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*複数+無理やり注意





間違い探し





俺は今日、いいことがあってすごくご機嫌だった。

「どないしたん、謙也」

「へ?」

「むっちゃニヤけとるで?」

「えっ!」

教室での休み時間、白石が俺に話しかける。
思ったことが顔に出やすい方だとは思っていたけれど、ここまでわかりやすいとは。
とりあえず、その哀れんだ目をやめてほしい。
頭がおかしくなったわけではない。

「じ、実はな…隣のクラスのゆかちゃんに昨日告白されてな…」

「へえ…」

「で、付き合うことになったんや」

「ふぅん…そうなんや」

隣のクラスのゆかちゃん。
背がちっちゃくて可愛くて、ずっといいなと思ってた女の子。
そんな子と付き合うことになって、俺は浮かれまくっていた。

「ところで、今日部活終わった後残ってくれへん?」

「え!ゆかちゃんと帰る約束しとったんやけど…」

「来週の練習試合のオーダー、相談したかったんやけど」

「え、そんなん俺やなくても…」

「謙也に、相談したかったんやけどなー」

「わ…わかった…」

わかりやすく「謙也に」の部分を大きく言われて、半ば強引に残らされたようなものだった。
せっかくのウキウキ気分も台無しだ。
ゆかちゃんと楽しい放課後が、白石のせいで残念なことに。
今日はついてないな、そう思っていた。

けれど、今思えば、この時が一番幸せだったのかもしれない。

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