(1/2) *複数+無理やり注意 間違い探し 俺は今日、いいことがあってすごくご機嫌だった。 「どないしたん、謙也」 「へ?」 「むっちゃニヤけとるで?」 「えっ!」 教室での休み時間、白石が俺に話しかける。 思ったことが顔に出やすい方だとは思っていたけれど、ここまでわかりやすいとは。 とりあえず、その哀れんだ目をやめてほしい。 頭がおかしくなったわけではない。 「じ、実はな…隣のクラスのゆかちゃんに昨日告白されてな…」 「へえ…」 「で、付き合うことになったんや」 「ふぅん…そうなんや」 隣のクラスのゆかちゃん。 背がちっちゃくて可愛くて、ずっといいなと思ってた女の子。 そんな子と付き合うことになって、俺は浮かれまくっていた。 「ところで、今日部活終わった後残ってくれへん?」 「え!ゆかちゃんと帰る約束しとったんやけど…」 「来週の練習試合のオーダー、相談したかったんやけど」 「え、そんなん俺やなくても…」 「謙也に、相談したかったんやけどなー」 「わ…わかった…」 わかりやすく「謙也に」の部分を大きく言われて、半ば強引に残らされたようなものだった。 せっかくのウキウキ気分も台無しだ。 ゆかちゃんと楽しい放課後が、白石のせいで残念なことに。 今日はついてないな、そう思っていた。 けれど、今思えば、この時が一番幸せだったのかもしれない。 →→→ |