*千歳も白石も25歳
*途中で二人とも標準語喋るので大変違和感があります





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親が薬剤師の俺は、周囲には当然薬剤師になるものやと思われとった。
けど、残念ながら俺は薬よりも毒草が好きやったから、まあ植物園で働く人になるやろなあて思っとった。
やから、こんな職業に就くなんて誰が予想できとったやろ。

(ここやな…)

たどり着いたのは今日の撮影現場があるスタジオや。
これから撮影の相手と顔合わせがある。
俺はビルに入って、控え室を目指した。
このスタジオは前も使たことあるから、迷わずに目的の場所まで行ける。
ええと、確かこの辺りやったような。
あ、ここの部屋やな。
なんや静かやけどおるんかな。

「こんにちはー、白石です」

「どうぞー」

コンコン、と二回ノックをして聞けば、すぐに返事が返ってきた。
人の気配がなかったから心配やったけどおるみたいやな。
いつものことやけど、顔合わせって慣れんなあ。
俺はドアを静かに開けて中に入った。

「失礼します。今日お相手させていただく白石蔵之介です。よろしゅうお願いします」

部屋の中には、モジャ毛の長身がおった。
モジャ毛とか失礼なこと思てしもたけど、実はこの人は業界じゃ結構人気になっとる若手AV男優なんやった。
俺もそこそこ人気やけどこの人の比やないと思う。
名前、なんやったけ。

「千歳千里たい。こちらこそ」

あ、そう、千歳さんや。
こんなヘラヘラしとる緩そうな男が人気ってなんでやろ。
しかもパッと見、同い年くらいに見えるし。
てか、「たい」って何弁や。

「あれ、白石さんて関西出身とね?」

「あ、わかります?せやけど千歳さんも標準語やないですね」

「九州出身たい。お互い撮影中は大変ばいねー」

撮影中は標準語喋らなあかんから、関西弁の俺は結構苦労しとる。
それは九州出身の千歳さんも同じらしい。
にしても気さくな人やな。
いつもの相手なら、ヤれるならなんでもええっちゅー顔したやつばっかやのに、変な人。

コンコン…

「撮影始めますんでお願いしまーす」

「あ、はーい」

スタッフが俺らを呼びにきた。
まあ、撮影になったらどうせ他の奴らみたいに強引にしてくるんやろな。
この時はそう思っとった。





今日撮影するのは、家庭教師役の千歳さんに生徒役の俺が犯されるっちゅーやつやった。
AVの撮影は台本なんてほとんどなしで、設定をもとにほぼアドリブで進行していく。
体位とかどんなプレイするかぐらいはさすがにあるけど、まあだいたい好き勝手ヤりまくってるのを撮影するだけだ。

「先生、ここがわからないんです」

「どれ?ああ、これはこうじゃないかな」

標準語頑張っとるなー。
ちょっとだけまだ訛りがある気するけど。
つか、撮影になるとむっちゃ目つき変わるな。
さっきの緩いキャラはどないしたんや。もう臨戦態勢って感じの目つきしとってちょっとかっこええやんか。
内心そう思っとる俺の横から、千歳さんがテキストに文字を書いてく。
あ、俺と同じ左利きや。

「ここもわからないです…」

「うん、」

「先生…?……っひゃあ!」

千歳さんが乳首に手をのばしてきた。
ぐりぐり摘まれて、俺はやらしい声をあげる。
ここまでいつもと同じ流れ、のはずやった。

「あんっ!せ、せんせぇ…っ」

「なかなかいい反応だね」

「せんせぇ…っ、らめぇ…!」

そんな触り方されたらあかん、気持ちええやんか。
ちょっとむず痒いぐらいの絶妙な力加減。
首にまで息吹きかけられてゾクゾク震える。
そのせいで、下半身はもう勃起してきとった。

「だめ?でもここはしっかり勃起してるよ」

「ひゃああん!」

ズボンの中に手が入ってきて扱かれる。
ぐちゃぐちゃ、やらしい音が聞こえてきて、もう我慢汁が出てきとるのがわかる。
慣れとるはずやのに感じとる自分が恥ずかしい。

「せんせぇ…!でちゃう…っ!」

「いいよ、」

「ん、や、あ!あああッ!」

一回出したフリをして、そこでカットが入った。
ここでカットが入ってよかった。
正直、これだけでイってまうとこやった。
俺はベッドに移動し、下だけ全部脱いだ。
足を広げた俺を千歳さんが組み敷く形で撮影が始まる。

