(2/2) 駅前のホテルまで、関係者に見られないよう別々に来た。 千歳は意外に金持っとるらしく、まさか最上階のスイートルームに連れてかれるとは思っとらんかった。 これでおごりやなかったら、はっ倒すでほんま。 「お待たせ」 シャワーを浴びて部屋に戻ると、バスローブ姿の千歳がベッドに腰かけとった。 「なんやさっきの思い出すなあ」 「はは、白石くん?」 「そうそう、千歳先生」 俺は千歳の横に座った。 うわ、むっちゃ石鹸のにおいがする。 えろい。ちょっとむらむらする。 「白石はほなこつ色白かねー。さっきも思ったと」 「そう?」 「んー、首とかかぶり付きたくなるばい」 「噛んでもええよ」 「なら遠慮なく」 首筋に、千歳の歯があたる。 こんなの、いつもの撮影ならそんなに気持ちええもんやないのに、なんでかゾクッとした。 「あ…っ」 「よか反応するとね」 「ひゃ、あ…っ」 なんやこれ、おかしい。 今まで、首筋舐められただけでこんな反応したことないのに。 千歳は俺のバスローブを脱がせようと紐をほどいた。 それから、俺の身体をまじまじ見てくるから、ちょっと心配になった。 萎えたんやろか。俺、そんな萎えるようなことしたっけ。 「千歳…?」 「……今まで男相手に本気で勃ったことなかったと…ばってん、白石…」 「え…あ、」 誘導された手の先につかまされた千歳のは、勃起しかけとった。 「ね、自分でもびっくりたい」 「…お、俺やってあんな…」 「感じたことなかったと?」 「う、ん」 「はは、むぞらしかねー」 むぞらしかってどういう意味やと首傾げとると頭を撫でられて、可愛いっちゅー意味やと教えてもらった。 可愛いなんて言われて嬉しくないんやけど。 「白石、」 「ん、ん…」 恋人同士がするような優しいキス。 離れそうになっては絡んでくる千歳のキスに、柄にもなくドキドキした。 「は、ちと、せ…」 「ん、気持ちよくしちゃるね」 片方の乳首を摘ままれ、もう片方は舌で舐められる。 舌で押し潰すようにつつかれたと思ったら、焦らすように舌先がかすって、指の方も強弱つけてしてくるから、そこから意識が逸らせん。 「あれ、白石も興奮しちょると?」 「あ…っ、あっん!」 少し歯を立てられて、身体が跳ねる。 いつのまにか俺のは完全に勃起しとって、先走りまで垂らしとった。 「これ、使ってもよか?」 千歳の手には英語でローションと書かれた紫色のパック。 さっきシャワールームから持ってきたらしい。 頷くと、封を切って手に垂らし、そのまま俺の後ろの穴に塗りたくった。 指を挿れるつもりやと感づいて、やりやすいように足を広げる。 「白石はお利口さんばいね」 「ん、あ…っ!」 一本目の指が入ってきて、奥の方でぐにぐに動く。 太くて長い指なら当然動ける範囲も広くて、好き勝手中をぐちゃぐちゃにされる。 されっぱなしなのは癪やったから、俺も負けじと千歳のを扱いたった。 うわ、やっぱでかい。 さっき撮影で咥えたときも顎痛くなったもんな。 「ん…っ、いたずらばしたらいけんよ」 「ええやんか、俺やって…っは、あ、ああ…っ!」 仕返しと言わんばかりに指を増やされて中が解されてく。 縦に、横に、指の向きを変えられるのが気持ちよくて、キスされてるわけでもないのに息が荒くなってまう。 仕事でしとるわけやないのに、ちゃんと後から俺が痛くならんように丁寧にしてくれとるのがわかる。 ああ、もうなんでそない優しくするん。 「もう挿れてもよか?」 「うん…ええよ」 「後ろ向いて」 四つん這いになると、ローションを絡ませた千歳のがあてられる。 慣らすように擦りつけると、先端が中に入ってきた。 「ん…、あ!は、ああああッ!」 先端部が全部入ったところで、一気に入ってくる。 