青春エンド… | ナノ


柳蓮二


む、今日は仁王と共に撮影会に参加したのか。
いつ見ても撫子さんは麗しい。
撫子さんがするキャラは最高だ。
コスプレに興味をほとんど持たなかった俺でさえ引き込まれるものがあるのだからな。

しかし、感心しないな。
必要以上に引っ付き過ぎではないのか?
ん?

『ここには晒さないけど、ペテンさんがセクハラかましてきましたww
制裁としてキャメルクラッチかけてる所をカメコさんが撮っていたのでそれは晒しますwww』

……どういったものだ?
ふむ…調べる必要性があるな。
何、撫子さんのパソコンに忍び込めばデータがあるだろう。
それを拝借させていただこう。

…カメコと言ったら柳生だったか、いい仕事だ。
しかし本当に仁王が邪魔だな。
邪魔だ。
何十枚もあってすべてに仁王が写り込んでる。
邪魔だ、邪魔だ、邪魔だ。

やはりいつもの加工をしなければならないか。


あぁ、明日は氷帝のテニス部に堂々と偵察に行く日だったな。
会えるのか撫子さんに。
これで撫子さんと出会って一日も欠かさず会っていることになる。
いつもは遠くから眺めておく程度だか、今回はテニス部偵察と言うことでコンタクトがとれる。
何日会話していないだろうか、10日か?一か月か?一年か?
撫子さんと会話をしない日なんて一日もあってほしくないのだぞ。
毎日話しかけたい。

しかししつこい男は嫌われるとデータにはある。
どうしたものか、

仕方ない、ここは清く俺が引けばいいんだ。
嫌われると言うことがあってはならない。

俺が我慢すればいいんだ。

そうだ我慢している代わりと言ってはなんだ、今夜は折角撫子さんのパソコンに忍び込んでいるんだ。
データを盗らせていただこう。









「おお!こんにちはーマスター!!」

柳は計画通りに氷帝へと足を運んでいた。
そして撫子が柳の姿を見つけた。

「ああ、こんにちは。今日も元気だな。」

「そうかね。でも昨日は疲れたよー!久々にコスしたから!!」

「ああ、知っている。昨日データをとらせてもらった。」

「マスター情報収集早いよ。
ま、いいや。ブログ見てくれてありがとうね!!
じゃ、跡部に言って来るよ。」

「あぁ、頼んだ。」

柳は跡部から承諾を受けている位置から練習風景を眺める。
練習風景を?
否、
コートの外で目まぐるしく働いている撫子の姿をじっと見ている。



今日も忙しそうだ。
撫子さんは完璧だ。
非も何もない。
そうだ、確か今日は月経の二日目ではなかったか?
苦しいはずなんだが、痛いはずなんだが、
そんな素振りは見せていないな。
やはりあの薬は撫子さんとの相性がいいのか、
これはデータに付け加えておく必要がある。

そういえば、一昨日は資源ごみの日だったはずなのだが、いつも出している少年ジャンピの括りが出されていなかった。
きっとコスプレの衣装の修羅場だったのだろうな。
それなら納得だ。



氷帝の練習が終わり柳が撫子に近づく。

「お疲れ様、撫子さん。」

「おお!マスターの方は何か収穫はあったかい?」

「まぁまぁだな。」

「それはよかった。何もなかったらやだもんねぇ。」

「そうだな。ところで今日は撫子さんは月経の二日目ではないか?」

「げッ!?…………まぁ、そうですが…なぜ?」

「いや、統計的に二日目が痛いらしいと言うデータがあるのだが、それが本当なのか気になってな。」

「…あぁ、そういうこと。
まぁ痛いけど痛み止めが効いてるから平気だよー。忘れたら地獄見るけどね。」

「そうか。」

「マスター、それはあまりに気になるからって私の子猫ちゃんで統計とかとらないでね?」

「あぁ、そうだな。失礼なことを聞いてしまった。
そうだお詫びに今日俺の家に来ないか?」

「おお?遊びに行ってもいいのかい?」

「あぁ、来てもいい。勿論食事の方は用意させていただく。」

「ひゃっほぉお!!食費が浮いたぁ!!」



撫子は食費が浮くという事実に惹かれ柳の家に。


「ご馳走様でした!!」

「お粗末様でした。」

お腹いっぱいに食べ終わり、撫子は満足げだ。

「美味しかったよマスター!!また食べに来てもいいかね?」

「あぁ、大歓迎だ。
もう時間も遅い、今日は泊って行ったらどうだ?」

「んー…でもサイト更新したいしなぁ。遅くても帰ろうかな…。」

「だったら俺のパソコンからすればいい、貸すぞ?」

「まじっすか!?だったら泊まる!!」

「そうか、ではお風呂に入ってくると良い。」

「うわー、マスター抜かりないねぇ。流石!!」

「褒めたところで何も出ないぞ。」

「いやぁ、純粋に褒めたかっただけさ。
じゃ、お風呂いってきまーす。」



さて、撫子さんはお風呂に行った。
撫子さんが使った箸や食器を俺の部屋に持って行っておくか。
あぁ、あとそれから撫子さんが出た後のお風呂には髪の毛もあるだろうし、お湯も…ある。
今日の収穫はたくさんだ。それから着ていた服も出来ればいただきたい。
代わりの服を用意しなければ、…ふむ、姉から借りることにしよう。
撫子さんのサイズにあった服はあるだろうか。



