*光がアホの子





sweet





謙也さんと付き合い始めて約三ヶ月。
世間では、カップルが付き合い始めて三の倍数の月がたつとマンネリ化だか喧嘩しやすくなるだかで別れる確立が高くなるって言われとる。
で、俺らはちょうどその時。
やらしいこともとっくにしとるし、キスも慣れてきて手を繋ぐくらいじゃドキドキせんくなってきたあたり、飽きるのも時間の問題かもしれへん。
やっぱちょっとマンネリ化しとるんかなて心配はしとるけど、それでも俺は謙也さんのこと好きやから大丈夫。
じゃあ、謙也さんはどうなんやろ。
俺に飽きたりするんやろか。

「あー、謙也って以外に飽き性かもなぁ」

「えっ、ほんまですか?」

お昼休み、俺はこっそり白石部長を屋上に呼び出して相談した。
白石部長は千歳先輩と付き合うとるから、こういうこと相談してもあてになると思ったからや。

「テニスと消ゴムとイグアナは別やで?せやけどゲームとかはよお飽きたー言うてユウジにあげたりしとるみたいやし」

「そうなんや…」

「なぁ、ところでお前らえっちはしとるん?」

白石部長は小さな声で言うた。

「え、あ、は、はい…」

「どんな風に?」

「は!?どんな風にって…普通に?」

「ふーん、キスして前戯してフェラしてーみたいな感じなんや?」

キスして、前戯って指入れたりするやつのことやんな。
んで、フェラってちんこ舐めるやつやんな。
そういえば謙也さんそれはせんなあ。

「フェラは、してもろたことないです」

「いや、そうやなくてする方のフェラな。したことあるん?」

「えっ、する方?」

「おん。せんの?」

どういうことなんか一瞬わからんかった。
俺が、謙也さんのちんこを舐めるっちゅーことか。
そんなん無理やろ、してもろたこともないのに。

「しませんよ!あんなの、その…舐めるとか無理やないですか…」

「えー、してもろたら謙也喜ぶと思うんやけどなぁ」

「無理ですって!臭いとか、あんな汚いもん舐めるとか無理っす!」

やってアレむっちゃ臭くて吐き気がするくらいの異臭やで。
そんなもん舐めろって、アホちゃうかこの人。

「でも千歳にしたったら嬉しいて言うてくれたけどなぁ…」

この人、千歳先輩にそんなことしとるんか。
うわ、口元見れへんわ。

「財前はフェラの何が無理なん?やっぱ臭い?」

「それもですし、味も…出したやつすごい臭いするから不味そうやと思うし…」

「あー…まぁ確かに苦いなぁ」

白石部長は腕を組みながら、味も臭いも慣れやからなぁて呟いた。
そんなん慣れるとか絶対無理。
精液なんて臭いし多分苦くて不味いし。
謙也さん、結構我慢汁出る方やから挫折してまうと思うしそうなったら謙也さんが可哀想やんか。

「あ!それやったら善哉ぶっかけたらええんとちゃう?」

「えっ!なんでそんな善哉犠牲にしてまでせなあかんのですか!」

「やって財前の好きな味になったら舐めれるやろ?テクはともかく舐めれな話にならんのやから」

「それはそうですけど…でも善哉勿体ないっすわ」

ちゅーか、善哉に申し訳ない。
ええ案やと思ったんやけどなあ、なんて言うとるこの人に相談したんが間違いやったわ。
善哉を愛しとらん人やからそんなこと言えるんや。
はあ、アホらし。





で、何故か俺はコンビニで買うた善哉を持って謙也さんの部屋にやってきてしまったわけなんやけど。

「光、それ食べへんの?」

「あ、はい…もうちょいしたら食べます」

いつもやったらここで食べるんやけど白石部長のせいで変なこと考えてまうやんか!
あーあー!どないしよう!
なんで買うてきたんや俺!アホ!
って心の中で叫んでも、冷たい善哉は温くなるだけや。
はー、これを謙也さんのにかけるとか無理やろー…。

「それ、冷蔵庫いれんでええの?」

「は、はい!ええんです!」

「そ、そんならええけど…」

なんでいま冷蔵庫入れといてくださいって言わなかったんやアホやろ俺ほんま、どないしよう…!

「ほんなら、先に光のこと食べてもええ?」

「…は、はい…っん…」

いつの間にかスイッチ入った謙也さんは俺にキスして、舌を入れてきた。
俺の口の中で好き勝手動いて唇を舐められたら、すっかりそういう雰囲気になってきてしもた。
そうすると、まだ決心でけへん俺はますますどうしたらええのかわからんくて焦る。

「ん、あっ…」

服の下から手が入ってきて、背中がぞわぞわした。
このままいつもと同じようにされるんやろか。
あかん、やっぱされるばっかやと飽きられるかもしれへん。
善哉をかけてフェラするか、それとも謙也さんに飽きられるか。
どっちも嫌や。
でも、よく考えたら善哉はいつでも食べれるし。
ああでも189円もするんやで。
それを無駄にしてまですることなんやろか。
でも謙也さんに飽きられるくらいなら189円なんて安いもんなんかな。

「ひかる、かわええ…」

そっか、謙也さんに飽きられて捨てられたら、こうやって笑うとこも見れなくなるんや。
こうやって触ってくれることもなくなる。
そっちの方がよっぽど嫌や。
もしかしたら捨てられんでも謙也さんが他の誰かに浮気するかもしれへんし。
考えただけでも泣きそうや。
嫌や、そんなん絶対嫌や。
それやったら、やっぱりするしかない。
よし、頑張ってフェラしたる。
善哉をぶっかけてやるんや。

