■■ 汝は_蜥蜴なりや? 第04話
「まー…こうなることが予想してたから僕の親友が雅ってことを黙ってたんだけど…やっぱこうなるか。」
「アーン?滝、俺様が雅と対峙して平常心保っていられると思うなよ。物理的に氷の世界なんてやってられるか!
雅がここに来るって知らされてたらもっと部室内を煌びやかにしてたんだがな。」
「跡部!これ以上部室を未知の空間にしてんじゃねーよ!!あ、鏑木雅が居る。」
「跡部さん滝さん鏑木さんこんにちはー。」
跡部の最後の言葉と被る様に宍戸と鳳が部室内へ入ってきた。
「チーッス鏑木雅でっす。よろしくでっす。」
「あ、俺鳳長太郎って言います。って、え?」
「…俺は宍戸亮だ。それよりもうわさに聞いたみたいなやつじゃねーんだけど。御淑やかな奴だって聞いたんだけど。」
「俺のテリトリー内だと素を出すことを許されるんだ。俺は今回お前らの前はテリトリーってことにしたんだぜ?まぁ、こっちが本当の俺だからそこんとこよろしく。
あ、でも宍戸君はこちらの私の方がお好みなのかしら?」
目を伏せてそこから流し目で宍戸と鳳を見つめる。
それを見た二人は顔を赤くして目を逸らした。
「ケッケッケッケ、若い反応。それ大好き。」
「雅さん、いい加減その趣味止めません?迷惑です。」
ふてぶてしい顔で雅を睨みながら入ってきた日吉。
「おお!ヒヨちゃん!!やっぱ居たか!!」
「ッここでそう言う呼び方するの止めてくれませんか!?」
「アーン?日吉、雅とはどういう関係なんだ?」
「……俺の家の古武術を習いに雅さんが来るだけですよ。もう達人並なんで来る必要性は無いと思うんですけどね。」
「あーら、俺がヒヨちゃんの家に行くのはヒヨちゃんをからかいに行くためだよ。」
「なッ!?だからその呼び名!!」
「あ?俺、一回呼んだ名前ってなかなか変更出来ねーんだ。勘弁な。」
「雅、俺様のことは景ちゃんって読んだっていいんだぜ?」
「ハァ?ご子息はご子息だろ。そんな呼び方お萩にでも呼んでもらえ。」
「え?嫌だよ。景ちゃんとか気持ち悪い。」
雅に、滝にギッタンギッタンに言われたがそれでも跡部は屈しなかった。
逆に雅に罵られる度にツヤツヤしてたような気がしたが、気づいたら負けだ。
そんなことをしてる間にも忍足や、岳人、ジローが部室へとやって来て氷帝レギュラーが全員集まった。
「はー……みんなやっぱりイケメンか、どうりでこの学校をトリップ先に選んだ女子が多い事。」
「おひぃさん、なんや?そのトリップって?」
「……萩之介、気分が悪いので本日は帰らせていただける?」
「んー…僕は別にいいけど、跡部がねぇ。」
「帰るだと?これから部活が始まんだぜ。俺様の美技に酔って行けよ雅、アーン?」
どうやら跡部は自分の活躍を雅に見てもらいたい様である。
「……ご子息様。本日とても気分が優れていないのです。この状態でご子息様の美しい技を直視してしまったら、卒倒してしまうかもしれません。
また明日、気分が優れた時に拝見させていただきたいのですが…。」
雅は大げさによろめき、少し涙目になりながら跡部に訴える。
「それは大変だ!早く医者を、樺地!!」
「それほどには及びません。家に帰って休めば大丈夫です。ですので許可を頂ければ、と思います。」
「ああ!だったら…今日は、帰っていい。明日はちゃんとマネの仕事していけよ。」
「はい、ありがとうございます。萩之介、行きますよ。」
「うん、行こうか。じゃ皆明日ね。」
雅と滝は静かに部室から出て行った。
「トリップって何やねん…あからさまに話反らされた…。」
「あれじゃね?鏑木家の暗号とか…?」
「俺、そんなことよりも跡部の求愛って言うの?キモイC。」
「アーン?俺様の雅への愛を否定する気か?」
「だって雅、男だよ?どんなに綺麗で可愛くてもさ。」
「んなこと知ってる。俺様の愛はファンとして雅を愛してるってことだ。恋愛感情なんかじゃねー。」
「…ちょっと向日さん聞きました?跡部様、ファンとしてとか言ってたけど絶対恋愛感情に変わりますわよ?」
「ホントですわね芥川さん、こういう人こそ道を踏み外してしまうのですわ。」
「お前ら外周100周程度してくるか?」
「やだCー!行きましょ向日さん!!」
「ですわですわ!芥川さん!」
一応部室の中も落ち着いてやっと部活の開始である。
一方ミスってトリップとか言ってしまい早々に退場した雅と滝。
「ね、神様から返信きた?」
「うん来たよ。おk把握だって、流石神様分かってるなぁ。俺が喜ぶこと!」
「そっか、というか…女子が多いってことは、何人この学校にトリップしてくるの?」
「えっと順番に7人来るらしいよ。とりあえず一番目に来る子は…ぶりっ子娘、かな?」
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