青春RPG 「ねーねー、マスター。次の町まで後どれ位?」 撫子が魔導師柳に質問をした。 「あと一日歩いた程度だ。」 「ちょっと待ってくれ。それ距離の単位と違う。」 「いや、よく考えてくれ。距離は早さ×時間だ。」 「え?早さ攻めの時間受け?新しいな。」 「…。」 「何言っとるんじゃ、小学校の頃習ったじゃろう。木下の禿げたジジィっつって。」 遊び人仁王が真面目にツッコんだ。 「馬鹿が。ボケにマジレスすんな。」 語尾に舌打ちがプラスされた。 キレる寸前のよう。 「…プリ。」 「撫子さん、結構疲れているな。」 「だってもう何日も歩いてんだぜ?さっさと魔王倒して町に帰ってPCと触れ合いたいわ。」 「それは俺だって同じだ。」 「魔導師さんよぅ。ちょっと空間転移術使ってちょちょーって!」 「撫子さん、その様なことをしたら初心者の町から一歩出ただけなのにいきなり魔王と対峙するようなものだぞ。 経験値稼ぎも大切だ。」 「あー…そだね。」 「じゃ、さっさと歩いて闘って次の宿まで行くぜよ。」 「遊び人が仕切るなし。」 「…プピーナ。」 と言うわけで地平線が見える草原を歩く、道無き道の森を歩く。 そしてモンスターの一匹に珍しい…と言うか初めて見るモンスターが視界の端に写った。 モンスター:忍足侑士 が 仲間 に してほしそう に こちら を 見て いる。▼ →仲間にする →戦う 「…なんで眼鏡をかち割るというコマンドが出てこないんだ!!そうしたら迷わず選ぶというのに!!」 「仲間にするのも無意味だな。 ここはシカトすると言うコマンドを選ぼう。」 「「異議なーし。」」 「そうはいかんで!」 迂回して進もうとしたが忍足が先回りをして来やがった。 構ってちゃんか!! 「仕方ないのー。レーザービーム!!」 仁王 は レーザービーム に 酷似 した 何か を 使った。▼ 「なんの!心を閉ざしているので効きません。」 忍足 は 心 を 閉ざした。 仁王 の 攻撃 を かわした。▼ 「空蝉。」 柳 は 鎌鼬 を 使った。 撫子 と 柳 の 防御力 が あがった。▼ 「ちょ、参謀。俺は!?」 「この技は一度に二人までなんだ。」 「SSAS。」 忍足 は SSAS を 使った。 仁王 は 毒 に おかされた。 柳 と 撫子 には 利かなかった。▼ 「ああああああ!解毒草!解毒草!!」 「お前に使わせる解毒草はねぇ!!つーか持ってねぇ。 そんでずっと俺のターン!逝っとけ三重奏!!」 撫子 は 三重 奏を 使った。▼ 「な、なんやぁあああ!?俺の、俺のトラウマがッああああああ!!」 効果 は 抜群 だ。▼ 「精神的攻撃は基本。 忍足、降参する?ついでに私の下ぼk…私達のパーティーの一番槍になって!」 「わ、分かった…!」 忍足 は 下僕 に なった。▼ 「結局忍足を仲間にしたのか。」 「うん。だってパシりがストックでもう一人居ても良いと思ってね。」 「もう何でもええわ。ぼっちやなかったら何でも…。」 「さー、町を目指して出発だ。」 「椿崎、待ちんしゃい。 俺今歩く度にHP減る。ちょっと解毒草探して来てくれんかの?」 「あーん?そんなサービスは行っておりません。 っつってもお前ライフまだあるじゃん。限界まで頑張って歩いて死ぬ一歩寸前になったら助けてやんよ。」 「チッ!…仕方ないのぉ。こうなったらなけなしのMP使ってイリュージョンなり!!」 そう叫んだ仁王の姿は撫子が故郷においてきた愛おしいリョーマの姿になった。 これで甘やかしてもらおう作戦なのだが、 「不愉快。止めろ糞が。」 「ブビナ!?」 「お前乱用しすぎ。いい加減自重しろ。」 逆効果。 撫子の重い鉄拳を食らうことになり、仁王は棺桶の姿になってしまった。 「愚かなり仁王。 撫子さんのリョーマ不足はなうピークだと言うのに。そんな時に偽物と分かりきったリョーマが現れたら殴りたくもなるだろう。」 「あー、協会に行く手間が増えたな…。 まぁ、とりあえず忍足、こいつを運べ。」 「ハァ!?なんでや!!殺したん自分なんやから自分が運べばええやん!!」 「お前の毒で仁王は死んだんだろ!?ゴリゴリHP削っていってたじゃん!!」 「けどとどめさしたんは撫子やんなぁ!!」 