すごい衝撃や。 これでもまだきっと半分くらいやのに、指でしたときより奥まで届いとるんがわかる。 しかも太くて硬い。 むっちゃ気持ちええ。 「あっ、あっ!ひああん!」 「白石ん中、気持ちよかと…っ」 「ちとせ、のも…っ、ええよぉ…ッ」 じゅぷじゅぷと、後ろから卑猥な音が聞こえてくる。 視覚のかわりに聴覚で攻められて、それも気持ちよくて下半身に伝わる。 「あっ、あっ、ふあ、あ!」 「やらしか声…」 「ああ、あん!ああッ」 激しく突かれて、身体が前後に大きく揺れる。 突きながら一番奥まで入ってきたそれがいろんな角度で動き回ると、時々前立腺を擦って上半身が崩れそうになった。 千歳は、その瞬間を見逃さなかった。 「ひあッ!?あ、やあ…っ、あああん!」 「あ、ここばいね」 「やあ!あ、あ!は、あっ、あー!」 あかん、気持ちええ。 そんなごりごりされたら理性が、もう。 「あっ、ちと、せっ、そこ…っ」 「ん、よかと?もっとしちゃるよ」 「あー!むっちゃきもちええ…っ、ああん!あ、そこもっとぉ…!」 「白石は淫乱さんばいね」 「あんっ!やってぇ…これ、あっ、あああんッ」 ええとこばっかしてくるから、我を忘れて喘ぎまくった。 熱い。中も、千歳のも。 気持ちよすぎて膝がガクガクする。 前触っとらんのに、もう出そう。 「あッ、も、あか、イク!あっあ…っ、イク…あああ…っ!」 「…っ、」 俺がイッた瞬間に、千歳のが引き抜かれた。 千歳はティッシュに出したみたいやった。 「はぁ、はぁ…」 「大丈夫?」 「明日動けんわ…」 「すんまっせん…ばってんむぞらしか白石が悪いと」 「はぁ?なんでやねん」 「白石がむぞらしくて止まらんかったばい」 「それ俺のせいちゃうやろ」 持ち込んだミネラルウォーターを全部飲み干す。 どうせ男女問わずみんなにそういうこと言うとるんやろ。 って、なんでちょっとムッとしとるんや。 「ね、白石、俺んこつ気に入ったと?」 「いきなりなんやねん」 「ね、どっち?ちなみに俺は白石んこつ最初に見たときから気に入っとるよ」 「は?」 「一目惚れしたと」 なに言うとるんや。 AV男優がAV男優に惚れるってそんなんあり得んやろ。って数時間前の俺やったらきっと思っとった。 せやけどそう思えんかったんは、どっかでこいつのことを気に入っとる自分がおったからで。 そう自覚すると悔しくてしゃあない。 「残念やったな。俺はお前のこと仕事相手ぐらいにしか思っとらんわ」 「うん、だけんセフレからよろしくお願いします」 おいおい、そこは友達からよろしくお願いしますって言うとこやろ。 ほんま変なやつ。 一目惚れしたとか言うて結局身体目当てなんか。 あー、ムカつくわ。 いや、一番ムカつくんはこいつの言葉に一喜一憂しとる自分や。 なんでこんな振り回されなあかんのや。 もうわけわからん。 「まあ…セフレやったらええで」 あくまでセフレ。 俺らは所詮AV男優。それ以上の関係なんかなるはずないんやから期待したらあかん。 こいつとは身体関係だけや。 それやったら別に、ええよな。 「ほんと?またしよね」 にっこり笑うその表情は、さっきこいつとしたのが夢とちゃうかって疑いたくなるくらいに眩しくて、不覚にもかわええとか思ってしもた。 こうして、人気AV男優千歳千里との関係が始まった。 後に俺らはセフレから一歩進んだ関係になるんやけど、それはまだまだ先のお話。 ―――――― 2011.8.11 パラレルって初めて書いた気がするんですけど書いててすっごく楽しかったです! この話の続きはご想像にお任せします^^ ちなみにホテル代はちゃんと千歳が払ってくれました(笑) 優奈さま、素敵なリクエストありがとうございました! フリリク一覧へ 表紙 |