ここはまず白石に貰うべきやんな。
俺は部室を出て追いかけていった。

「白石、ちょお待ってや」

「ん?なんや、俺に用事?」

「せや、」

「俺、先行きますわ」

前を歩いとった光が先にコートに向かう。
よし、光には後でドリンクおごってもらうんやからな!

「で、なに?」

「今日はハロウィンやで!」

「うん、せやな」

「…せやなって…せやからお菓子欲しいんやけど」

「ええけど、謙也は持ってきとるん?」

「は!?去年あげたやん!今年は白石の番やで」

「去年は去年、今年は今年やで」

「はー!?」

なんてヤツや。
白石ともあろうお方がお返しを求めるなんて。
聖書失格やでほんまに。

「で、謙也はほんまにお返しないん?」

「せやからないって。去年貰っとらんから今年貰おうとしとるのに」

「そっか、なら俺は謙也にイタズラせなあかんなぁ」

「へっ?わっ、ちょ!あははっ!やめっ、くすぐ、はは!」

「くすぐり攻撃や!」

「ひー!やめ、はははっ」

白石がいきなり俺の脇の下をくすぐってきて、俺は身体をくねらせて拒否する。
腹筋は痛いし、こういう手つきでさえ無駄がないんかむっちゃくすぐったい。
ようやく手が止まった時には息も切れ切れやった。

「はー、はー、…部活、あるのに、もう疲れた、やんか」

「謙也があんまりええ反応するからつい、かんにんしてや」

白石がくすぐりの聖書なら俺はくすぐられの聖書かっちゅーの。
なんて心の中で笑いながら、どうやったら飴ちゃんを奪えるかまた考え始めた。
来年はあげるからって言うたらええんやろか、とか。

「あれ、謙也」

「なに?」

「下向いてみ」

「へ?」

下って、地面?
アリが一匹這っとるくらいでなんもないけど。

「ちゃうちゃう、地面やなくて、謙也の下半身」

下半身?
なんやろ、なんかついとるんかな。
そう思いながら下半身に目をやると、俺はびっくりして思わずでかい声をあげてしもた。

「えっ!?な…っ」

「あーあ、くすぐられて勃ってしもたんやなぁ」

ま、まさかそんなことでこないなことになるなんて。
うわ、むっちゃ恥ずかしい。
顔から火が出そうや。

「ちょっ、白石ごめんトイレ行ってくるわ!」

「ええけど、部活始まるで?」

「が、がんばるわ!」

我ながらアホなことを言うたと思う。
俺は急いで校舎内のトイレに向かうために、手でそこを隠そうとした。
そしたら、なんでか白石にその手を掴まれて俺は内股前屈みっちゅーなんともみっともない格好になった。

「なっ!なんやねん!」

「トイレなんか行かんでも、そこの木陰でええやん」

白石が目線をやった先には、ひと一人くらいなら余裕で隠せそうな大きい木。
体育館の壁に沿って何本も生えとる。
せやけど、誰かに見られたらマズイし、ここはやっぱり鍵かけれるトイレの方がええんやけど。
木陰は嫌だと目で訴えても、白石はにこにこ笑って俺と木を交互に見るだけで、少なくとも冗談やないことがわかった。

「ほら、謙也。はよしんと部活始まってまうで?トイレまで行っとる時間ないやろ」

「う…」

確かに、もう部活が始まってまうし、今ならまだ部員も集まってこおへんやろし。
しゃあない、あの木の裏でするしかない。

「ちょ、ちょっと行ってくる」

「はいはい、頑張って」

俺は仕方なく五本生えとる木の真ん中の大きな木の裏に回りこんだ。
一応こっからコートは見えんし隠れとるみたいやけど、こんなとこでしたらすーすーする気がする。
それに、もし誰か来たら言い訳でけへんよな。
こんなとこ来る人おらんと思うけど万が一ってことも考えられるし。
やっぱこんなとこででけへん、トイレまで行こう。

「どこいくん?」

「うわっ!うわああ!?」

トイレに向かおうと足を向けたら、いきなり白石が現れてびっくりして変な声をあげてしもた。
いつの間におったんや!こわっ!

「なっなんでここにおるんや!」

「見張りや。誰かに見つかったらあかんやろ」

「そりゃそうやけど!でも俺やっぱトイレで」

「部活始まるまで後何分やと思ってるん?それにトイレやったら誰か隣の個室とかに入ってくるかもしれへんやろ?」

って言うとるけど、絶対こいつ楽しんどる。
でも部活まで時間ないのはほんまやし、白石が見張ってくれるんやったら、まあ。
なんかうまいこと言いくるめられた気すんねんけどしゃあない。

「こ、こっちみんといてや…」

「はいはい」

ベルトをはずして固くなってしもたそれを取り出すと、風があたって冷たくて、ここが外やってことが急に恥ずかしくなってきた。
それでもはよしんと部活が始まってまう。
俺は右手で握って上下に動かし始めた。

「っは、…ッ、」

あかん、はよせなって思うと気分が乗らん。
しかもすぐそこに白石おるし。
ちゅーか、ちゃんと見張りしとるやろな。
ふと気になって後ろを振り返ると、白石と目が合って俺はびっくりして顔が熱くなった。

