Belly black | ナノ




Target 手塚国光 04


手塚に望む。
二、三日学校を休んでほしいと、
手塚に伝える。
もうこんな劣悪な環境に居る必要は無いと、
手塚に頼む。
毎日書いている日記を少し貸してほしいと、
手塚に願う。
今から少しの間、自分達の横で無反応に座っていてほしいと、


下準備は全て終わらせた。
さぁ、これから初日にして千秋楽の舞台の開幕。


「何かな?こんなところに呼び出して、僕たちは大会に向けての練習で忙しいんだけど。」

レギュラー陣を使われていない教室に呼び出して、対峙。
白石が立ってが稀奈が隣に座って迎える。

「いやいや、手間とらせんで?それに自分らにとっても有意義な時間になるはずや。」

「…どういう事?」

「それはぁ、こういう事ぉ!!君たちが全校に手塚クンを虐めさせるように仕向けた結果、手塚クンは壊れてしまった!!」

白石が立っている位置をずらして現れたのは無気力に椅子に座っている手塚の姿。
あんな生気のない手塚は見たことが無い。と彼らは言う。

「「「ッ!?」」」

「『学校に来ていない理由は、こういう事だったのか。』『壊れてしまったから、学校を休まなければならない状況になったのか。』とか言って、理由を考察してんじゃねーよ?
お前ら知ってたはずだ。一般生徒が手塚クンに苦痛の表情を浮かばせたって、腕を攻撃すればあいつは簡単に歪んでくれるぞ、と。
聞いてたはずだよね。一瞬喜んだよね。計画通りってさ、
けど、利き腕を壊されて平気な選手居ねぇだろ?お前らの中にもそんなドМな奴居ねぇだろ?
手塚クンは元々精神が擦り切れそうな事態に陥ってたのに、君たちが無反応な手塚クンは面白くないからって言って…それが始まりだ。
君達の知ってる部長手塚はこの世から居なくなった。」

「ッそれは君の考察じゃないの?手塚は何にも表情を変えなかったんだ。
どんなに僕たちが殴ろうとも罵ろうとも何しようとも何も反応しなかった。
それだけ知識のある君は知っているだろう?好きと嫌いは紙一重、好きの反対は無関心。
僕は悔しかったよ。手塚が僕たちに向かのは無関心。だからこそ僕達が何をしても反応しなかった。手塚にとって僕たちはただの全国大会で優勝するための道具だったようだね。」

「…ハァ……君達は何年手塚クンと同級生やってきたのぉ?
友達のこと一つも分かってないじゃん。手塚クンの感情が見たかった?そんなもんいつも見せてるよ。君たちが感じ取れないだけの話でさぁ。
仲間の君達にそんなことされて手塚クンは何も感じなかったとえも言いたいわけ?
君が手塚クンに対して愛を向けていたことと同じように手塚クンだって人間なんだから君達にはそれ相応の感情は抱いていたんだよ?」

「嘘だ!!」

「本当だぁあ!!
まぁ、そう言われると思って予め用意していたのがこちら、手塚クンの日記帳…。
読み上げてあげるよ、お前らの浅はかな脳味噌に刺青でもして刻み込め。」

稀奈による手塚の日記の朗読会。
稀奈も初めて見る。
いつからこんなシステムを作り出したのかと見れば半年以上前から。
よくまぁ、まだ14歳という年齢でここまで耐えてきたことですこと。

読み上げる。一字一句。手塚の思いの詰まった文章を、

それを聞いて涙ぐんでしまうメンバー。
膝から崩れ落ちる不二、

「――――――ふぅ。こんなものかな?
さぁ、君達。これでも手塚は何も感じずただのサンドバックの様に君たちの暴力を受けてきたとえも言うのぉ?」

「ッ、手塚部長ッ!!すんませんでした!俺ッ俺!!」

桃城を筆頭に稀奈の隣に居る手塚に向かって謝り続ける。

「君達、何もかも遅すぎるよ。今自覚したって、今謝ったって、今の手塚クンには何一つ届かない!!」

「いいや!届く!!俺達の思いに応えてくれなかったことなんて手塚部長は一度も無かった!!」

絶対にこの声は届いている。
そう強い希望を桃城の目からは感じ取れた。

「………フーン、手塚クンってそんなに部員思いなんだね。
まぁそうかー、さっきの日記にも書いてたけど、メンバーはかけがえのない 元 仲間だもんねー。」

「!?」

「何故そんな驚いた顔するのぉ?
当たり前じゃないか!だって手塚クンは私のものだ!!私以外の言葉なんて届くはずがない!!
それから一つだけ君達に質問したい。
君達は手塚クンに謝って何がしたい?許してもらいたかったなんて安易な答えを言ってみろ。後悔させてやるから。」

「ッ…それは、………。」

続きの言葉を紡がない。
大方許してもらいたかったんだろう。

嗚呼、なんて思考が薄い。

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