2010.12拍手:ちと蔵






「あ」

「どげんしたと?」

「雪や…」

部活帰りに蔵と2人で歩いていると、空から雪がはらはらと舞い散ってきた。
今日はすごく寒かったし、昼から空がどんよりと曇っていて降りそうだとは思っていたけれど、何も帰るときに降らなくてもいいのに。

「積もったら、明日テニスでけへんなぁ」

「んー…」

雪が、蔵の頬に落ちて溶けて消えた。
頬についた水滴を気にすることなく、蔵は空を見上げている。

「蔵、雪が…」

「ん、」

俺は蔵の頬を軽く親指で擦って雪を取り除いた。
頬のぷにぷにした感触がなんだか癖になりそうだ。
蔵は肌が白くて綺麗だから、ずっと触っていたいと思ってしまう。

「おおきに」

至近距離で目が合って、蔵は恥ずかしそうに笑いながらそう言った。
その仕草がなんだか無性に愛しくて、唇に軽くキスをした。

「な、んや…いきなり」

いきなりのことに驚いたのか、蔵はうつむいて目が合わせられなくなっていた。

「むぞらしか、蔵」

「う…」

額同士をコツンとつけながら言えば、蔵の顔は真っ赤になっていった。
可愛いな。
この可愛らしい人は、俺の恋人なのだ。
それが嬉しくてたまらない。
雪が、今度は蔵の首筋や髪について溶けて消えていった。
ああ、いっそこの雪のように、蔵の中に溶けてしまえたらいいのに。
そうしたら、いつでも蔵を感じることができるのに。
そんなあり得ないことを考えながら、蔵の頭をそっと撫でた。



――――――

白石のほっぺがぷにぷにだったらいいなあー(*´v`*)
それでちと蔵の白石はツンデレだといいな!