「パシりが主人の言うことをきくのは?」 「ぜーったい☆」 「ボクサカー?」 「オヤコロー!」 有無を言わさない威圧感。 忍足は従うしかなくなった。 そうやってやっと町にたどり着くことが出来た。 「おー、着いた。着いた。」 「ふむ、案外時間がかかったな。」 「誰かさんが頻繁に休憩を入れるから…。」 「自分、ら…が!棺桶のッ上に乗っ取るからやろ、がぁ!! ええ加減に、降りろや!!」 「「だが断る。」」 後半、撫子と柳は楽チンな移動方法を思い付いて実行していたようだ。 うむ、効率的効率的。 とりあえず一行は教会に行って仁王を生き返らせた。 勿論金は仁王の懐からである。 「あー…死ぬかと思ったぜよ。」 「いや自分、実際死んどったやん。」 仁王は忍足が仲間になってから初対面である。 若干殺意が沸いたが、忍足の様子を見て萎えた。 忍足は少々やつれている。仁王の代わりに色々大変な目に遭ったらしい。 目があった瞬間心と心が通じ合った気がする。 「忍足、おまん…。」 「仁王、自分…。」 「ちょっと!マスター、コイツらフラグ立てよったぜ!!」 敏感なレーダーが捉えたフラグ。ぷまいです。 「種族を越えたCPか…なかなか良いな。」 「さぁ!仁王クン!あっちの宿に予約入れよか!!」 「そうじゃな!BARもあるっぽいしの!!」 話をそらそうと躍起になった二人だが逆効果というものを知らないのだろうか。 完璧なるフラグを自らが乱立てしやがった。 「ちょ、宿とか二人部屋でナニするつもりですかホモォ…。」 「BARでつぶられると自動的に右だからなホモォ。」 そして四人はとりあえず宿に行き、それからBARに遊びに行った。 四人で久々に酒盛りをしていると一人のワカメ…一人の若者が絡んできた。 「おうおうおう!!アンタら魔王倒しに行くパーティーらしいじゃん?俺、勇者切原赤也が仲間になってやってもいいぜ? 女の勇者なんて頼りなくてしょーがねーじゃん?」 「「「……。」」」 誰だお前、何様だ。 しばらく四人は顔を見合わせ、それから会話を続けた。 「ねぇねぇ、私前から思ってたんだけど仁王の遊び人の服エロくね?」 「確かに、 やはりお色気担当ってことか。あざといな。」 「ちょい待ち、これはデフォの衣装ぜよ。そんな言い分は不本意じゃ。」 「いやいや、君は衣装以外からも色気発してるから。」 「シカトしてんじゃねーよ!潰すぞ!!」 シカトされた事に腹を立て赤也は撫子の胸ぐらを掴みあげた。 「あ゛?テメェ何様じゃ?女じゃけん頼りねぇ?ざけんじゃねーぞボケが、伊達に旅して来てんじゃねーけんな。男尊女卑なんて流行んねぇよ。テメェなんぞ瞬殺じゃから。侮っとるんじゃねーぞ。」 胸ぐらを掴みあげられ撫子はキレて啖呵をきった。 「ぁあ?喧嘩売ってんの?女のくせに。」 「チッ、表ぇ出ろや。フルボッコにしてやらぁ。」 「そこまでだ。」 「「ブバっ!!」」 柳がその場を納めようと、二人にチョップした。 「マスター酷い!!」 「んにすんだよ!!」 「まぁまぁ、撫子さん落ち着け。」 その勝負、私が預かったという雰囲気を醸し出し柳は赤也と向き合った。 「あ?んだよ。」 「無礼を知れ小童。そこの方をどなたと心得る。ヒョウテイタウンの撫子様であるぞ。」 柳は魔導師の禍々しい杖を振り降ろし、地に響かせるような音をたたせた。目を開眼し、何時になく本気モード。雰囲気はラスボスである。 「は?」 「「「え…!?」」」 突然の柳の妄言。 赤也だけでなく撫子達もキョトンである。しかし面白そうだから黙って聞く。 「知らないのか?小童。」 「…知らねぇよ。」 「フン、愚かな。勇者の風上にも置けん。 いいか?其方に逐わされる方は撫子様だ。女でありながらその辺の誰にも負けない。勿論、お前にもだ。 これでは納得しないだろう。」 「はぁ?当たり前だろ。誰がこんな女なんかに負けるかよ!!」 「その態度を改めろと言っておるのだ!撫子様の御前であるぞ!! しかし撫子様はお優しい。俺が撫子様のお言葉を代弁してお前が勝てないその理由を教えてやろう。それはお前がまだ覚醒していないからだ。とおっしゃっている。」 「覚、醒…?」 「あぁ、魔導師の俺だから分かる。秘めたる力がお前の中に隠れている。