Belly black | ナノ




Target 一氏ユウジ 01


痛い、いたい、イタイ…どこもかしこも心もいたい。

なんでこんなことになったんや。
なんで俺がこんな目に遇わんといけんのや。


なんで俺が、虐めに遇わんといけんのや!!!



事の始まりは俺たちが白石を虐めたところから始まっていたのかもしれない。
白石を庇った金ちゃんまでもを虐め始めて、

散々、殴って、蹴って、罵って、「死なすど」って何回言ったかもわからない。

でも、


でも、

白石達が無実って分かって、
謝ろうとしたら二人は自殺未遂をしていて、

それから、それから俺達の醜態が世間に見せしめにされて、

それから俺が今度は虐められ始めた。


原因は二人が自殺をした理由は俺が「死なすど」って言ったから死んでやったって言った。
俺のせいにした。
いや、俺だけのせいだと言っていなかったからこの辺りは皆の解釈の仕様と思う。
それで俺は、無実の二人を自殺にまで追い込んだのはお前だって皆に言われた。

俺だけのせいじゃないのに、
俺以外にも汚く罵ったやつらならたくさんいるのに、

なんで俺がイジメに遇わなければならない。

誰も庇ってくれない。
誰も慰めてくれない。

テニス部も罪を全部俺に擦り付けてきて、俺がテニス部の罪を全部背負って、

校評が底辺まで堕ちたのは全部俺のせいだからって、

俺は、ただ、ただ――――。


……辛い、さっきまで仲が良かった仲間に理不尽に虐められて、心が抉られそうだ。
もう嫌だ。
…白石も…こんな気分だったのだろうか。
いきなり周りの奴らが自分に冷たく当たって来て、殴られて、

ああ、こんな風に自分も体験しないと分からないって、ホンマ俺は阿呆だ。





一氏は重たい体を引きずりながら自宅を目指す。
ある公園に差し掛かった頃。

聞き覚えのある声が聞こえてきて、一氏の名前が呼ばれた。

「あっれぇ?一氏ユウジじゃなぁい?」

「ッ!?」

その声とはこの地を去ったはずの稀奈と白石がアイスを食べながらそこに居たのだ。

「私達がここに居るって思わなかったから相当驚いてるねぇ。私達もここに帰ってくるつもりは無かったんだけどねぇ。」

「まぁ大阪観光でもしようとか思ったところやな。」

何て呑気なんだろう。
自分たちはもう虐められなくなったからと言って、
その代りに一氏が虐められて神経がすり減っているのに、

「だったらさっさと帰れや!!去ねや!!どっかに行けや!!自分らのせいで俺はッこんなけったいな目にあっとるんやぞ!!!」

「うん、知ってる。だからここで君を待っていたんだ。」

「は、ァ?俺を…待っとった?」

「話は公園の中でしよう?立ったままだと君の傷に障る、そうだ手当もしよう。その後にアイスを奢ってあげるよ。あ、たこ焼きでもいいよ?」

「な、待ち、どういう事や?」

稀奈の態度が優しすぎて分からない。
最後見た稀奈の姿は非情に嗤っている姿だったから余計に想像がつかない。

「まぁまぁ、積もる話も後や。ベンチ座り行こう。」

白石に背中をグイグイ押され抵抗したら痣が痛むので大人しく流れに乗っておくことにした。

そしてベンチに座らされ本当に手当てをされる。
手際よく稀奈が湿布を張ったり、消毒したり、手慣れたものだ。

「はい、出来た。でも本当に、あの時の君からじゃ想像できないくらいの扱いを受けているようだね。」

「ッ…そうや!自分らが自殺未遂を起こしたのは俺のせいやって言われて!このざまや!!自分らが、自分らが要らんことするからッ俺はこんな目にあっとるんや!!責任取れ!ボケがぁあ!!」

思わず感情的に言葉を吐いてしまう。
ただの八つ当たりでしかないのに、
分かっているのに、言ってしまう。

「………だから、私はこうやって君に会いに来たんだよ?」

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