2011.6拍手:謙光




梅雨に入ったせいで最近は雨ばっかりや。
寝ようとして突っ伏した机もなんやべたべたしよるし、快眠できそうにない。
はよ授業終わらんかな。
今日は部活もなくなったし、はよ家帰ってブログでもやろう。



「ひーかーるー!」

やっと授業が終わって帰ろうて思ったら、教室のドアからうっとおしい金髪の先輩が俺を呼んできた。
相変わらず騒がしい人やなあ。
このじめじめにそのテンションて、ちょっとイラッとするで。

「なんですか、謙也さん」

「なんですかって、今から部活やろ?一緒にいこや」

「はあ?部活ならなくなりましたよ」

「え!うそやろ聞いてへんし!」

白石部長と同じクラスやのに知らんて。
それはもうあれやな、謙也さんが白石部長の話聞いてなかったんやな。
この人たまにそういうとこあるし。

「じゃ、俺もう帰るんで」

「うーん、」

なんか考えとるみたいに少し睫毛を伏せて口を尖らせた謙也さんをスルーして横切ろうとしたら、ドアを越えてすぐのところでいきなり腕を掴まれた。

「なんですか」

「や、あのっ、いっしょ、帰らへん…?」

あ、なんか企んどるな。
目の輝きがさっきとちゃうし。
ああ、これはアレやな、自分傘持ってるくせにあえて相合傘しようとか言い出しそうな顔や。

「いやです」

「ええっ!」

「やって、どーせ相合い傘しよかとか言うつもりですよね」

「ぎくっ」

ちょ、当たりか。
ほんま単純でわかりやすい人やなあ。
っちゅーか、相合傘って男二人やと狭いやんか。
肩とか鞄とか濡れるし、しかも俺ら身長ちゃうから傘持ちにくいと思うんやけど。
デメリット以外ないやんか、アホちゃうか。

「…嫌ですよ、俺は」

「ええー!」

「まあ、一緒に帰ってはあげますけど」

「ほな相合い傘も…!」

「それは嫌です」

「なんで〜!」

なんでって、やって狭い傘の中に二人きりになるやん。
そんなん恥ずかしくてようせんし、そんだけ近かったら心臓うるさくなるに決まっとる。
顔だって隠せへんし、手とか触っちゃったらどないしよう。
だから嫌や。
なんて、謙也さんには言えへんわ。



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実はめちゃ乙女な光(笑)
あいあい傘ネタには無限の可能性があると思います!