*モブがちょっと出てくる+ほとんど無理やり





「いや、ややぁ!」

部室のドアの向こうから、愛しい人の喘ぎ声が聞こえる。
喘ぎ声というよりは、知らない人たちに犯されて嫌がる悲痛の叫びだけれど。





君が「愛してる」と言うまで





「けんやぁー。もうええでー」

同級生に呼ばれ、部室のドアを開けて中に入ると、白い液体にまみれた光が裸で横たわっていた。
性器の根元と腕を後ろで縛られていて、浅く呼吸を繰り返している。
床に水滴がいくつか散らばっていて相当泣いたのだろうと推測できたが、どうしてだろう、そんな光の姿をみて可哀想だと思うより愛しいと思ってしまった。

「今日も楽しませてもろたわ。ほな、またな」

同級生たち数名は、ぞろぞろと帰っていった。
部室には俺と光の二人だけ。
ここからは、俺と光の二人だけの時間。

「けんや、さん…もう…ゆるしてください…」

掠れた声で、涙をながしながら光が頼む。
部活が終わればすぐ部室に閉じ込めて毎日のように光を他の男たちに犯させるこの行為。
自分でもいつ終わるのかわからない。
けれど、光のことが好きでこうしているのだ。

「許してって言われても無理や」

「なんで、ですか…」

「なんでやろなぁ」

好きだから、傷つけたい。
そんなの、わかってもらえるはずがない。
俺は近くに落ちていたバイブを拾った。
ローションのせいか、ぬるぬるするそれを、光のアナルにあてがう。

「や、やです…っ、」

「ああ、ここ縛られとって出せへんのやな…今ほどいたるな」

「ひぅ!?やッ、あ、やああああ!!」

紐をほどくと、先端から精液が溢れ出た。
止まることなくイキ続け、涙を流しながら快感に震え悶える光はお構い無しに、アナルにバイブを埋め込んでいく。

「ひっあ!あッあッああ―!」

「ここ、だいぶやわなったなぁ」

「んあッああ!」

難なく入ったバイブのスイッチを入れて振動を一番強くすると、光の身体が大きく跳ねあがった。
前立腺にあたっているのだろう。
無意識なのか、光は腰を浮かせ、足を広げた。
あいつら、ちゃんと調教してくれたみたいだ。
こうした方が気持ちいいってわかってるようだ。

「あ、ややッ!でる!そんな、したらっ、でる!」

「なにが?」

「あああ!や、やぁ…ッ!で、るっ、でちゃう…っひあああ…ッ!」

甲高い声と同時に、ぴゅるぴゅると音がしたかと思えば、先端から水のようなものが飛び出た。
ただでさえ汚い床にまた染みができて、汚していく。

「いつのまに潮吹きできるようになったん?」

「う…ぅ…」

「そない泣くほど気持ちええんやな」

「ふぇ、あ、ああ…っ」

再びバイブに手をかけ、ずこずこと出し入れする。
俺が出し入れしやすいよう、また光は足をあげた。

「随分、淫乱になったもんやな」

「は、あ…、ああっ、ああ、」

「きもちええんやろ」

「ひぅ…う…っ、きもち、ええです…っ」

おそらく、そう言うように仕込まれたのだろう。
けれど、足をびくびくさせながらそう言われると気持ちよさそうにみえる。
いや、もしかしたら本当に気持ちいいのかもしれない。
いい具合に開発されてきたのだとしたら、バイブを尻に咥えこんで喘いで悦ぶ姿など、ただの淫乱以外の何者でもない。

「なあ、普段あいつらにどんなことされとるん?」

「あっ、ひ、ふあ、あっ、」

「もっとひどいことされとるん?」

「は、ぅ…」

バイブのスイッチを止めると、光は吐息混じりに口を開いた。

「い、いつも…たくさんの人のいれられて、中に出されて、」

「でもイかせてもらえんのやな?」

「はい…」

「ほんなら、今日はいっぱい出させたる」

「…あっ!?あっ!あっ!イク…!」

バイブのスイッチを入れると、呆気なくまたイッた。
よだれをたらしながら、どこか焦点の定まらない目はとろんとしていて、精液を出せたことが嬉しそうにみえた。
ずるっと抜いてやれば、中から誰のかもわからない精液がトロトロ出てきた。

