よし、やっぱここは生意気な後輩からまず徴収せなあかんな。

「光ー!」

部室を飛び出て光を呼び止めると、二人は歩くのを止めて振り向いた。

「なんですか?」

「今日一緒に帰ろや!んでドリンクおごってや!」

「は?なんでですか、特に後半」

「なんでって…。ヒント、去年ぜんざいおごった」

「……ああ、今日ハロウィンでしたね」

「せや!忘れたとは言わせんで、去年ぜんざいおごったよな!」

「そうでしたっけ?」

「絶対おごった!」

こいつ、忘れたフリしてごまかしよって。
俺が忘るわけないやん、1人だけいっちゃんたかいもんあげたんやから。

「残念やなぁ財前」

「千歳と白石にも後でなんかもらうからな!」

「ああ、俺らの分は全部財前があげるって」

「なに言うとるんですか」

「よし、ほんなら三人分もらうで!」

何本買うてもらおうかな。
俺は小走りで部活の用意をしに部室に戻った。





部活が終わった後、なんだかんだで光は俺と一緒に帰ってくれた。
学校から少し離れたとこにある公園にある自販機の前まできて、俺はどれをおごってもらおうか決めとった。

「これがええな、これおごってや」

「あ、俺これが飲みたいっすわ。謙也さんのおごりで」

「光のおごりやろ!」

ここまできてまだおごる気ないんか。
しかもおごれて。
ほんま生意気な後輩やな。

「まあ、去年ぜんざいおごってもらったかどうかは別として。それで、もし俺がおごらんて言うたらどうするつもりやったんですか」

「絶対おごったって!そりゃ、おごってくれへんかったらイタズラするに決まっとるやん!」

そう言うた瞬間、光は目をぱちくりさせた。
アホちゃいますか、とでも言いたげな顔しとるのがちょっとムカつく。

「イタズラて。それって具体的にどんなことするつもりなんです?」

「えっ、どんなって、うーん…」

そういえば考えてなかった。
イタズラって、くすぐりとか?
おごってもらえると思ってたからなあ。

「ほんなら、どんなイタズラするつもりやったんか今やってもらいましょか」

「えっ、今!?」

「当たり前やないですか、俺おごる気ないんでどうぞイタズラしてください」

なんちゅーヤツや、ほんまにおごる気ゼロやんか。
ハロウィンて普通イタズラされるのが嫌やからお菓子あげるはずなんやけど、イタズラ希望の人には何したらええんや。
ちゅーかそんな人おらんやろ。
まあでも日頃俺のことバカにしとる光に反撃できるチャンスや。

「よし、目瞑ってや」

「はい」

まあ、無難にこれやな。
俺は光の額の前に親指と人差し指で輪を作って構える。
勢いよく人差し指を弾くと痛そうな音がして、上手くデコピンできたんがわかった。

「どや!痛いやろ」

「はぁ、俺にイタズラするなんてええ度胸ですね」

「は?」

「ほんまのイタズラってヤツを教えてあげますよ」

ほんまのイタズラて、なんやねん。
デコピンと何がちゃうんや。
イタズラにほんまもくそもないと思うんやけど。

「ただ、ここだとまずいんで、とりあえずトイレ行きましょか」

「トイレ?」

光が指差したとこは公園のトイレ。
ここでも人気はないのに、なんでそんなとこまで行かなあかんのや。

「トイレ行ってなにするん」

「なにって、イタズラしてくれるんやないんですか」

「いや、まあそうやけど…」

なんでわざわざトイレなんやろ。
疑問に思いながらも、トイレの方に向かう光についていく。
公園のトイレは思ったより汚くなかった。
二人で洋式の個室に入って鍵を閉められると、なんだか変なドキドキ感がしてきた。

「なあ、こんなとこ来る必要あるん?」

「ありますよ。誰かに見られるわけにはいかないんで」

誰かに見られたらあかんことってなんやねん。

「じゃあ謙也さん、フェラしてみましょか」

「は!?え!?」

まさか光の口からそないな単語が出るとは思っとらんかった。
フェラって、あの、あれだよな?
やらしいことであっとるよな。
それってむしろ俺が損する気するんやんけど。

「イタズラ、するんやないんですか?」

「い、いや、そんなんイタズラとちゃうやんか…っ」

「…ああ、謙也さんは子供やから大人のイタズラってやつを知らないんすわ」

「誰が子供や!」

「悔しいならお菓子をくれん俺にイタズラしたらええやないですか」

後輩のくせにクソ生意気な。
そりゃ、あと半月くらい誕生日遅かったら同い年やけど、それでも一応先輩やのに。
こうなったら大人のイタズラってやつを見せたらなあかんな。

