Belly black | ナノ




Belly black 第05話


「謙也!!やめてぇな!!」

「!?」

謙也の体は横に吹っ飛んだ。
稀奈に横から思いっきり突き飛ばされたから、

白石は支えられているものを無くしたためその場に座り込んだ。

「ワイ白石を信じる!!」

白石をかばうように両手を広げ、白石と白石以外のメンバーの間に立ちふさがる。

「何言うてんねん金ちゃん!!」

「やって!!こんな何の抵抗も見せん白石なんて可笑しいやん!!変や!!」

「それは白石が自分の罪を認識しとるから!!」

「俺は…ッなんも……しとらへん!!」

白石は呻きながらも自分の無罪をちゃんと言っている。

「…謙也…謙也は白石と、仲良かったんとちゃうん?なんで白石を一番に殴っとるんやぁっ?」

泣きそうな顔で謙也に質問する。

「それ、は……っ金ちゃん…ホンマに白石の味方になるんやな?」

「…おん。」

迷いのない目をメンバーに見せつける。

「ほんなら金ちゃんも俺らの敵や。せいぜい白石と仲ようしとくんやな。」

先ほどまでの稀奈に対する態度と打って変わってメンバーは稀奈を完璧に敵だ、とみなしたようだ。

「っ……白石…立てるか?保健室、行こ?」

「金ちゃん…おおきに…。」

稀奈は白石を支えながら保健室へと歩いて行った。

他のメンバーは何事も無かったかのようにテニスの練習を開始した。


一方保健室では、稀奈が器用に白石を治療する。
保健室の先生は放課後のため不在。

「「…………。」」

なんとも言えない沈黙が流れる。

白石の治療が終わり稀奈が入口へ歩いて行った。

入り口に『先生不在。用のある生徒は職員室へ』というプラカードを入り口に掲げ、
ドアには鍵をかける。

一連の動作を済ませ再び白石の元へ。

「「フッ…。」」

「「フフッアハハハハ!!」」

狂ったように笑いあう。

「ねぇちょっとホンット面白いんだけど!!なんであんなに自分の思考を信じて貫いていけるかな、なんてデタラメな思考なの!?アハッ。」

「ホンマ、謙也にはいっつも笑わせてもらうわ、なんやねんなんであのタイミングで毒手出さんとあかんのん!?金ちゃんのさぼりは俺と居ったからやで!!」

「毒手とか、私そんなの信じてないっつーの!!しかも聞いた?俺らは白石にとっての毒手や…だって!!なんてッなんて面白いことを言ってくれるんだあの子はッ。」

「俺にとってのあいつらはただの玩具やっちゅー話や。なんで俺が玩具に恐怖せんとあかんねん。」

「あ、そうだ白石、私の金太郎の演技であの時笑ってたでしょ!!」

「バレてもうた。…せやで、やって稀奈の本性を確認した後にあんな演技見さされたら笑うしかないやん?あれでも下向いたりして対策しとったんやで?」

「まぁ、確かに他の人たちにはバレてなかったようだけど…私、つられて笑いそうになったんだから!!」

「持ち前の演技力でどうにかしぃ、それか本性出せばええんとちゃう?」

「…やだ、本性見せたらもうあっち、こっちを虐めてこなくなるじゃん。」

「なんや、ドМ発言か?」

「は?何言ってんの?私だって身体的に虐められる趣味ないよ。勿論精神的にもね。
前にも言ったでしょ?この虐めてくる環境を楽しむ。」

あと、あの時君に私の前世を話さない為のとっさに出た回避ですけど。

「やっぱМなんや。」

「……だったら白石もМでしょ。散々殴られてたりしてるんだから、なに?もうエクスタシー感じちゃってる?」

「いや、それは否定しとくわ。エクスタシー感じるときは稀奈も一緒やないと面白くないわ。」

「白石がエクスタシー感じるって言ったらなんかエロいね。」

「稀奈の外見からエクスタシーって聞こえたらギャップが半端ないでぇ。」

「エクスタシーって言うの止めたら?」

「おん、そうする。もう言う必要なんてないんやもん。」

「あら?テニス辞めるの?」

「辞めへんで?稀奈も俺のテニス=エクスタシーって認識止めてくれへんか?」

「あれだけ試合でエクスタシーって言ってたらいやでもそう認識しちゃうよ。」

あれだけ漫画を読んでたらそんな認識してしまうのが私だよ。

「あぁ、実はな俺、テニスを基本に忠実に、完璧なテニスやっとるって言っとるやん?あれなボールに変な回転かけとん。」


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