青春ワンダー?? | ナノ


記憶がなくなってリア充になっちゃいまして


「うはぁああ…た、滝様?このドリンク、何?頭がフラフラフラァー…ガクッ……。」

撫子が滝に差し出されたドリンクを飲み干したことでフラフラーとなって意識を飛ばした。
その光景を冷静に見学している滝。

「あっちゃー…失敗しちゃった?」

「…なぁ、滝?撫子何飲ませたんや?」

「ただのビタミン剤だけど。」

「ただのビタミン剤でこんなんになるんか?」

「なっちゃったんだから仕方ないよね。不可抗力だよ。」

「…そうか……。」


「――うーん……なんで私、…ここに倒れて……え?すみません…私、誰ですか?ここ、どこですか?」

目を覚ましたらしい撫子は記憶を無くしていたようで、
起きて早々記憶喪失にありがちな台詞を吐いてくれた。

「え?」
「は?」

「撫子?自分…それ笑えへんで?」

「す、すみません!!でも…本当に、…あ、撫子って私の名前ですか?」

「…滝、これ緊急特別対策本部作った方がよくないか?」

「不本意だけど、そうしちゃう?」


「と言う訳で作ってしまいました。撫子の記憶喪失に対する特別本部。これ、ホンマに撫子…か。」

部室の椅子に撫子を座らせて、マジマジと観察。
しかしどうだろう。
本来の、記憶を失っていなかった頃の撫子は残念な美形だった。
今はその残念な部分が無くなっているのでもう、ただの美人だ。

しかも、何故だか撫子が赤くなってそわそわしている。


……むっちゃ乙女やん。こっちのがええんとちゃう?平和やし。

「…撫子?どないしたんや?」

「あの…その、私…あなたみたいなカッコいい男の子見たこと無くて…話しするなんて、とても緊張しちゃって……。エヘ…?」

両手で口元を隠す様に照れる。

「ハウっ…純情少女ッ!!」

思わずめまいが。

「だ、大丈夫ですか!?」

「こんなに優しい撫子は撫子じゃない!!」

「へッ!?私、嫌われっ……ご、ごめんなさい。」

「いやー!謎の罪悪感が俺を支配するぅ!!一瞬だけでもこっちの撫子の方がええやんって思った数分前の俺を怒ってくれ!!
………跡部、どないしよう。」

「すぐに俺を頼るな。」

「やって…キングやろ。どうにかしてや!!」

「アーン?それをむちゃぶりって言うんだぜ?」

「あの…跡部、君……どうか助けてくれないでしょうか?」

あの、あの撫子が弱弱しい態度を跡部に向け、しかも敬語というこのギャップ。
少しキュンとした跡部だったりした。

「……………。」

「とりあえずだ。お前は椿崎だ。椿崎撫子だぜ。ここは氷帝学園でお前はマネージャーしてんだ。
分ったか?」

「は、はい…ありがとうございます……帽子さん…。」

「宍戸だ。」

「宍戸君…。」

「あ、あの…椿崎先輩……とりあえず、部活に来ることは止めて学園生活に慣れてから来ればいいですよ。
慣れてないと…その、マネージャーは大変ですから。
跡部さん、いいですよね?」

「……許可しよう。さっさと記憶戻して戻ってくるんだな椿崎。」

「はい跡部君…。」

「良かったですね椿崎さん!」

「はい…早く記憶が戻る様に頑張ります!!」

頑張りますと宣言して撫子は自分の記憶が戻る様に行動しようとした。
が、記憶を取り戻す様に行動ってどういったモノなのだろう?
その間、テニス部は撫子と関わることを自重した。
何故ならかっこいいと言う魅力で女子を黙らせていた撫子なのにそんな撫子でなくなった姿を見て再び撫子をテニス部に媚を売っている女だと認識してくる女子が居るかもしれないと言う可能性を考えてだ。


そして事件が起こったのだ。

忍足が久しぶりに教室で話しかけたら撫子はとてもポワポワした表情を見せたのだ。

「撫子ー、なんや思い出したか?」

「あ、忍足君…聞いてくれますか?」

「な、なんや?」

「実は昨日の放課後、男の子に告白されたんです!」

「なんやて!?おkしてしもうたんか!?」

「はい!初めて向けられた好意を無下には出来ませんし!!
これからデートなんです!」

「そ、それは…おめでたいやんな。」

「祝福のお言葉ありがとうございます!
では、さようなら。部活頑張ってくださいね。」

「お…おぉ……。」

忍足はキョドりながらも撫子を見送った。

それから数日、撫子はその彼氏に現を抜かしていた。
いや、完璧にバカップルと化していた。
別に微笑ましいんだよ?
彼氏も彼氏でフツ面よりかっこいいし、撫子よりも身長が高いし、普通に良い彼氏であるのだが…。