「ほんま早漏やな」

「ッ…ごめ、なさい…」

「許さん」

何かいいものはないか部室を見渡すと、尿道バイブをみつけた。
それを持って光の前に差し出すと、怯えるようにびくっと肩を震わせた。

「これがここにあるっちゅーことは、こっちも開発済みなんやろ」

「えっ、や、それはやです!」

「嘘言うなや」

「嘘やないです…!それだけはやめてください…!」

この怯えよう、よほどこれが恐いらしい。
これを使ったらどうなるのか、逆に興味が湧いた。

「けんやさん、おねがいやから、やめてください…」

ぼろぼろ泣かれたら、余計これでめちゃくちゃにしてやりたくなる。

「っや!けんやさん!あッ!!ひッぅあああ…っ」

気づけば、何回イッても勃起したままの性器に、それを突き刺してスイッチを入れていた。
光は足をばたつかせながら、悲鳴のように枯れた声で喘ぎ続ける。

「ひあああッ!!あ、ぅあ、ああ、あひぃっ!」

「やっぱこれ好きなんや。嘘言いよって」

「はぁ、あっ!ああ―っ!あぁ―!イッ、あああッ!イク…!!あぁ…あ…あ…っ」

呂律も回らないまま、光は腰を浮かせて目を閉じた。
もう出る精液もないから確かめようがないけれど、イッたようだ。
さっきより断然早い。
感じやすい身体になったのはいいが、たくさんの男とセックスさせたお陰で早漏になってしまったのだろうか。

「次はどうしてほしいん?」

もうやめてください、と言われると思って聞いてみる。
きっと涙を流しながら小さな声でそう言うのだろうと思っていた。
けれど、

「…けんやさんの、…ほしいです…」

光は、確かにそう言った。
涙を流しながら、小さな声で、俺が思っていたことと真逆のことを口にした。
あいつらがそう言うように仕込んだのか。
それともそう言えば許してもらえると思っているのか。
そんな訳ないだろう。
でも、許してほしくて淫乱なフリをする光も、それはそれでそそる。

「…そんな言い方でええと思っとるん?言い直しや」

「…お、れの、ゆるくて、だらしないケツマンに…けんやさんの、おっきいおちんちん、つっこんで…っぐちゃぐちゃにして、ください…」

「突っ込んで、なんやて?聞こえへんわ」

ああ、堪らなく可愛い。
つい口元が緩んでしまう。

「…っ、つっこんで、いっぱいはげしくついて…なかにせーえきぶちまけてください…っ」

「こない緩いケツマンでちゃんと溢さず飲めるんか?」

「が、がんばります…、けんやさんのせーえき、ぜんぶのみますから…、おねがいします…」

まさか自分から四つん這いになっておねだりされるなんて思っていなかった。
それも、両手をつくことができないせいで、尻だけ高くあげたみっともない体勢で。
ぶっ壊したい衝動に駆られてしまいそうなほどに淫乱で扇情的で、狂おしいほどに愛しい。
いや、こんなこと思ってしまう時点ですでに狂ってるか。
自嘲しながらも、自分のものを取り出して光の下の口にあてがうと、今にも飲み込もうとしているのか微かにそこが震えていた。

「こんなひくひくさせて、誘っとるん?」

無意識だったのか意識的にしていたのかはわからないが、光は頬を紅くして視線をそらした。

「いれるで、」

「っん、あ、あぁあッ」

どうみても誘っているようにしかみえないそこに昂る性器を押しつければ、みるみるうちに飲み込んでいき、根元まで滞りなく入ってしまった。
光は小さく喘いで受け入れると、中を締め付けてきた。