「けっ、けんやさん!」

「な、なんや、気持ちよくなかったん?」

「ち、ちゃいます…あの…」

俺は謙也さんのベルトをゆっくりほどいて、ズボンのチャックを下ろした。
謙也さんは無言で、びっくりしとるのか引いとるのかわからん顔して俺を見とった。

「ひかる…?」

「あ、あの、けんやさん、目瞑っててくれますか…?」

「え、お、おん…」

「俺がええって言うまで開けたらあかんですからね」

?マークだらけの目が閉じて、俺はコンビニの袋に包まれた善哉を取り出してパッケージを開けた。
そして、それを一気に謙也さんのちんこにぶっかけた。
ああ、ごめんな親愛なる善哉。

「っひゃ!?」

「あ、目開けたらあかんて言うたやないですか!」

「ごめん冷たくてびっくりして…って善哉!?」

「ええから動かんでください」

「えっ、は!?」

謙也さんのちんこが善哉まみれになって、甘ったるいにおいが部屋に充満した。
見た目的にはちょおアレやけど、うん、これならいけそうかも。

「ひか…っ!?」

謙也さんのちんこを一舐め。
あ、うまい。
ただの善哉味やん。

「ちょ、ひか…」

「ん…んん…」

変な臭いも味もせえへん、普通にいつも食べる善哉の味。
美味しくて、俺は先っぽをぺろぺろ舐めた。

「ッ、ひかる…」

「けんや、さん…気持ちええ…?」

「ん、ええ…」

「おれも、けんやさんの、おいしいです…」

そう言うたら、謙也さんのがおっきくなった。
善哉がシーツに垂れてきたから、今度はタマの方から先っちょに善哉を運ぶように舐めた。

「あっ、ひ、ひかる…っあ、それあかんて…!」

「ふぁ、んん…」

「ちょっ、あか…っ、あっ」

意外にむっちゃ声出すからどんな顔しとるんやろて見上げたら、余裕ない顔しとってドキッとした。
俺のフェラで感じてくれとるんや、よかった。

「ひかる…手も、使てや…」

「手?」

「ん、こうやっていつも俺がしとるみたいに」

謙也さんは俺の左手を誘導してカチカチのちんこを握らせると、上下に動かしてきた。
そのうち謙也さんの手が離れて、俺はそのまま動かし続けた。
善哉がくちゃくちゃ鳴る音が妙にやらしい。

「そんで、さっきみたいに、舐めてや…」

「はい…」

手を動かしながら、今度は円を掻くように舐めて少し舌に力を入れてみる。
そしたら謙也さんの身体が震えだした。

「っは、ひかる…」

「んっ、う、んん…っ」

あ、ちょっと精液の味がしてきたかも。
けど善哉の味で上手く誤魔化せてる気がする。
うん、そんな不味くないと思う。

「んっ、ひかる、もうええよ…」

「ふ、ん、ん…」

「ひか、も、ええって…あっ!ちょっ!あっ!でる!」

「ん!?んぅ!ふぁ、あ…っ」

いきなりちんこがでかくなったと思ったら、口許でなんか違和感があって、液体が口ん中に入ってきた。
ほんまに突然やったから飲み込む余裕なんかなくて、だらだら溢れる。
それが精液やって気づいたのは、善哉のにおいに混じってイカ臭いにおいがしたからやった。
あと、甘い善哉の味より勝った精液の味が口に広がったから。

「うえ、変な味…」

「ご、ごめんな…洗面所いくか?」

「ええです…善哉のおかげでちょっとはマシですわ。それより手ベタベタなんすけど…」

「俺はちんこがベタベタやけどな」

ティッシュで善哉拭きながら、勿体ないことしてごめんて善哉に謝る。
ごめんな、今度はちゃんと冷やして食べたるから許してや。

「それにしても、なんで急にこんなことしてくれたん…?」

「ああ…気分っすわ」

「…またそんな嘘ついて」

「う、嘘やないです!」

「嘘やろー?どうせ白石あたりに自分からもせんと飽きられるでーとか言われたんやろー?」

なんでわかったんや。この人、実はエスパーなんとちゃうか。
あまりに図星やって、顔が熱くなった。
ほんまにその通りです、なんて誰が言うたるか。

「ちゃいますよ!アホやないですか!自意識過剰も大概にしてください」

「ふーん…ま、なんでもええわ。気持ちよかったし、かわええ光が見れたし」

「ほんま、そんな心配になったからとちゃいますからね!」

「はいはい、んじゃ今から光食べてええ?」

「いやって言うてもするくせに」

「はは、まあなー」

ベッドに押し倒しながらそんなん言われたら止める気ないってわかるわ。
でもこれできっとしばらくは俺に飽きることもないやろ。
やっぱして正解やったな。
善哉にはほんま申し訳ことしたと思うけど。

「光、大好きやで」

その言葉を何回でも聞けるんやったら、まあ、たまにやったらまたしたってもええわ。
もちろん善哉は必須やけどな。















――――――
2011.7.1
いつか光に善哉ぶっかけてにゃんにゃんな善哉プレイを書こうと思っていたわけですが、何故かこうなった(笑)
食べ物は大事にしようね!


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