今まで散々本来の撫子に振り回されていたテニス部男子は大変面白くない展開ですよね。

今まで見せたことのない優しい笑みはその彼氏のもの。
今まで聞かせたことのない美しい声色はその彼氏のもの。
今まで表したことのない照れというものはその彼氏のもの。

実に思考回路はブ千切れ寸前である。(特に忍足)

そんな忍足が帰宅間際の撫子とその彼氏を発見。

しかもその二人は恋人繋ぎをしているではないか。

忍足の脳内でブチっと音がしてそのまま撫子達に突進。

「撫子ー!!!!」

「ひっ!?な、なんですか!?忍足君!」

「何でもええわ!ちょぅ、部室に顔貸せや!!」

撫子の腕を掴んで引っ張る。
彼氏はその聞きしに勝る忍足の怒りに対してビビり気味である。

「お、おい…忍足、撫子を放してくれ…よ。」

「なんや外道が、記憶失くした撫子をええことに彼氏になんぞなりよって、お前は姉御言っときゃええんや!!」

「なッ!?」

「天下のテニス部に刃向うつもりか?ゴルァ。」

「い、いえなんでもございません!!」

「ふん…撫子行くで。」

「いやー!ダーリィイン!!!」

「おまっ、撫子!!
ぜってぇ元に戻したる!!」

忍足に連れられ撫子は部室へ。

「跡部、もう撫子を無理やりでも戻すで!!」

「あぁ、そうしろ。椿崎の癖に彼氏がいるとかねーな。」

「よっしゃ!!ジロー!岳人!!突撃や!!」

「「イエッサー!!」」

言われた通りに二人は撫子にくっ付く。

「きゃ!?む、向日君!?芥川君!?」

ただただ赤くなってキョドるだけ。

「チィ!まだまだか!!次、日吉!!」

「ハ?何で俺が…俺何もすること無いですよ。それに俺何も悪くないじゃないですか。勝手に椿崎先輩が記憶失くしただけじゃないですか。
でも……前の先輩の方が俺は好きです。」

「ハゥッ…なんかときめいた!?」

「よし。次!宍戸と鳳や!!」

「え!?俺ですか!?どど、どうしましょう!俺何すればいいんでしょう!?」

「落ち着け長太郎!!お前なら出来る!!俺を信じろ!!」

「は、はい!宍戸さん!!」

「や、やだ…青春っぽいのに、なんか…素敵ッ。」

「よし、跡部に滝!!マジで頼むわ!!」

「フゥ…仕方ないね。記憶を無くしたのも僕が飲ませちゃったせいだし。
跡部ちょっとこっち来て?」

「…あぁ。」

跡部が言われるままに滝の近くへ。
そして滝が跡部をソファーに座るよう指示。
滝はソファーに座った跡部の足を跨ぐように向かい合わせで座った。
それから滝は跡部のネクタイに手をかけ―――。

「っきゃぁああああああああああああ!!破廉恥ィイイイイ!!!ふあ……。」

「あ…。」

パンピ女子にとってはとても刺激的すぎたためか意識を失ってしまった撫子。
目を覚ましていたら戻っていることを願おう。

「――――――ハッ!?私は何を!?」

気を失ったのはものの数秒ですぐに復活した撫子。

「…撫子?」

「ん?何かな?忍足。って両脇に何でmyエンジェルズを侍らかしてんの!?マジここ天国!!」

「あ、戻った!戻ったで撫子!!」

「え?何があった?…って言うよりも私今まで何してたの?ここ数日間の記憶が薄ボン…。」

「や、知らんでいいこともあるんやで。むしろ忘れた方がええて。」

「え。私なんかやったの?」

「何もしてないよ?ただ、ビタミン剤飲んだだけだから。」

「滝…そのネタまだ引きずるんか……。」




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500000hit企画第3弾
ルカ様リクエスト「記憶喪失になって、普通の恋する乙女(相手はモブ)になる→告白リア充→キャラ不満爆発→記憶戻る/ギャグ」
蓮廻様リクエスト「記憶をなくして、性格がガラリと変わった(イケメンレギュラーに話しかけられて頬を染めるような純情ガール)/戸惑いつつ、普段の主を存外に気に入ってる事に気付くレギュラー」でした。

一緒にさせていただきました。

こんな感じの記憶喪失でどうでしょう!?
都合のいい記憶喪失というのは正にこの事ww

と言いますか主に「ダーリン」って言わせたかっただけで←

蓮廻様リクのレギュラーが忍足だけという…許してください……。

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[mokuji]