「突っ込んで激しく動いてほしいんやったっけ?」

「は、はい…、あああッ!や…っ、いきな、りッ、あん!ああッ!」

緩い光の中は、激しく出し入れすることが容易だった。
あんあん喘ぎまくる光とは対照に、俺は坦々と出し入れを繰り返す。

「おい、腰落ちとるで」

「あっ、ごめ、んなさ…ッふああ!あああッ!」

落ちそうになる腰を無理やり持ち上げあげて好き勝手犯してやると、肌がぶつかる音と粘着質な音が大きくなって部室に響いた。

「は、あんっ!あぅ、あぁ、あッああ!」

「気持ちよさそうな顔しよって」

「はぅ、きもち、い…っ、きもちぃれす…ッ、あぁあ!はげしい…っあぁん!」

ぐちゅぐちゅ、いやらしい音も手伝ってか、早くも吐精感が上り詰めてきてすぐに吐き出してしまいたくなると、自然と動きもより激しくなる。

「中にぶちまけてええ言うたよな」

「は、はいっ、けんやさんのせーえき…っ、ほしいです…っ」

あの光が、今ではこんなことを言うようになるなんて。
ぞくぞくする。
そんなことを言われたら、我慢できなくなってしまうだろう。
俺はラストスパートをかけるべく、激しく強く中を擦りあげた。

「あん!あん!けんや、さ…っ、あッイク!」

「中、出すで」

「らしてくらさい…ッ!なかにいっぱい…ッ、らひてぇ…ッあああっ!」

またイッたのか、中が収縮するのを感じて俺も中に白濁を吐き出せば、開放感と脱力感に満ちたなんともいえない時間がやってきて、光の中から抜けた出した。
光は崩れ落ちながらもちゃんと俺の精液を溢さず飲んだ。

「またイッたんか」

「……すみ、ません…」

ふらふらと、光は体を引きずるようにシャツに手をのばした。
手に力が入らないのか、ボタンをかけられないでいる。

「けんやさん…?」

「…じっとしとりや」

見ていられなくて、つい手が出てしまった。
光のシャツのボタンをとめ始めると、光は俺の方をじっとみつめた。

「…なんや」

「…あの、…謙也さんは、俺のことが嫌いだから、ひどいことするんですか…?」

「ちゃう」

「じゃあ、俺のことが好きでしてるんですか…?」

「……さあ」

好きだから傷つけたいなんて、言ったところで理解えるはずがないだろう。
それに、散々ひどいことをしてきて今さら好きだなんて言えない。
どれだけ傷つけて、どれだけ泣かせたかわからないのに。
適当に返すと、光は目を細めて泣きそうな顔をした。

「…じゃあ…もう俺としてくれへんのですか…」

「え…?」

「これからも、謙也さんとしたい…謙也さんとだけがええ…」

どういう意味ととっていいのだろう。
都合の良い解釈をしてしまいがちな俺は一瞬過ったことを抹消した。
俺のことを好きになるはずがないのに、こんなの嘘に決まっているのに。
それなのに、どうして都合のいいことばかり考えてしまうのだろう。

「…ええで。たっぷり可愛がったる」

光の体を抱き寄せると、体温や鼓動がわかる。
こうするのも、初めてな気がする。
腕の中の光は思ったよりずっと小さくて細くてやわらかかった。
そんなこと、今頃気づくなんて遅すぎる。
本当に、なにもかも遅すぎる。

「謙也さん…すき…」

本当に小さく聴こえたその言葉に、心臓が止まりそうになった。
聞き間違いかと疑いたくなるような、小さな声。
もう一度言ってと言いたくなったが、やめた。
もし本当にそう言ったのなら、俺も好きだと返してはいけない気がして、罪悪感でいっぱいになってしまいそうで恐くて、どうすることもできないから。
代わりに、初めてキスをした。
いつか、いつかきっと「愛してる」と言うから、それまでもう少し、臆病な俺を知らないままでいてくれという意味を込めて。















――――――
2012.1.12
ほんとは光もずっと謙也さんのこと好きだったよっていう実はとんでもないすれ違い話なんですけど上手く表現できてないのでここで補足(オイ)。
「愛してる」って言ってくれるまで待つから、という光視点でタイトルつけました(何故そうしたのかは謎)。
瑠惟さまリクエストありがとうございました!

フリリク一覧へ
表紙