Belly black | ナノ




Target 不二周助 02


有言実行、稀奈は白石を連れてテニス部部室へと突撃。

「やぁ、お邪魔するよ。」

「「「!?」」」

中には入って見ると不二以外のレギュラー陣が机を囲って何やら話し合いをしている。

「私達のことはただの空気だと思って会議、続けたら?それ、一刻を争うんでしょ?」

「………遠山、はそんな性格だったのか?」

一度天真爛漫な金太郎での接触を果たしてあった為、稀奈の本来の性格に驚く一同。

「うん、こんにちは初めましてみなさん、遠山金太郎もとい遠野稀奈です。以後思知り御気を、」

「手塚クン、深く考えたらあかんで?」

「……あぁ、そのようだな。」

「さぁ、話し合え?私はここで聞いておくよ。あぁ、安心して?私はあの女とはつるんでないし、味方じゃない。」

「…遠野、だったね。…君は何処まで知っているんだい?」

「何処まで?……どこまでもさ。」

「っテんメェ!!いきなり現れたと思ったらなに上から目線なんだよ!!俺達は、俺達はッ!!」

桃城が座っていたところから立ち上がり稀奈の胸ぐらを掴みかかってきた。

「止めねぇか桃城!こいつを責めたって問題は解決しねぇ!!」

それを制止するために海堂が口出しをする。

「仕方ない、私を少しでも庇ってくれた海堂の為に私が知ってることを言ってあげよう。
私は君達が不二を嫌っていないことを知っている。君達が脅されていることを知っている。君達に対する人質は家族、友人、そして不二。
君達が不二に関わったら人質の生または社会的地位が失われる。
大きく言ってコレ。これらがあるから君達は不二を助けることが出来ない。関わることが出来ないんでしょう?」

「「「!?」」」
「なんやて!?」

そこまで知っているのか、と驚く青学メンツ。
そしてやっと事の事態が分った白石。

「ホント、頭いいわぁ…不二を嵌めたあいつって、自分自身の身を人質にするんじゃなくて、その人の周りの人を人質にするんだもん。いやー、これは感心するしかないね。
でもそれなりの財力が無いとダメか…うちじゃぁ到底マネできないなぁ。」

「…何故、そこまで知っているんだ?」

「フフフ、手塚ぁ…この私、遠野稀奈をなめてもらっちゃぁ困るね。
さて、ここで提案だ。今、私の手には不二を陥れ、君達を脅しているアイツの家の弱みが詰まったモノを持っている。この状況覆したくない?」

「…覆せるなら覆したいにゃぁ…でも、そんな都合のいい物君が持ってるわけないでしょ!?」

「持ってる訳がない?持ってるからこうやって提案してんだろうが、脳味噌の少ない猫はちょっと黙っておいて?」

「にゃッ!?」

「英二、抑えて…その、…遠野、それは本当なのかい?」

「本当だ、私が持ってるものは本物だ。これをマスコミにでも売ったらすべて解決、大団円。」

「だったらそれを―――。」

「ちょっといいか?」

大石が言いかけたところで乾が割り込んできた。

「…何かな?」

「確かにそれは本物だろう。
しかし、それよりも俺は疑問に思ったことがある。…君は何故、そこまで知って、そこまで関わって、そこまで話を操作しようとする?………目的はなんだ?」

目的、それを乾が口に出した瞬間に青学メンツの顔が強張った。
ハッとした表情になった。
だって転校して半年も経ってないのに、そいつらが話の中に入って来てひっかきまわそうとして、行動して、よく考えてみれば可笑しい。

そんな表情を見て稀奈は苦笑いと共ににやけた笑いが零れ落ちた。

「……フッフフフ…アハハハハッ!!!乾ぃ、君流石だよ、よぉく気が付いた!目先の欲望にすぐに手を伸ばさず、こちらの出方を待つだなんてねぇ…。
マネしたくなっちゃうなぁ。」

「話を逸らさないでもらおうか。」

「チッ、…いいさ、話してあげるよぉ?私は君達に復讐するために不二から派遣された道具でぇす!!」

「復讐だって!?冗談じゃない!!」

大石が咄嗟に立ち上がった。

「大石座れ、…遠野、一体どういう事だ?」

「復讐と聞いて冷静な君は素敵だなぁ。流石部長と言ったところ?
フフフッ、話してあげようか。不二がねぇ?私にこう言ってきたんだぁ。『君の玩具になるから、僕の願いを叶えて』って、私はそれを承諾した。
そしてその願いが君達に地獄を見せることなんでよぉ?」

「不二先輩がそんなこという訳ねぇよな!ぜってぇねぇよ!!」

「ぜってぇあるんだなぁ!これがさぁ!!
お前らは不二を、人質があいつの手にかからない様に行動を起こさなかったのかもしれねぇが!そんなもの逆効果だよぉ!!
だって不二は君達に見捨てられたって思ってるんだもん!全校生徒には虐められて、心の拠り所のはずだったテニス部は自分を相手にしてくれない。
相手にしてくれないなら無いのと同じ、あるだけ目障りなんだぁ。
虐められる方ってかなり偏屈になるんだよぉ?中途半端にそんなことしたら、絶対にプラスには働かないのに、この中の誰もそのことを知らなかったのかなぁ?平和な脳味噌だなぁ。
あぁ、そうか…君達は『自分たちはあいつの脅しで助けることは出来ない。でもあいつの脅しであってもイジメを実行することはしない!出来る限り不二の虐めには加担しない。心だけは不二の味方だ』っつって?浅はかすぎ!!それで精一杯の行動力ですぅう!?
加担はしない、味方にはならない、だったらなんだ?つまり傍観者、を君たちは気取っていたんだぁ。君達にはそんな気持ちないかもしれないけど、被害者側からすればそう思うんだよねぇ。
心だけはって言っても誰がその心を見て理解しなければならないんだ?神か?サトリか?違うだろう、不二周助だ!!でも不二にそんな人の心を読めるような便利な能力ついてないもんなぁ!!どんなに天才だと言われてても結局は人間なんだからさぁ!!」

「「「ッ………。」」」

「ハァ、名門青春学園も堕ちたね。友達一人救えやしない。ただ一人に屈する。無様。
さぁ、そこから這い上がろうよ。私の持ってるモノを使ってさ!勿論さっき言ったように君達には対価として地獄を見てもらうけどねぇ!!」

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