「ちょ、白石!」

「ん?なんや?」

「なんややなくて!こっちみんといてって!」

なんでこいつこっちめっちゃ見とるんや。
見張りの意味ないやろ。

「遅いなあーと思って見ただけやん、なに慌てとるん」

「終わったら呼ぶからちゃんと見張っててや!」

「えー。せやけど謙也の、俺に見られても勃ったまんまやで」

返す言葉もない。
特別たまっとったわけでもないのに、むしろさっきよりおっきくなってきた気がする。
どうしよう、勃っとるの白石に見られて恥ずかしい。
恥ずかしくて泣きそう。

「俺が見とってあげるから、ほらはよしい」

「やったらあっち向いとってや…でけへんやんか…」

「ああ、わかった。ほな手伝ったる」

「えっ!?しらいし…!」

白石は俺の後ろに回りこんでヘソの辺りを撫でながらパンツの中に手を突っ込んできた。
なにがわかったのかわからんけど、とりあえずこの体制はマズイのはわかる。
白石の腕が邪魔で、おまけに木に押し付けられて身動きでけへん。

「ちょっ!なんやねん!」

「一人やイけへんのやろ?せやからお手伝いしたろかなーって」

「そんなんせんでも…っあ!」

先っぽをぐりぐり弄られたら、すぐに力が抜けてきた。
さっきまでこんな感じんかったのに、なんで急に。
男にこんなことされとるのに、しかも外やし萎える要素しかあらへんのに、さっきよりちょっとだけ気持ちええ気がする。

「ん、あ…ふあ、」

「そないかわええ声だすほど気持ちええん?」

「う、っさい…」

背中にあたっとる白石の顔が熱い。
白石がなんか喋ると息がかかってくすぐったい。
あかん、ちょっと強くされると刺激が強すぎて足に力が入らへん。
木にもたれるようにして少し屈むと、立ちバックしとるみたいな体勢になってしもた。

「この体勢、やらしいな…」

「ふぁ、は、あ…」

「…ちょっと俺も無理かも」

「し、らいし?」

何する気なんか聞こうとする前に、固い何かがケツにあたった。

「な、なんや」

「かんにんしてや」

「え…っ、あ、やッ!」

ズボンが足首まで完全に落ちてますます動けんくなったところで、白石は俺のケツの間にちんこを挟んで擦りつけてきた。
こんなん嫌や、こんなとこ誰かに見られたらどうすんねん。

「や、あかん…っしらいし…!」

「謙也のせいで俺まで勃ってしもたんやで?謙也も俺のこと気持ちよくしてや」

「あっ、や、ん、ぅ」

背筋がぞわぞわするのは、多分お尻の穴にたまに白石のがあたるからで。
男同士でこんなことして恥ずかしいとか思う前に気持ちよくてどうしようもない。

「このまま入ってまいそうや…」

「え、それはいややで…なに、白石、あかんて」

「それは嫌って、なら挿れんかったらええの?」

「へっ?あ、ひあっ、あ、や、や、あかん…!」

白石の先端が穴をピンポイントでつついてくる。
それでいて前はちゃんと弄ってくるから、それすらも気持ちよくなってしもて、このまま入っても問題ないんとちゃうかって考えて止めた。
いくら白石が相手でもそれはさすがにあかんやろ。
ああ、でも、ちょっとくらいなら。

「ふあ、あっ、あ、はぁ、」

「謙也、ほんまかわええ…」

「んっ、かわええ、とか、いうなや…っあ、あぅ…」

だんだんイキそうな感覚がしてきて集中し始めた頃に、さらにぐりぐり強く弄ってきた。
わざとくちゃくちゃ音をたてるようにしとるんか、白石の思惑通りその音にも煽られた俺はいつイってもおかしくない状態やった。

「しら、いし…ッ、でそう…でる…っ!あ、でる…ッ」

「ん、ええよ。いっぱい出しや」

「ふあッあ、でる…っ、あ、あぁ…ッ!」

ぎゅっと目を閉じると、木に向かって白い液体が飛び散った。
いつも一人でするときより気持ちええ。
身体もびくびくしてすごい敏感になっとるみたいや。

「けんや…俺も出そう…」

「ふぇ…?しら、いし?」

「このまま、かけてええ?」

「えッ!な、いやや!やめ、あ、やぁ、あ…っ!!」

「…ッあ…」

嫌やって言うたのに、白石は俺の尻に射精した。
トロトロ、白石のが俺の尻から腿を伝う。

「も、こんなんどうしたらええねん…」

「こんなこともあろうかと、ほらティッシュ」

「ずいぶん用意がええな」

まさか始めからこうなることを見越して持ってきたんとちゃうやろな。
妙にええ笑顔やし怪しい。
てか、あ、そういえばお菓子貰ってへん!

「白石!お菓子!飴ちゃん!」

「へ?やからあげへんって言うたやん」

「なっ!やっぱりくれへんのかい!」

「んー…なら俺が食べとるヤツ口移しであげよか?」

「そんなん…っ、い、いらんわ!」

「あ、今ちょっとそれでも欲しいって思ったやろ?」

「ちゃう!断じて!」

一瞬、今までしとったことが頭を過ぎって、ぶんぶん頭を振った。
そのまま流れでさっきみたいなことになったらとんでもない。
とんでもないけど、ちょっとだけならええかも、なんて。
どうやら、白石は俺の思考回路までイタズラしたみたいや。















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2011.11.1
白石ルート、楽しく書かせていただきましたー^^
ちょっとえっちな謙也さん書きたかったんだ!笑


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