2011.1拍手:蔵光 真冬の風が肌に突き刺さるように吹くこの季節。 それでも部活後の自主練は欠かさないのが白石部長。 努力家なのはわかるけれど、冬くらい休んだらいいのに。 というのはまあ、俺のワガママだということはわかっている。 「あれ、まだ待ってくれとったん?」 部室の机に置かれた部誌を適当にパラパラめくっていると、待ち人は現れた。 「暇しとるんやったら、一緒に練習したらええのに」 「遠慮しますわ。こんな時間まで自主練したら身体冷えるんで」 「ああ、今日は長くやりすぎたわ。汗冷えてむっちゃ寒い…」 「はぁ…なにやっとるんですか」 健康に人一倍気を遣っている白石部長が、自主練しすぎて身体冷やして風邪、なんてことになったらあまりにマヌケだ。 白石部長は汗を軽く拭いてタオルを鞄に突っ込んで着替え出した。 ユニフォームが寒いのはわかる。早く制服に着替えたいのもわかる。 けれど、まだうっすら額に汗が浮いている。 これでは、本当に風邪をひいてしまう。 俺は白石部長の鞄から、勝手にタオルを取り出した。 「汗、冷えますよ」 「え…」 シャツのボタンをとめている白石部長の額にタオルをあてる。 驚いたようにぽかんとしているその顔に「聖書」の面影などなく、あまりにマヌケで笑えてきた。 「なんすかその顔」 「いやあ、二人きりになると優しいなあと思ってなあ」 「別に、白石部長が風邪ひくと小石川先輩に迷惑かかって可哀想やと思っただけですわ」 「はいはい」 白石部長はにっこり笑って、俺からタオルを受け取った。 その瞬間、唇にふにっとした感触があって、なんだろうと思ったときには、もう白石部長の腕の中だった。 抱きしめられたとわかったのは、白石部長の身体が冷たいせいで急に寒気がしたから。 「ちょ、寒いんですけど!」 「堪忍してや」 嫌がっても離してくれない。 それどころか余計にキツく抱きしめられた。 ただでさえ体温低いのに、汗で冷えた白石部長にこれ以上熱をとられたら死んでしまう。 「なんなんすか急に」 「なんとなく、光が好きすぎて」 不意打ちでそう言われて、胸が大きく波打つ。 ぎゅうぎゅうに抱きしめられて、本格的に体温が奪われていく。 苦しいし寒いし、死んでしまいそう。 ああ、でも。 白石部長の腕の中だったら死んでもいい、なんて。 体温奪われて頭がおかしくなってしまったのか、ぼんやりとそんなことを考えた。 ―――――― 現在の光の体温34℃くらいになってるんじゃないでしょうか(笑) すごく甘い蔵光書こうとしたら書いてるこっちが恥ずかしくなるような文になっちゃったよっちゅーはなしや! |