Target 不二周助 01
「ねぇ、君は私に青学レギュラー陣を地獄へ堕としてほしいと言った。本当にいいの?謝ってもらったら許してあげる、なんて発想は無いの?」
「謝って済む問題だったら君のモノになるなんて言わないよ。
それに言ったよね?僕はもうこんな環境に居たくないんだ。僕はこんな目に遇う人種じゃない。あいつのせいで僕はこんな理不尽な環境に身を投じているんだ。
仲間だと思ってたあいつ等も僕のことを助けてくれなかった。見向きもしれくれなかった。僕がこんな目に遇っているのに誰も、…誰も助けてくれなかった!!だから僕はあいつらが憎い!僕を嵌めたあいつよりも、誰よりも、アイツらが憎い!!!」
「……私の力なら、アイツらの目を覚ます程度に力を揮うことも出来るんだけど?」
「何が言いたいの?僕が望むことを対価に僕は君の玩具になったんだよ?何、契約違反?」
「…こんなにも大きく出る玩具は初めてだよ。うん、いいよ。叶えてあげる。
アイツらが地獄に堕とせばいいんだね。」
「一生僕をこんな目に遇わせたことを覚えて後悔すればいいんだ。これから先テニスで挑んで来たら僕は切原君のようなプレイをするよ。」
「そう…じゃぁ頑張って?」
「頑張るのは君の方でしょ?僕はあいつらが苦しむ姿を見るだけでいいんだから。」
不二は稀奈の前から去って行った。堂々と、
その姿は虐められている少年だと認識しづらいものがあった。
「稀奈にあんなに噛み付くなんてやるなぁ、不二クンは…。」
「うん、私もここまで噛み付かれるなんて思ってなかったよ。しかしなんだ…今回の目的を変えたいな。」
「なんや?青学メンツに地獄を見せるの止めるんか?やったらホンマに契約違反になるで?」
「いや、それはする。ただ…それを結果とせずに手段として、ね。」
「手段として…か。」
「そう、両者とも幸せになんてしてあげねぇよ。どっちもどっちでどっちも悪い。ここの学校の場合はね。」
「ホンマ、この学校はけったいな学校や。なんでこんな、なぁ?」
「うん、でもね生易しい気遣いって迷惑なんだよ?」
「確かにな…で、なんで不二クンもターゲットに入れとるんや?自分の玩具なんやろ?」
「白石ぃ、ちょっと考えてみなよ。この私があんなに反抗してきてこの私が、寛大に許すと思う?
言うなれば躾だよ。だって噛み付いてくる犬が居たら叱るでしょう?だから、私は少しだけ自分の立場を弁えてもらいたいだけ。」
「まぁ…そうやなぁ、俺なんて味方判定も出取らんな。多分俺のことも稀奈も自分がアイツらに復讐するための道具だと思っとるんやろうな。」
「私を道具と勝手に心の中で思うのは大いに結構。私だって不二のことは玩具だと思ってる訳だしね。
でも態度に表わして私の機嫌を損なうようなことしたら…私、何するか分からないよ?私って沸点低いんだもの。」
「…不二クン、早よ冷静にならんと身を滅ぼすで…。」
「なに?白石は不二の味方?」
「って言ったらどうする?」
「別に?ただ一緒に潰すだけ。」
「冗談や。ちょっとは俺に対して未練を見せてくれや。
それに…俺は稀奈の味方や。青学メンツでも不二クンでも無い。」
「君に未練なんてない…と言ったら嘘になる、とでも言っておくよ。」
「…嬉しい事言ってくれるやん。」
「フフフッ君の嬉しさは安いね。」
「安い?んなアホな。俺はめっちゃ欲望深いで?今すぐに稀奈を独り占めしたいと思う位はな。」
「白石如きが私を縛り付けれるとでも思ってるの?」
「いんや、思っとらんで?ただ、言ってみただけや。」
「ふーん、まぁ私も出来る限り君とは長くいたいと思ってるから。私の機嫌を損なわない様にせいぜい気を付けて?」
「仰せのままに。」
「さて、私も行動します?」
「もう行動するんか?」
「うん、不二のあの態度を受けてて私は暴走しそうだからね。さっさと過程を終わらして。結果を見たいんだ。
これ以上は、ね?私が警察の厄介になってる所なんて…見たくないでしょ?」
「おん、全く見とうない。」
「だからさ、私は今冷静に保ってるけど…ほら、いつもみたいな喋り方じゃないでしょ?今あの語尾のばすような喋り方すると…自分を殺したくなる。」
「なんや…あれもキャラづくりかいな。」
「とーぜん、あの喋り方って、人の心を抉るには丁度いいんだよ。あの喋り方…相当ムカつくでしょ?」
「そうやな。…まぁ、俺は稀奈が俺の目の前から居らんようにならんかったら…他の奴がどうなってもええんやけどな。
で、具体的には何をしようと思っとるん?」
「…当然それは青学レギュラーメンツにも不二にも幸せなEndは無い事をしようとしてるよ?なんだったら着いてくる?今日一日で下準備は終わらせるよ。」
「やったら見に行くにきまっとるやん?去年はあんなにええオーラを纏っとった手塚クンがなんでこんな事をしとるんかも分かりそうやし。」
「…君はもう少し周りを見る目を養った方が良い。」
「?…なんでや?」
「行けば分かる。見れば分かる。逆を言うと、接触しないと分からない。君はね。」
「そうか。」
「うん、そう。」
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