「勘違いしないでくださいよ。男にこんなことされても嬉しくないんで」

「ほんなら、これはイタズラになるんやな」

「そうですね」

光はカチャカチャとベルトをほどくと、半勃ちになったものを取り出した。

「突っ立ってないでしゃがんでくださいよ」

「ほ、ほんまにするん…?」

「俺にイタズラしたいんすよね。なら、しゃがんでくださいよ」

「う…」

とりあえずしゃがんでみると、初めて見る光のそれに緊張が高まる。
まさかこんな展開になるとは思っとらんかった。
でも、本人はこれがイタズラやって言うとるし。

「咥えてみます?」

「う、ん…」

くそ、こうなったらヤケクソや。
試しに軽く、唇だけで先端を咥えると、先走りがついた。
ちら、と上を見る。光はいつもと変わらん冷静な顔しとった。

「ほんまに、嫌がっとるん?」

「嫌ですよ。舐められたりなんかしたらもっと嫌ですね」

「ほんなら、」

思いきって舐めると、変な味がした。
すっぱい、汗みたいな味やったけど、不思議と不味くはなかった。

「ちゃんと咥えたらええんとちゃいます?」

言われるがまま、先端だけ口に含んでさっきみたいに舐めると、光のが少し大きくなったのがわかった。
一応、同じ男として歯があたるのは痛いと思うし、気つかってあたらんようにしとるけど、ほんまにこれイタズラになっとるんか。
全然嫌がっとらん気すんねんけど。

「んっ、ぅ、うぅ、」

「やればできるやないですか」

「う、んん、はふ、…んぐ!?」

いきなり、光のが無理やり奥まで入ってきた。
むせそうになるのを堪えとると、頭を押さえられて、今度は腰を動かしてきた。
苦しい。光のが勝手に口の中を行ったり来たりする。

「うぅー!ぅ、んく、うぅっ」

「ちゃんと吸ってくださいよ」

「んん、ぅ、んっ、ふぅう!」

「っは、上手やないですか」

こんなん、絶対嫌がってへん。
嫌やったらこんなことせえへん。
腰振ってくるのなんか、明らかに気持ちよくなるための行動やん。
なんでもっと早く気づかなかったんや。

「ぅく、うッ!ふ、んんっ」

出たり入ったりするたびに、じゅぽじゅぽ卑猥な音がする。
完全に騙された。
やばい、あかん、はよ離さな。

「だめですよ、今ええとこなんですから」

引き抜こうとしたのを察したのか、頭を押さえつけられた。
喉が詰まって苦しいのに、光のを抜くことができんまま動かされる。

「あ、謙也さん、出そう」

「ふ、ぅ!?ぅん、う、く、」

「…出しますよ」

「ふあっ!ん、んんんっ」

いきなり脈打って、どぷっとなんかが出てびっくりして口を離すと、それが俺の頬にかかった。
口にもちょっと出されたそれは変な味がしてやっと精液やってわかった。

「すんません、」

放心状態の俺にそう言いながら、光はカラカラとトイレットペーパーを出して俺の顔を拭った。

「謙也さん?大丈夫ですか?」

「……っな…何がされたら嫌や!全然そんなことないやろ!」

「意外とそうでもなかっただけっすわ」

「嘘つけ!」

もうこいつの言うことは信じられへん。
光は俺の顔を拭きながら、ふと笑った。

「…なんやねん」

「気持ちよかったっすわ」

「なっ!」

「なに照れとるんすか」

「て、照れとらんわ!」

俺は褒められると頑張るタイプやって知っとってそないなこと言うとるんやな。
ちくしょう、なんか悪い気せんくなってきてしもたやんか。
ほんま俺の扱いが上手いっちゅーか。
これでドリンクおごってもらえたら全部許してまいそう。
まあ、こいつのことやからそんなことないと思うけど。

「あ、謙也さん」

「ん?」

「後で口直しになんか買うてあげますよ」

「えっ、う、うん…」

って思っとった矢先、あっさりそう言われてなんや拍子抜けしてしもた。
こうなったらしゃあない、おごってもらえるんやったらとりあえず目標達成やし。
顔はベタベタやし変なにおいするし最悪やけど、許したるか。
って、なんかいいように操縦されとるような気するんやけど、うーん、まあええか。















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2011.11.15
「計画通り」とかって思ってるんでしょうね光くんは(笑)
でもこの後ちゃんとドリンクおごってもらえましたからね!よかったね!


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