柳は姉の部屋に服を探しに行った。
予想よりも見つけるのに手間取る。

その間に、撫子はお風呂から出た。
服は先ほど着ていたジャージを再び着た。

「マスター?どこだーい?」

髪から落ちてくる水滴をタオルで吸い取りながらリビングに登場。
しかし柳の姿は無い。

どこだろう。

「自分の部屋かな?」

そう思った撫子は二階に上がる。
何気に初だ。

二階に上がると、
「れんじの部屋」というプレートがかかっている扉を見つけた。

「ぶふっマスター、かわいい!!」

きっと小学校のころにでも作ったのか、それが引っかかってあるのだ。
もう、萌えるしかないだろう。

控えめにドアをノックする。

「マスター?お風呂から出たよー?開けるよー?」

撫子は部屋を開けた。

「ッ!?」

撫子の目に飛び込んできたのは撫子の写真がいっぱい。
壁一面に張られているものだ。
コスプレの写真から、ブログにあげた『作ってみた』類の画像。
とりあえず、撫子のブログの画像はフルコンプされている。

「……なに、これ………。」

フラフラとした足取りで撫子は奥に足を進めた。
そこにはコスプレ写真ゾーンと呼ぶべきなのだろうか。
撫子のコスプレ写真がみっちりと貼られてあった。

「!?…これ、うpしてない写真じゃん…!!」

一番新しいのは昨日うpした写真で、
しかも撫子がうpしていないちょっと絡み過ぎた写真がそこにある。

その全ての写真の仁王には目元に黒い線が引かれていた。

撫子の背筋が凍る。
こんな異常な人の家に撫子は転がり込んでいたのだ。

先ほど使った箸や食器も机の上に存在している。


これはコレクションになるんですよね。


撫子だって無知ではない。
これはもう、逃げるしかない。

そう思って体を反転させようとした瞬間、両肩を掴まれた。

「見てしまったな?撫子さん。」

「ヒッ!?マ、マスタ…ァ?」

「どうだ?素晴らしいだろう?俺の撫子さんのコレクションだ。集めるのも一苦労だったぞ?
しかし、流石と言ったところか、パソコンのセキュリティもしっかりしていて入るのが大変だった。しかしその先に待っている撫子さんのものを見るためなら俺はどんなことでもしたぞ?
あぁ、そうだ。撫子さん、さっき着ていたものをもう一度着るのは気持ちが悪いだろ?だから着替えを用意した。そして着ていたものを俺にくれないだろうか?
それからお風呂のお湯は抜いていないな?抜いていないならそれでいいんだ。
大丈夫だ。俺は撫子さんに危害を加えようとは思っていない。
むしろ、危害から守りたいとも思っている。
だから今氷帝まで通っている通学路だが、それを放課後利用することは控えていただきたい。街灯が少ないからな。
13日前、撫子さんがコスプレの為の布を買う為に手芸屋に行ったあの道から帰宅することをお勧めする。
俺は何でも撫子さんのことなら知っている。過去も今も、すべて、だ。
撫子さんのためなら努力は厭わない。
すごいだろう?この事も褒めてはくれないか?

なぁ、撫子さん。俺は撫子さんのことを愛してるんだ。愛してるからこその助言だ。
聞き入ってくれるよな?
そうだ、鋼の錬金術師でこんな言葉があるな。『等価交換』と言う言葉だ。撫子さんも知っているだろう?
俺ばかりが愛してるのでは釣り合わない。だから、撫子さんも俺のことを愛してくれ。
そうしたら俺はもっと撫子さんを愛することが出来る。
もっと撫子さんについてデータを収集することが出来る。
もっと、もっと、もっと撫子さんに近づくことが出来る。

だから、愛しては、くれないか?」

愛してはくれないか?と言った柳はどこか狂気じみていた。


「………ハ、ハハハハハ………アハ?」


乾いた笑しか出てこなかった。
言葉は乾いているのに、体は冷ややかに濡れる。
それが髪から落ちてくる水滴なのか、
背筋から冷えていく感覚の冷や汗なのか、


前者が良いなと思いながら撫子の視界は暗転した。







―――――――
意外に人気だった柳のヤンデレww
ヤンデレって書くのは楽しいね。
で、後から見返すとドン引くよね←

……なんだよあれの日把握してる柳気持ち悪いよ…お湯て…あんたお湯て………。

やっぱこういうのは日常生活でストレス溜まっているとき書いたらいい感じに壊れてくれるよね。

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[mokuji]


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