「せんせぇ…ちんちんください…」

千歳さんはそれを取り出すと、尻の下に埋めた。
ほんまに挿入すると時間かかるし結合部アップで撮影せんから、今回は挿れたフリしてモザイクで隠すっちゅー指示がでとったからや。
せやからピストンするだけでええのに、千歳さんは俺のを扱きだした。

「あぁん!きもちいよぅ…、ひあ、ああ!」

「えっちな子だね」

「せんせぇの、ごくぶとちんこ、しゅごい…っ、おっきくて、ああッ!」

千歳さんの唾液が俺のに垂らされて、くちゅくちゅと音が響く。
こんな丁寧にされたこと、今までなかった。
先っぽぐりぐりされるのとか、身体がむっちゃ反応しとるんがわかる。
家庭教師と生徒っちゅー設定忘れそうになるやんか。
こんなんされたらあかんて、気持ちよすぎてイッてまう。

「あー!しゅごいぃ…っ、もっとぉ…もっとください…!ひああんッ!でるぅ!」

あ、ヤバイ。普通に出る。
いつもやったらこんな早くないのに、もう限界や。

「あっ!イク!でちゃう、あああん!」

結局、我慢でけへんかって、俺は呆気なく射精した。
んで、この後は千歳さんのをフェラして俺がオナニーして、んでまた挿入シーンで中出しされて撮影は終わった。

「お疲れさまでしたー」

「はい、お疲れさまです」

「白石さん、おつかれ」

「ああ…おつかれさん…」

ミネラルウォーターを飲んどると、ニコニコっと愛想ええ笑みを浮かべた千歳さんが寄ってきた。

「ね、さっきから気になっとったばい、白石さんて歳いくつ?」

「25になったばっかです」

「25!?ってことは同い年たいね!」

「あ、そうなん?」

「そうたい!同い年でよかったとー」

「なんで?」

「いやあ、今まで年下だと思ってタメ口きいてしもたばってんもし歳上やったらマズイち思って…」

ため口きいて失礼なヤツやと思っとったけど、年下やと思われとったんか。
そりゃ千歳さんに比べたら背低いけど。

「ね、白石って呼び捨てしてもよか?」

「ええよ、ほな俺も千歳て呼び捨てするわ」

ってつい乗ってしもたけど、なんや友達みたいなノリやな。
ただの仕事相手やのに、こいつ友達おらんのか?
なんか、いつもの仕事相手とはいろいろ違う気がする。
こういうやたらと話しかけてくるとこともやけど、えっちも上手かったし、変わっとる。
いつもは気持ちよくなくても気持ちええフリせなあかんし辛いときもあるけど、今日は全然そないなことなかったし、むしろ気持ちよすぎて普通にイッてまった。
こんな本気で気持ちええと思ったの、初めてかも。
なんか、こいつに興味が出てきた。

「ところで千歳、さっき思ったんやけど…その、上手やな」

「ああ、ありがと。俺はちゃんと相手もよくさせるのがポリシーばい」

「なんで?」

「んー、ほんとに気持ちよさそうな顔撮影できた方が観る人もよかオカズになるばい」

ああ、相手がええ表情するようになるから監督とか撮影相手から気に入られとるんや。
それで相手がええ反応するの見れるから人気っちゅー訳やな。

「仕事に真面目やな…」

「よく言われるばい」

でも気持ちよかったんは確かや。
こう、ぞくぞくしていつのまにか本気で感じとるあの感覚。
もう一回味わいたいなんてセックス依存性みたいやけど、次いつ仕事で一緒になるかわからんし。
もっとこいつとしたい。
こいつのことを知りたい。

「…千歳、この後暇?」

気づけば、口が開いとった。

「え、馬刺でも食べにいこうと」

そう言いかけた千歳の耳元に、背伸びして囁く。

「駅前のホテルで、もう一回ヤらへん?…今度は挿れてもええよ」

それを聞いた千歳は一瞬キョトンとして、ふ、と笑った。

「馬刺よりそっちのが美味しそうたい」

そして、ヘラヘラした顔から一気に、さっき俺としたときみたいな目になった。

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