■■ 汝は_蜥蜴なりや? 第09話
「雅…。」
「申し訳有りません。どうしてもいけませんね…空いた時間を見つけると、つい…。」
多くは語りませんよー。一応面白くしたいしぃ。
「ついじゃないわよぉ!ね、景吾ぉ遊びたがりの雅ちゃんなんて退部させちゃお?」
やっだー。そんな名前縛りに命令なんてえげつなー。ご子息ドンマーイ。
あ、でも富布里の後にも面白い奴ら来る予定だし…ここで退部は困るな。
「跡部、ちょっと待ってくれない?」
三人が何とも言えない殺伐とした空気を醸し出している中。
それをぶっ壊すように滝がやってきた。
ナイスタイミング。流石お萩。
「滝、か。なんだ?」
雅の加護、と言うか雅に憑いてる神様の恩恵を間近に受けている滝は富布里の命令をあまり聞かなくてもいい感じらしい。
「雅を退部にしないでよ。僕が折角パシ…お手伝いを頼んでようやくマネになってくれたのに。」
「えー。萩之介が雅ちゃんを入部させたのぉ?何でぇ?」
「そうだよ。富布里さん。
雅は僕の幼馴染みでもあるんだ。知ってる人がマネになる方が頼みやすさが違うでしょ?」
「で、でもぉ…雅ちゃんがみんなの見えないところで遊んでたら意味ないしぃ。」
あ、こいつ墓穴掘った。
「じゃあこうしよう。
真面目な富布里さんがドリンクを作ったりデータを纏めたりしようか。それで不真面目な雅がドリンクを配ったりボール拾いだ。だったら問題解決だね。ね?富不利さん。」
有無を言わさずニコリと笑って脅している。
いや、脅しではないか。お願いである。お願い。
「え!?」
富布里はしまった、と言う表情と心底驚いている様子を見せた。
「私は萩之介の意見を尊重いたします。」
「俺もだ。」
雅と跡部はすかさず滝の意見に同意した。
後は富布里の同意だけである。
三人で富布里を見つめる。
「梨、梨子も萩之介の言うとーりに…しようかな!」
とっても悔しそうである。
あえて言おう。
ザマァアアアアアアアアアアである、と。
「決まりだね。
富布里さんが監督に申し出たように仕事はたんまりあるから頑張って。じゃ、雅はこれからノックが有るからボール拾いに参加して。
これでいいかな?」
滝のまとめに対して富不利は何か言い考えはないかと模索していたようだがすぐに答えは得られなかったようだ。
「では萩之介、跡部のご子息。参りましょうか?
富布里さん、よろしくお願いしますね。」
雅は跡部、滝と共にマネージャー室から出て行った。
扉が閉まる瞬間、富布里の方を見てみると悔しさに歪んでいた。
もう一度言おう。
ザマァアアアアアアアアアアである、と。
三人でコートに移動。
雅は爆笑したい衝動にかられたが、マネージャー室から出た為ここは外。レギュラー以外の目があったため本性は出せないのであった。
「フ、フフフ…。」
しかし人間、愉快なことがあると笑いは耐えれないもの。
小さく笑いを表した。
「雅、何?」
「フフ…いえ、萩之介とてもよいことをして下さいました。」
「あぁ、やっぱり?富布里って子、君に仕事を押しつけたいようだったけど、雅の白魚の様な指に傷が付いたら僕のせいになるって言うのに…勝手なことを。」
「怒ってはいけませんよ。彼女も部員のことを考えてのアイディアだったんです。ただ、先走っただけで…。」
「…おい、滝…それから雅も。お前等はあの女の言うことに逆らえるのか?」
「「……。」」
雅と滝は顔を見合わせる。
さて、なんと返答したものか。
正直に言ってしまえば楽しさ半減…と言うことで半分からかうことにした。
きっとこの時の雅と滝の表情はあくどい物だったと思う。
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