私と私
稀奈は白石と共にオフの日を満喫中。
ショッピングを楽しんでいる。
あ、稀奈のみた目は金太郎そのものなのだが、それ相応な格好をすれば女子にも見えなくはない。
白石とはカップルに見えなかったり見えたり、
と言う訳で公園でカップル限定のアイスを手に入れた。
食べながら公園内を闊歩。
「これ、食べてみたかったんだよねぇ。」
「さよか、それの為だけに女装めいたことをするなんて、ようやるわ。」
「はぁ?私の元の性別は女、女物の服を着ることなんて全然痛くないんだっつーの。
あ、これあげないから。」
「いらんわ、そんな甘いもん。」
「好き嫌いはよくないよぉ?
ま、今のタイミングで好きとか言ったら潰すところだったけど。」
「怖いこと言うなぁ。」
「こんなことで怖いなんて白石もまだまだね!」
「稀奈は出会った時から怖い思うとるわ。
………ん?なぁ、稀奈…あれ、不良に絡まれとるん青学の菊丸クンと不二クンとちゃうん?」
視線をやってみると、公園の奥の方に数人の男子。
それからその男子に囲まれている菊丸と不二が居た。
「あー?…あー……チッ、いやなもん見た。白石どっか行こう。」
「なんで?めっちゃ面白そうやん。それに助けたって新しい玩具にすればええやん。立海のもう壊してしまうたし。」
「……ヤダ。」
「俺、今日そのアイス買う為に付き合ってやったやん?見返りくれてもええんとちゃう?」
「…だったら、いいよ。助けてあげよう。」
稀奈は白石の腕を引っ張って、その少年たちの所まで一直線に歩いて行った。
それから持っていたアイスを不良の頭らしき少年に投げつけた。
「!?んだコラァァぁあ!?」
「あ、兄ちゃんらすまんなぁ!食べとったアイス手ぇ滑らせてもうたわ!!」
「謝ったら済む事じゃねーよなぁあ!?」
「ヒィッ、白石ぃ怖いわぁ…ッ。」
「金ちゃん、ホンマ気ぃ付けんとあかんやろ?ホンマすまんなぁ自分。」
「謝って済むもんじゃねぇ言ってんだろうがぁ!お前ら先にこいつらやっちまえ!!」
不良共の矛先が稀奈達の方に向き、殴りかかってくる。
稀奈と白石は驚くふりをしながらも、内心計画通りとほくそ笑んだ。
それから5分も経たないうちに不良共は地に伏せることになった。
「兄ちゃんら、行くで!!」
稀奈達は不二と菊丸と一緒に公園から脱出し、それから路地の様な所に身を隠した。
「にゃー…助かったにゃぁ、ありがとう!!」
「ええんよ!でも兄ちゃんらなんであんなんに絡まれとったんや?」
「ッそれは…。」
「僕のせいなんだ、僕が、僕がッ!!」
自分のせいだと言いながら不二がしゃがみ込んだ。
それを心配した白石が不二に近づき触れようとした。
「自分大丈夫か?」
「ッ怖かった!」
不二は感極まったかのように白石に抱き着きた。
「なッ!?」
予想外の不二の行動に思いのほか焦る白石。
「あー、ぁ不愉快…もうゲームオーバーでいい?菊丸英二。」
不機嫌な顔を作り稀奈は菊丸を睨みつける。
「にゃににゃに?どういう事?」
「しらばっくれなくてもいいよ。それともこう呼べばいい?遠野稀奈。」
稀奈は菊丸を稀奈と言った。
自分の名前を相手に言った。
普通の人だと「は?」と思うところだろう。
しかし菊丸は違った。稀奈と呼ばれたことに対してニヤリと嗤う。
「……なーんだ、ばれちゃってたか。同じ腹黒属性っていう認識で止まってるかと思ったのにぃ、残念!」
「金ちゃんの正体を私って見破っていたなら私も見破るに決まってんじゃん。私?」
「キャハハハ!そうだったそうだった。私は私で同じ発想になっちゃうんだけ!」
「ふん、不二周助。私の玩具から離れろ。白石もいつまでも茫然としないでよ。」
「…不二クン、俺と同類か?」
白石は不二を剥がしながら問いかけ、不二はスクスクスと笑いながら答えた。
「そうだよ?多分君と同じ境遇で稀奈に出会って、それからこの世界の総てがどうでもよくなったと思うのだけれど?」
「あぁ、まさに俺が居るわ。こんな不思議なことが起きるんやな。」
「フフッ本当だね。」
「「玩具、ちょっと黙ってろ。」」
いつの間にか殺伐とした空気を醸し出していた稀奈と稀奈。
玩具二人に対して不機嫌100%のオーラをぶつけた。
それに当てられ黙る二人。
「「ッ…。」」
「ねぇ?そう言えば私、さっき助けてあげたのにお礼の一言も無いわけ?それ、人間としてどうな訳?」
「えー?助けてあげたぁ?なんて恩着せがましいんだ私は!!私は私に助けて、なんて頼んだ覚えもなぁい!ついでに言うなら私のアイスがどうなろうと知ったこっちゃなぁい!!」
「へぇ、さすが私だね。カウンターが巧い。」
「ハァ?なんで私が私に評価されないといけないわけぇ?ちょっとどころか物凄くウザいんだけど。」
「ウザい?ウザいのが私の基本スペックでしょう?そんなことも理解せずに私と対面してんの?脳みそまで猫になった?ホラさっきみたいににゃーにゃー啼きなよ。
あぁ、中3にもなってそれって恥ずかしい。」
「恥ずかしい?そんな思い抱いたこと無いね!にゃーにゃー啼いていればあっちは私をバカにする。でも私が本性を現した時のそいつらの顔。とっても最高じゃなぁい?」
「キャハハ!流石私だ、同じことを考えてる。まぁ、元が一緒なら仕方がないか。」
「ニャハハ!…元が一緒なら、もっと重要なことあるよねぇ?」
「だよねぇ?じゃぁ、ちょっと言ってみるぅ?」
二人が同じような笑みを浮かべて同じ言葉を紡いだ。
「「この世の玩具は私のモノだ。私以外の私に貸してあげる玩具すらない。だからお前、居なくなって?」」
「「………。」」
「キャーハハハハはハハはハハハあああハッハハハッハハハハ!!!」
「ニャーハハッハッハッアアはアハハハハハはッハハハハハは!!!」
「やっぱりか私!そうだと信じてたよ!!と言うわけで手始めに私の玩具、不二をもらうよ。覚悟しといてや?」
「やっぱりか私!そうだと信じてたよ!!と言うわけで手始めに私の玩具、白石をもらうよ。覚悟しといてにゃぁ?」
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500000hit企画第19弾
夕凪様リクエスト「シリアス/腹黒上等とBellyBlackを混合」
謎なものになってしまいましたが…こんなものでどうでしょう…?
練詠も書いていて謎でしたが、謎が謎を呼び謎しか生まれませんでした…すみませんoyz
シリアスと言うものが、また今回に限っては難しかった…金ちゃんと菊丸が会話をするとギャグにしか←
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