その秘めたる力を呼び起こすためには…赤也、撫子様の下につくことだ。 さすれば撫子様のオーラから自ずと達しがくる。」 「ほ、ホントか!?」 「ホント、ホント、魔導師ウソ付かない。」 開眼していた目を閉じている。いや、いつも通りの柳に戻っただけなのだがね。 「撫子さーん。是非弟子にして下さいっすー!」 先程までの態度を一変。 犬の耳と尻尾が見えそうである。 「マスター、GJ!」 わんこ属性ぷまいです。 「もっと褒めていいんだぞ。 そうだ、撫子さんにはこの様な情報をやろう。」 「ん?」 柳は撫子に耳打ちしてヒソヒソヒソカと話し始めた。 そして撫子の顔色が真っ青になった。 「だ、そうだ。」 「う、そ…魔王ってあいつじゃ!?」 驚愕の事実に言葉を漏らしてしまいそうだったのだが、柳がそれを阻止した。 「シィ、これはトップシークレットだ。」 「…有意義な情報をありがとう。有効活用していくよ。 …赤也君。」 「はいっす!」 「私の色々を伝授しよう。」 「!?はいっす!」 それから勇者二人?魔導師一人、遊び人一人、モンスター一人?で魔王の住むリッカイキャッスルまで辿り着いた。 「ん?なんじゃ?転職ポイント?」 リッカイキャッスルの出入り口にはジョブチェンジすることが出来る最後の場所があった。 勿論、職を変えたらレベルは初期化されてしまう。 「……勇者赤也よ。」 撫子は転職ポイントを見据え、それから神妙な面持ちで赤也に声をかける。 さながら勇者(仮)である。 「なんすか!撫子さん!」 「よくぞここまで耐えた。 私から教えられるのはすべて教えた。免許皆伝だよ。おめでとう。」 「撫子、さんッ…ありがとうございましたっす!!」 「そして君は最初に言ったな。勇者は俺だと、一人で良いと。全くその通りだ。パーティーに勇者は一人で良い。だから私は…転職する。」 撫子は体を翻し、転職ポイントへと颯爽と歩き出した。 突然の行動であったため赤也も仁王も忍足も止めに入ることが出来ずポイントから帰ってきた撫子は副職:魔導師見習いとなっていた。 「撫子、さん!何てことをしたんすか!!」 「赤也、一人前の姿。私に見せてくれ。」 それだけが私の願いだ、と死亡フラグを立ててみた。 「っはいッス!!」 ここで止まるわけにはいかない。 ここに住み着き悪事を働いているという噂の魔王、名を跡部と言うらしい。 それを倒さなければ意味がない。 城の一番奥の間、そこにボスが居るはず。一行はたどり着き啖呵をきった。 「っるぁあ!!跡部魔王出てこいっす!!ちゃちゃっと潰して撫子さんに一人前になった姿を見てもらうっすよ!!」 「おや、騒がしい坊やだ。」 そこにいたのは跡部魔王のような傲慢稚気な奴でなく。物腰柔らかな奴が居た。 「へ?は?なんで跡部魔王じゃないんすか?はれ?あんた誰?」 「僕も魔王だよ。魔王幸村。跡部君はちょっと有給に入っちゃって。何なら不二君と滝君も呼ぼうか?」 「幸村、じゃと!?」 魔王幸村が自己紹介した瞬間、戦慄した。 あの、あの、あの幸村がラスボスなのだ。挑んでいくという行為自体が愚行なのである。 逃げる。この選択しに限ると思った。しかし、それは幸村が阻止した。 「逃がさないから。」 扉、その他諸々閉鎖され逃亡不可。 「さぁ、おいでよ。勇者赤也。」 「え!?俺!?撫子さんも勇者ッ!」 「え?私、副職魔導師見習いだお。 勇者、チガウヨ。つか元々勇者じゃないよ。私自ら俺が勇者だ!って名乗った覚えは無いもの。」 「は!?…まさか!」 「やー、跡部だったらフルボッコ君臨体勢だったんだけどね。 魔王御三家に立ち向かうなんてそんなそんな。ね?マスター。」 「あぁ、そうだな。欺くことには長けてるな。本職詐欺師。」 「ぷりーな☆」 ――――――― 500000hit企画第57弾 幸菜様リクエスト「青春シリーズの主と立海と氷帝でRPGパロをです。RPGっぽければ何でもいい」でした。 …ここまで書いて気付きました。立海と氷帝の一部のキャラしか登場していないことをッ!!誠に申し訳ありませんッ!!!oyz しかも練詠はほとんどRPGをやったことが無く…なんだか駄文以外の形容詞が思いつかない様なものになってしまいました…。 [mokuji] |