非日常の始まり





いつもどおりの朝練やった。
いつもどおりの学校やった。
そんで、いつもどおりの部活をして、いつもどおりの道で帰るはずやった。
それが、どうしてこんなことに。

「んーッ!んーッ!」

「息苦しそうやなぁ…可哀想やし外したらあかん?」

「あかんでーまだビデオセットできてへんもん」

「え、ほんまに撮影するん?」

口に貼られたガムテを剥がそうとする白石部長と、ビデオ撮影の準備をするユウジ先輩とビビっとる謙也さんに囲まれた俺は、部室の隅で腕と足を縛られて転がっとった。
確か、部活に来るとこまではいつもと変わらんかったはず。
おかしくなったのは、部活が始まる前。
なんかおかしいとは思っとった。
もうすぐ夕練やのに部員は誰もおらんし、テスト週間やないから部活はあるはずなのに。
そう思ってユニフォームに着替えようとしたら、いきなり後ろに引かれて倒れたんや。
床に腰と背中を打った衝撃で痛くて身動きできんのをええことに縛られた。
ああ、そうや、そうやった。
痛みが引いた頃には目の前にこの三人がおって。

「おーし、これでええやろ。ビデオ回すでー」

「結構きれいに写るなー」

「せやろ?」

「ほな、これ持つのは俺の係で。ユウジ、貸してや」

「えっ、ビデオなら俺が持つで」

「謙也はあかん、ブレそうやし、こういうのはセンスがいるからなぁ」

「なんのセンスやねん!」

ツッコミを入れながらケタケタ笑うユウジ先輩はビデオを白石部長に渡す。
白石部長はビデオを構えると、俺に近づいてきた。

「さー、ええ声聞かせてや」

口のガムテが取られ、息苦しさから解放されると、足の紐もほどかれた。
今がチャンス、逃げるなら今しかない。
けど、俺は恐くて動けんくなってしもた。

「そない恐がることないで。今から先輩がええこと教えたるからな」

「え、ええことってなんすか…」

「それはお楽しみや」

ふふ、と白石部長は笑って、ユウジ先輩に目配せした。
ユウジ先輩はそれを承けて縛られとった足の紐をほどくと、俺のズボンに手をかけた。

「っひ!?」

「おー、ええ反応」

「やです!いやや!」

剥がされるように一気に下ろされて、俺の下半身はなんも隠すもんがなくなった。
誰かに見せるなんてこと滅多にないとこを三人がまじまじと見つめる。
恥ずかしくて、思わず顔をそらして目をつむる。
こんなことして、何するつもりなんや。
なんの理由があってこんなことされなあかんのや。

「ほな白石、アレ準備してや」

「せやな」

白石部長はポケットからなんか取り出して俺の目の前にちらつかせた。

「これなーんだ」

黒いボトルには英語でなんか書かれとって、怪しい絵がついとる。
どうみてもハンドクリームや洗顔料にはみえん。
明らかに怪しい。
なんですか、と聞く間も与えんように、白石部長はユウジ先輩にキャップを開けさせて、それを直接俺のちんこに垂らした。

「ひゃうっ!な、なに…冷たいっす…」

「これはローションていうてなー財前を気持ちよくさせるためにいるもんなんやでー」

「や、いやや…っ、ぬるぬるする…ッ」

冷たいのが俺の体温であったかくなってく。
白石部長はローションを全部出し切ると、ぐちょぐちょになったちんこを扱いてきた。

「ひあっ!?や、あぁ…っ、」

「おーこいつ感じとるで」

「そりゃローション使たら当たり前やで」

なんやこれ、なんでこんな熱いんや。
白石部長に触られたとこがぴくぴく勝手に動いとる。
嫌やのに、気持ちええはずないのに、なんで。

「ほな、俺は指でも突っ込んだろか」

「ほ、ほんまにするん」

「しつこいで謙也。後で先に突っ込ましたるからおとなしく見とりや」

唯一この場でまともな謙也さんが止めに入って、ほっとしたのも束の間やった。
やっぱこの人ヘタレや。
しかもユウジ先輩の一言で生唾飲んでちんこ勃起させとるし。
って、俺のも勃ってきとるし。
ありえへん、こんなの悪夢や。

「よっしゃ、いくでー」

「っあ!なん、や、ああッ!」

ユウジ先輩が指を突っ込んできた。
ひどい異物感。
当たり前や、こんなとこ指入れられるとこやないんやから。
こんだけ感覚があるっちゅーことは、これは夢やないんやな。

「ぬるぬるやなー、するって入ってしもたで」

「ひぐ、ぅ、…きもちわるい…いややぁ…」

「財前は嘘つきやなぁ…こんな勃っとるのに」

指を入れられても、俺のは萎えるどころかさっきより固くなってきとった。
ほんまに嘘つきや。
くちゃくちゃ、やらしい音させながらちんこを白石部長に弄られて勃起させとるのなんか言い訳しようがない。
でも嫌やって言わな謙也さんの突っ込まれてまう。

「いや、っすわ…、や、あ…」

「まだそんなこと言えるんやな。嘘つきにはお仕置きや」

「ふ、ぇ…、…ッあぁ!や、いたっ!いたい!」

指が入っとるとこが痛い。
きっと二本目が入ってきたんや。
でも、それすらも前弄られたら痛くなくなる自分の身体がわけわからんくて、ぼろぼろ涙が出てくる。
こんなことされてまだ勃っとるのが恥ずかしい。
もう嫌や。

「も…っ、やです、やめてください…っ」

「今から俺の言うこときいてくれたら止めてやってもええで」

「い、いうこと…?」

「せや。謙也さんのおちんぽ、中にぶちこんでくださいって言えや」

「そっ、そんなん…っ、や、あああッ!」

中の指が増やされたんか、圧迫感が増した。
縦に、横に、好き勝手動くユウジ先輩の指。
早く解放されるためには言うこときかなあかん。
屈辱でしかない、こんなの。
でも、言わんと解放されんし、どうしたら。
もう言うしかないんか。

「あ、う…もういや、やぁ…」

「止めてほしいなら、ちゃんとおねだりせぇや」


→→→