僕のことが弟としてみられていない証拠だよ。
それに、

「でもノボリだって嫌じゃないでしょ?」

僕にキスされるの、なんだかんだで好きだよね。
ちゅっ、ちゅって、いろんなとこにされるの。
困ったフリしながら、気持ちよくなっちゃってるよね。
本当は嫌じゃないの、僕、知ってるよ。

「ねえノボリ、僕とキスするの嫌?」

「…い、いやです…っ」

あれ、まだそんなこと言えるんだ。
でも目をそらして弱々しく言われたって説得力ないよ。
本当に兄さんは素直じゃないんだから。
頬に触れると、兄さんの肩がびくっと震えた。
可愛い、本当に可愛い僕だけの兄さん。

「ノボリ、こっち向いて」

「っ、ノボリではなくて、兄さんでしょう」

「…ああ、呼び方?」

「いつから呼び捨てになったのですか」

いつからだっけ。
でも、ノボリって呼ぶと兄さんの反応が一々可愛いんだよね。
ちょっと顔赤くしながらびっくりしたような、照れたような顔しちゃってさ。

「ふふ、ごめんね、ノボリ兄さん」

「……はい」

そう呼ぶと、それはそれで曇った顔をされる。
一体、僕はどうしたらいいのか。
呼び捨てにしちゃだめだって言われたから兄さんって呼んだのに残念そうにされて、ううん困った。
ああ、そんなときはこう言えばいいんだ。

「ノボリ、好きだよ」

そう言ったら僕の腕を掴む兄さんの手が緩んだ。
隙ありとばかりに唇にキスをすると、兄さんは顔を真っ赤にした。
ほらね、やっぱりこう呼んだ方が兄さんは嬉しいんだよね。

「…っ、ですから、…もういいです…」

「そう?」

観念したのか、好きにしてくれと言わんばかりに兄さんは目を閉じた。
そして僕はまた何回も気が済むまで兄さんにキスをする。
何回したって気が済むことはないけれど、せめて一回一回、好きだって気持ちを込めながら。



――――――
2012.3.29
クダリが一枚上手だといいな!
あとドS×無自覚Mだと更においしいです^p^

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