青春エンド… | ナノ


目を覚まさなくとも世界に影響などない


ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、

白を基調としたこの部屋。
無機質な機械の音が規則正しく鳴り響く。

そこの部屋の住人は眠っている。
そう、眠っているんだ。
ただ疲れているだけで、あんな事故に巻き込まれたからって、
だからって今は奇跡的に息をしている。だからもっと奇跡が起きて、目が覚める。
いつか、いつか目覚める。
そう信じて、俺は話をしに行くんだ。

こんな静かな部屋、似合わないよ。

だから早く、起きなよ。



【忍足侑士】

「撫子…。」

なんで、なんでこんなところで寝とるんや。
早よ起きんとイベントで撫子が前から欲しい言っとった人気サークルさんの本、売り切れてしまうで?
俺、優しゅうないから撫子の分も買うとかそんな発想無いで?
やから、起きや。

そんで俺をいじりに来ぃや。
伊達眼鏡だって割ること許したるから、ちゃんと気ぃ済むまで割らしてやるから、
その眼を開けて俺の胸ぐら掴み上げてきぃや。
いつもきっちり括られたポニテを揺らしながら俺んとこに来ぃや。

いっぱい新アニメも始まったで?
撫子がチェックしとったやつも始まってもう3話目や。
ネタばれてまうで、同志と話しとうてたまらんのや。


「寂しいんや…撫子……ッ!」



【柳蓮二】

「…撫子さんが今すぐ起きる確率100%……。」

と言いたいものだ。
しかし現実は甘くないな。せいぜい0.0000000000000000003%。
どこかの青色サヴァンの様な確立だな。

撫子さん、知っているだろう。その物語の結末は、
そう、助かっているんだ。
だから撫子さん、あなたも助かる。そうだろう?

ここで自分の無力さを呪うな。
考察でどんなに矛盾が無く行うことが出来ても、こんなもの役に立たない。
撫子さんが目を覚ます考察をしたところで、それは全く現実に反映してはくれない。

そうだ、撫子さん。
今日は撫子さんが最後に俺に考察の依頼をしていたものを持ってきたんだ。
どうだ?見たいだろう?だから目を開けてくれ。
でないと見れないぞ。
…………………………起きてくれ、撫子さん。

サイトの更新だって滞って訪問者は皆心配している。
俺のサイトでもどうかしたのか、とコメントを残してる人もいる。
撫子を心配している人はたくさんいるんだぞ?

みんな撫子さんがネットに戻ってくることを待っているんだ。


「伝えられない思いなんて、持っていても意味が無いな撫子さん。」



【仁王雅治】

「…椿崎。」

なんでそんなぶっさいくな服着とるんじゃ?
そんな着物でも洋服でもない服着よってから、俺とコスのあわせの約束しとるじゃろうが、
忘れたとか言わさんぜよ。

コミュニティーでのやり取りが残っとるんやから、
スケジュールにだって予定を残しとるんじゃ。
残念じゃったのう…詐欺師を詐欺にかけようなんて無駄じゃき。おまんのペテン破れたり、じゃ!!プリっ。

なんじゃ?白黒病棟のがやりたくてわざわざ入院した言うんかのぅ?
バカじゃなぁ、そんなんせんでもスタジオ借りりゃあ済む話じゃろ。

ほれ、起きんしゃい。
人気レイヤーペテンがおまんの為に、おまんの為だけにコスしちゃる言っとるんじゃぞ?
起きんと一生後悔するぜよ。

………なぁ椿崎、俺はおまんをまた傷つけたんかのう。
傷つけることしかできんで、

じゃから、俺に償いをさせてくんしゃい。
起きて、俺にさせんしゃい。

おまんが起きんかったら意味無かろうか。


「無力な人間とか…嫌じゃのぅ、椿崎。」



【財前光】

「撫子さん、冗談すよね。」

なんでこんなことになっとるんすか。
俺の知らんところで、
交通事故にあってもうた?
撫子さん、8月15日とちゃいますよ。猫だって、トラックだって、カゲロウだって居らんかったんですやろ?
やから、再現出来とりませんよ。
再現出来とらんのんですからリベンジするべきっすわ。
まぁ、次は止めたりますけどね。

そうだ撫子さん。俺、新曲作ったんすわ。
今回のだって撫子さんイメージしとりまして、撫子さんしか歌えんようなもんなんすわ。
やから歌ってみた動画は撫子さんしかうpすることできませんよ。
笑顔動画をより充実したものにしたいんですやろ?起きんと、いけませんよ。

俺、自分の動画に歌ってみた動画が一つでもないと創作意欲が湧きません。
やから撫子さんが起きて歌ってくれへんと、俺の活動も止まってしましますよ。
撫子さん、いつも楽しみにしてくれてたやないですか。

俺にできることはこんなもんですわ。
そうだ撫子さんが起きるまで俺、毎日来りますわ。
毎日、違う曲作って来たりますわ。
起きた時にたまった曲全部歌ってもらいますからね。
早く起きないと大変なことになりますよ。


「俺にできることはこれ位なもんですよ撫子さん…。」



【白石蔵ノ介】

「撫子さーん、朝やでぇ、起きんと毒手の…刑、やで……?」

ホラ起きや撫子さん。
寝とってもええネタ浮かんでこんやろ?
もう何日めや?撫子さんが目ェ開けんようになって、そろそろ起きんと、
マスターさんのサイトも凍結気味で俺んとこのサイトも書く気にならんから永久凍結してきてもうたわ。
そろそろ炎上するんとちゃうかな。

そうや…今相互記念でリレーやっとるやろ?
俺、書き上げたから今度は撫子さんの番なんやで?めっちゃええところでブチンとキレとるんやで。
こんなん閲覧者泣かせや。
そんなん撫子さんの趣味やないやろ?
やから、早よ…起きてや!!

「こんな脅しめいたこと言うて、撫子さんが目ぇ開けるわけないやん…アホか、俺は…ッ。」



【手塚国光】

「油断…してしまったのか、撫子さん…。」

撫子さん、何故未だにベッドから起き上がらない。
もう日が昇って、降りて、昇って、…もう何度めだ…。

不養生な生活が祟っただけなのだろう?
事故だなんて、他の人が言っているだけの戯言なのだろう?

そうだろう?外傷なんて全くないではないか。
今にも起き出して、得意なダンスを披露してくれそうではいか。
一ファンとして撫子さんの踊ってみた動画が好きなのだ。
続編のうp、毎日楽しみにしていたのだぞ?

最近では俺のダンスにもキレが無くて、来場者はだんだん減ってきている。

そうだ、いっそのことここで踊ってうpしてしまおうか。
ホラ、撫子さん。早く起きないと撫子さんのノーメイク顔が笑顔内に蔓延ってしまうぞ。

だから、撫子さん―――…。

「起きて、手を振ってはくれないか…ッ。」



【滝萩之介、幸村精市】

「撫子、起きないと呪うよ?」
「椿崎さん、起きないと呪うよ?具体的には一生俺に従ってもらおうかな。」

「……………………。」

「起きないね。本当に、…起きないね。」

「そうだね、こうやって僕達の声にすら、脅しすら無視しちゃうんだもん。いつもの撫子なら爆睡してたって起きるのに。」

「だったら今は爆睡よりも深いところに意識があるってことだね。」

「うん、引っ張り上げることだって無理かもね、その意識。」

「……椿崎さんって頭いいけど、バカだよね。」

「そうだね。いくら妄想が生き甲斐だからって、僕達を巻き込むんだもん。」

「そうそう、注意しても次の瞬間には忘れちゃってさ。学習能力が無いのかな。」

「だね、…って言いたいところだけど、撫子って学年で2位なんだよね。」

「へー、本当に頭いいんだ。
でもそんな頭良くったって、こんな風になってちゃ宝の持ち腐れだよね。
あと、俺達がどんなに技をはめたってほとんど無傷な体だって意味ないじゃん。」

「ね、ある意味僕達のストレスのはけ口になってたかもね。」

「ふふっ、そうかもしれない。
けど…こうなっちゃうならもっと優しくしておけばよかったな。」

「……そうだね。」

「あんなに見ていて楽しい子、一緒に居て楽しい子なんて…居ないだろうね。」

「…そうだね。」

「…ねぇ滝君。」

「ダメだよ、幸村君、それはやっちゃいけない。
それは、ダメ。規律を乱して狂わせたら、だめ。」

「……。」

「幸村君だけじゃないよ。僕だって何度も、何度もその術をやろうとしたけど、規律を乱したら代償に僕の命だけじゃなくって対象になっていた撫子の命だって危ういんだよ。」

「分かってるけど…。」

「きっと撫子もこう言うんだろうね。万能な黒魔術でどうにか!…って。」

「想像できるよ。」

「だけど、万能じゃないんだよ。人の生体に感化しちゃ、いけないんだよ?…撫子。
そんなことも知らない撫子には教えないといけないでしょ。だから、さ…ねぇ?幸村君。」

「うん、早く目を覚ましてほしいんだけど、椿崎さん。」






――――――――――
500000hit企画第16弾
紫苑様リクエスト「もし夢主が事故って植物状態かなんかになったら(夢主の同士と滝、幸村の反応)」でした。

最近は同志も増えてきたのですが、やっぱり昔から登場している人たちを……(言い訳です。ただ同志が多すぎて古参の人物だけにしてしまったのですorz)

とりあえず、皆さん、主の植物状態という現実は受け止めきれていないようですね。
でも書き終えて思いました。植物状態になってしまったら親が、田舎に連れて帰りますよねって言うww←

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[mokuji]


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